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カラスは、羽のはえた類人猿

(2013.04.30)  先日のBS11の

 地球生きもの図鑑

が面白かった。「カラスの知られざる知性」というタイトルだったが、身近にいるカラスのなんと知性の高いことかということを紹介していた。

 Image991 毎週、家庭のゴミだしで、カラスがたくみに家庭ごみをつついているのを見ているだけに、カラスは頭がいいとは知っていた。しかし、これほど頭がいいとは驚きだった。

 カラスに危害を加えた人間の顔を、二年たっても覚えているらしい。覚えているだけでなく、発見したら、仲間に鳴き声で知らせて、警戒するような仕草もできるという。さらに、それだけでなく、子どもにもそのことを教え込むらしい。

 こうなると、カラス社会には

 文化

があることになる。こうしたことを裏付けるような映像が紹介されていなかったら、とても信じられないことばかりだった。

 だから、番組では、カラスのことを

 羽根のはえた類人猿

と名づけていたが、なるほど、うまいネーミングと感心した。カラスは脳の大きいオウムよりも賢い。

 なぜオウムより賢いのかというと、番組では

 カラスの雑食性

が指摘されていた。さまざまなえさをうまく料理する工夫が、カラスの知性を磨いているのだというのだ。

  つまりは毎朝、家庭ごみをあさりながら、カラスはせっせと知性を磨いているというわけだ。

  ● 驚きのカレドニアカラスの道具使い

 そんなカラスの中でも、驚くべき知性を持っていたのが、

 カレドニアカラス

である。米オークランド大学生物学チームの発見らしいのだが、えさを手に入れるための道具を得るための道具を見つけてきて、まんまとえさを獲得するという映像である。

 映像では、えさをとるには長い枝が必要な状況を設定。その長い枝は近くのかごの中にあるのだが、くちばしではとれない。しかし、さらにその近くの木の上には、それがとれそうな短い枝がくくりつけてある。

 すると、カラスは、その短い枝をまず獲得する。そして、ほとんど迷うことなく、それでかごの中の長い枝を引き寄せる。そして、その長い枝で、見事、えさを手元に引き寄せたのだ。

 これなど、人間の幼児でも、なかなか難しいのではないか。賢いサルでも容易ではないだろう。

 カラスの知性が高いことは間違いない。

 ● 人間を区別するものは何か

 さらには、死んだ仲間の

 弔い

までしているらしいというのまで、紹介していた。死んだカラスの近くの木に数十羽がとまり、しばらくすると一斉に飛び去る様子が映し出されていた。

 これが、いかにも弔いの儀式に似ているというのだが、どうだろう。人間の思い込みであり、まさかとは思う。が、ひょっとすると、事実かもしれない。しかし、実証はむずかしいだろう。オラウータンなどの霊長類では、死んだ子をいつまでも背負う母親がいるらしいのだが。

 さて、こうした一連の事実を知ると、あるいはウソをついたり、欺いたりもするカラスもいるらしいことを知るにつけ、

 人間をほかの動物と区別するものは何か

という深遠な問題にぶち当たる。そんなものは、そもそも存在しないのではないか。

 キリスト教のいう

 人間は、神に選ばれた特別な存在

という観念は間違いなのではないか、という気分になる。

 すなわち、鳥たちの驚異の知性は、人間を謙虚にする。

 (写真は、「ナショナル・ジオグラフィック」(日本版、2008年3月号表紙)。説明によると、このニューカレドニアカラスは、針金を曲げて、釣り針をつくり、えさ取りなどに利用しているという)

  補遺 もの思う鳥たち

 Image998 このブログを始めたごく最初のころに、取り上げた科学書に

 『もの思う鳥たち 鳥類の知られざる人間性』(日本教文社、2007年。原著は1993年)

がある。この本を読むと、

 人間の肉体は、確かにダーウィンの言うように進化でつくられたかもしれないが、その精神は神から与えられたものである

というローマ教皇庁の公式見解(ヨハネ・パウロ2世)とは違って、刻々と変化する環境に対して、肉体的にも精神的にも主体的に生きていることが、明白にうかがわれる。環境に鼻面を引き回されてなどいない。

 思うに、西欧では省みられることのなくなった

 今西錦司博士の『主体性の進化論』

は、いつの日か、ダーウィンの進化論に取って代わられるだろう。

 動物たちは単なる受身的な精密機械ではない。環境の変化で変わるときがきたら、種はみんな一斉に変わる。進化の真相はこれであろう。親から子へ、子から孫へ、などと自然任せのまどろっこしいことでは種は滅びてしまう。

 カラスは、そんなことも教えているように思う。

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