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ダークマターとダークエネルギーの正体

(2013.04.12)  前回のブログ(宇宙の果て)を書いたら、珍しく、天文好きという人から、問い合わせメールが届いた。

 最近一般でも話題になっている宇宙での正体不明のダークマターの存在や、宇宙がどうやら加速膨張をしているらしいという観測(ダークエネルギー問題)と、宇宙の果てとは関係があるか

という質問である。

 Dsc01415 質問されて、不覚にもはたと気づいた。関係がある。ダークというのを、わが宇宙とは別の異次元宇宙にその正体を求めるという意味にとらえることで、関係する、つまり、つながる。

 遠くの銀河を使った宇宙膨張の赤方変位の観測から発見されたダークエネルギーについては、最近、ノーベル物理学賞(S.パールムッター博士、2011年。補遺)に輝いたことで注目されており、まだ一般にも記憶に新しい。

 ● 正体の源は隣りの異次元の別宇宙に

 さて、どういう関係かというと、前回説明したように、われわれの宇宙が目の前の空間のいたるところで、ごくごくごく狭い「巻き上がった空間」を通じて別の異次元宇宙とつながっている。ならば、

 今推定されている重力源「ダークマター」は、わが宇宙のものではなく、異次元から働きかけられたもの、つまり源は異次元にあると考えてもいいわけだ。なにも重力はわが宇宙の独占物ではない。

 だから、この場合、影響は受けるけれども、この宇宙を探してもその影響の源は特定できないことになる。逆に特定できれば、この異次元=ダークマター説は間違いだったことになる。

 同様に、宇宙の終わりを決定付ける宇宙引きちぎりの「ダークエネルギー」の源も異次元にある。つまり、この宇宙を引き裂く反重力エネルギーというのは、別の宇宙からの影響なのだ。

 宇宙初期にはこのエネルギーはほとんどなかったのに、現在の宇宙では、宇宙全体の7割を占めることがわかっている(上図)。これは別の異次元宇宙からの力が働きつづけているせいだとして合理的に説明できる。その正体の源は、われわれの手が届かない異次元というわけだ。

 ● 宇宙のエネルギーの7割はダークエネルギー !

 注意すべきは、このエネルギー=反重力もまた私たちの目の前の空間を通じて、この宇宙に今も働き続けていることだ。けっして宇宙の果てだけに起きている現象であるわけではない。

 Dsc01383 このダークエネルギーがあまりに大きいと、宇宙の時空は引きちぎられて、ばらばらになってしまう。ずっと後のことだが、宇宙の未来は引きちぎられてしまう運命にある。

 急激に膨らませた風船がついに破裂するというイメージである(下図参照=NHKプレミアム「コズミックフロント」2013年4月11日放送。上図も。放送では件の村山斉教授が出演・解説)

 番組では、このダークエネルギーの大小が、この宇宙の終わり方を決めているらしいことをなかなか明解に語っていた。

 ● 哲学者受難の時代へ

  こうなると、小学生でもいだく

 宇宙の果て

という不思議は、現代宇宙論の最先端分野に直結していることがわかる。しかも、その不思議の謎解きが、単なる現代のおとぎ話ではなく、人工衛星の打ち上げによる観測データなどから実証科学として成立し始めているというのがすごい。

 現代「宇宙の果て」論は、現代哲学の分野にも大きな影響を与えるであろう。数学嫌い、物理嫌いでは哲学者も落ちこぼれる。

 そんな哲学者受難の時代が訪れている。

 補遺 

 ビジュアル科学誌「ニュートン」2012年4月号には、宇宙の加速膨張を発見した

パールムッター博士のインタビュー記事が掲載されている。

 それによると、加速度膨張の原因として、これまでの物理法則はそのまま正しい仮定したオーソドックスなアプローチがまずある。

 ダークエネルギーの正体として、素粒子の存在を新たに想定する。今の物理法則(素粒子物理学)を前提にそれを直接あるいは間接的に探索する道。日本の東大などのキセノンを利用した「XMASS」プロジェクトがその代表。

 もう一つは、加速膨張の原因として、これまでの物理法則に根本的な修正を迫るアプローチである。宇宙規模の距離の間には、距離が遠く離れれば離れるほど強い反重力が働くと考える道だ。この場合、宇宙規模ではない距離間では、この反重力は無視できるというわけだ。

 具体的には、アインシュタイン方程式(一様等方のフリードマン方程式)で

 正のΛ項を付け加えるやりかた

である。方程式にΛ項を導入したことを、アインシュタインは「人生最大の失敗」としたが、加速膨張の発見も含めて、さまざまな事実を、この項の導入で統一的に矛盾なく説明できることに成功すれば、Λ項が50年ぶりに息を吹き返すことになる。

 このやり方だと、加速膨張以外にも、いろいろな宇宙規模的な謎が無理なく、統一的に説明できることが必須となる。検証実験も必要になる。

 こうなると、偉大な科学者の失敗は、これまた偉大であったことになる。

 インタビューによると、これまでのところ、説得力のある有力な仮説は出てきていないという。

 インタビューでは、直接言及されていなかったが、

 ダークエネルギーの正体を、近接するさまざまな異次元からの重力、つまり〝外力〟の影響によるもの

という仮説もあろう。博士の言う、広い意味の

 あらゆる可能性

の一つであろう。超ひも理論の今後の進展が不可欠だ。

 ただし、それでも異次元宇宙の存在を証明することは、以上ふたつよりもはるかに難しいだろう。この宇宙とは別の異次元宇宙の存在をとうやって証明するか、という問題に直面するからだ。直接、その存在を証明することは、ほとんど不可能だろう。

 先の二つの方向が行き詰ったときに、注目が集まると期待される。

 なお、博士の加速度膨張宇宙の証拠を示す歴史的な論文は、

 Astrophys.J.,517(1999)

に掲載されている。

 補遺 朝日「社説」

 おどろいたことに、2013年5月5日付朝日新聞の社説は、ひまダネではあるが、

 暗黒物質 宇宙は謎に満ちている

という社説を掲げている。ダークマターとダークエネルギーについて、あれこれ書いている。これといって目新しい事実も、新しい視点も提示しているわけではない。ありふれている。いくら休刊日前のひまダネとはいえ、こんな問題を社説に取り上げるのはいかがなものか、という思いだった。

 取り上げるなら、視野の広い新しい視点がほしい。それがなかったのは残念だった。

 新しい視点、たとえば、この宇宙のほんの目の前にも異次元が存在するかもしれないという示唆だ。単に見えない重力源があるというだけではいかにも説得力が乏しい。

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