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論争する科学こそ バークレー白熱教室

(2013.04.20)  Eテレで、偶然だが、先日の金曜日の夜、

 大統領を目指す君のためのサイエンス「バークレー白熱教室」

を拝見した。カリフォルニア大バークレー校のR.ムラー教授(物理学)が、

 地球温暖化の真実

について、熱っぽく語っていた。

 ● 「温暖化の真実」は真実か

 結論は

 Dsc0148920130419e 1750年以降の地球平均気温の長期的な上昇トレンドは事実であり、しかも、すべて二酸化炭素の排出という人間の行為が原因

というものだった(数年といった短期下降トレンドは火山噴火によるものらしい)。具体的には、陸地と海洋をあわせた全地球年間平均気温は、この50年で0.64度、陸地では0.90度上昇。海面は、この100年で20センチ上昇したというもの。

 写真上は、その講義の様子(2013年4月19日放送のEテレ画面より)

 地球上の温暖化を示す膨大な証拠を洗い直し、同時に、100年以上にわたり地域ごとに蓄積されてきた地球の年間平均気温データを詳細に再検証した

 プロジェクト「バークレーアース」

の創設者であるだけに、説得力があると、一応ではあるが、信じたい。

 このままでは、今世紀半ばの2050年には、1.5度から2.0度ぐらいさらに上昇すると予測していた。この結果、破壊的な変化、たとえば、平和の破壊、戦争が勃発するだろうと語っていた。

● 「社会のなかの科学」という視点

 一言コメントすれば、大学の学生向け講義ということもあるのだろうが、複雑系でしかも、非線形性の高い温暖化問題をいとも簡単にスパッと割り切り、最後は断定的に語っていたのが、気になった。

 むしろ、複雑系であるという科学的な見方を正直に学生に提示してほしかった。そのほうが、温暖化と政治とのかかわりを、具体的に知るのにはよかったのではないか。

 Image964 もうひとつ、大統領を目指すというタイトルがついているのだから、

 科学と政治、論争する科学

という視点がほしかった。物理学の枠から一歩も出ない講義内容なら、このタイトルは

 羊頭をかかげて狗肉を売る

たぐいと大差はないだろう。

 つまり、科学的なテーマをめぐる一般の人も巻き込んだ社会的な論争という視点である。

 「社会のなかの科学」

という現代的な考え方であり、規制科学(レギュラトリーサイエンス)とも言うべき分野へのいざないにもなる(写真下= 『科学論の現在』(金森修+中島秀人))。

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コメント

初めてこのブログを拝見しました。まー坊さんのご意見に共感します。ムラー教授の断定的な結論の導き方は明快ですが、「科学的な検証」という意味でも、「科学と政治」という意味でも検証が物足りないというより、まったくできていないと思いました。私は建築士ですが「建築と政治」というコラムで「科学と政治」について日々考えています。

投稿: 江原 幸壱 | 2013年4月25日 (木) 06時05分

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