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なんとも心もとない防潮壁 浜岡原発ルポ

(2013.04.10)  前回話した伊藤実さん宅で話を聞いた後、伊藤さんの案内で、実際に浜岡原発の見学、といっても外側から観察しに浜岡砂丘に出かけた。台風並みの春先の強力な低気圧が通過した直後とあって、晴れてはいたものの、強い吹き返しの風の午後だった。

 ● 建設中の22メートル防潮壁

 写真上が、南側に隣接する静岡県温水利用センター側から撮った浜岡5号機。左手が遠州灘。5号機より海岸から少し離れたところの右側に、リプレース用の6号機建設予定地が広がっている(パワーショベルで造成中)。

  Image9375 写真中央にある防潮壁が建設中なのがわかる。地盤約6メートルのところから、高さ12メートルの鋼鉄製の壁で原発を囲い、守っている。さらにその上に、4メートルのかさ上げをして、海面から合計で22メートル。

 防潮壁は、基礎が地下深くに打ち込まれた鋼鉄製の構造で、地盤と壁とは「粘りのある鋼鉄製のL字鋼」で補強、津波で内側がえぐりとられにくい仕組みになっているらしい(浜岡原子力館の説明パネルから要約)。この建設に中電は、約1400億円もの費用かけている。

 この写真から、原発建屋の高さや排気塔(約100メートル)の高さの相対的な概要がおおよそわかる。この建屋の中に、原子炉が納まっている(写真最下段。3号機の実物大模型=浜岡原子力館) 

 Image915 近くまで行けなかったのが残念だが、鋼鉄製の壁、8+4メートルというのは、人間の背丈の6倍もあり、近くで見ることができれば、確かに壮観だろう(補遺)

 ところが、これを原子力発電所敷地全体から見ると、どこにそんなものがあるのか、よくよく見ないとわからない(写真右)。

 ブログ子も原子力館の展望台から見たのだが、最初どこに防潮壁があるのか、わからなかった。

 一般の見学者の多くも、そうらしく、説明に当たる女性に指差してもらってようやく、見つけることができたようだ。

 写真で言うと、写真奥の青い遠州灘と陸地の境に、灰色の線が左右に走っている。これが防潮壁。

 なんとも心もとない壁

という印象なのだ。もし神様が上空からみたら、どこに防潮壁があるのかわかるまい。

 もっと具体的に言えば、富士山静岡空港から飛び立った旅客機が御前崎上空に差し掛かったとき、窓から下に原発敷地ははっきりとみえるが、防潮壁はまず確認できない。広大な遠州灘にくらべたら、ちっぽけなものなのだ。これで、大津波をブロックできるのか、不安になる。

 Image9055_2 この写真のずっと奥(原発の南側)、あるいは右手(北側)には、巨大な三枚羽の風車が海岸沿いにずらりと10基以上ならんでいる。浜岡原発付近は、静岡県有数の風力発電所が立地する地域でもある(写真= 5号機の南側の様子)。

 法律で義務付けられているとはいえ、中電はそれなりに再生可能エネルギーによる発電にも力を入れている。

 ● 軟弱な地層や活断層は本当にないか

 浜岡原発は

 相良(さがら)層

という岩盤の上に直接立地、支持されている。この層は数百万年前までに堆積した泥岩や砂岩でもろいことが知られている。

 そのせいかどうか、浜岡原発の敷地内にはH断層系と呼ばれる4本の断層が海岸線にほぼ並行して存在する。このこと自体は中部電力自身も認めているし、中電のボーリング調査でも確認されている。

 このH断層系について、中電は

 詳細な地質調査の結果、H断層系は第四紀後期の活動はなく、地震を起こしたり、地震に伴い動くものではないことを確認している

と同社HPで公表している。第四紀後期(今から12、3万年以降に形成された地層)の活動がないということは、原発立地の耐震規制(安全)指針により、立地が認められない活断層にはあたらないことになり、したがって敷地内には活断層はないというわけだ。

 Image935h 果たしてそれをうのみにしていいかのかどうか。伊藤さんの案内で、相良層の岩盤が地表に露出しているところを案内してもらった。原発敷地を出たすぐ近くに立つ送電用鉄塔の真下に、それはあった。

 実際に、その層を素手で引っかいてみたが、

 写真下(ものさし付き)のように、簡単にはがれた。

 一般の常識からすると、原発立地というのは、それこそ硬い一枚岩石の岩盤の上に支えられて立地しているように考えられている。しかし、そうでもないことを実感した。

 案の定、2009年8月の駿河湾地震では海岸に近い5号機直下の岩盤に軟弱な「低速度層」という〝異常〟が、中部電力の調査で見つかった。

  かたい岩盤の中に、軟弱な堆積した低速度層があると、揺れが増幅されたり、揺れがより長時間続いたりすることが実験で確かめられている。たとえば、そうした実験はNHKスペシャル「MEGAQUAKE Ⅲ 巨大地震」で紹介されている(2013年4月14日夜放送)。

  こうなると、果たして本当に、南海トラフ「浜岡」は大丈夫なのかという、具体的な心配がまたひとつ増えたように感じた。

 Image91031 軟弱な活断層は、本当に敷地内にはないのか

という疑問だ。

 この疑問と、なんとも心もとない防潮壁の姿を浮かび上がらせた旅だったように思う。

   余談だが、

 この日、原子力館の展望台からは、ちょうど100キロ先にある雪に輝く富士山の頂きが小さくはあるが、はっきりと見えたのには、感激した。

 この美しい日本一の山を放射能で台なしにしてはならないと誓った見学会でもあったことを、ここに付け加えておきたい。

  補遺  

 Image9632012518 天気の穏やかな日に、真近で浜岡原発を撮影した写真が左(= 週刊ポスト2012年5月18日号より)

 防潮壁の建設が始まっているのが、わかる。しかし、敷地正面玄関口ほどには、海側は、「立入禁止」の鉄板も真っ二つに割れ、放置されているなど、意外に警備は厳重ではないことがわかる。

  Image979 また、参考文献として、

 『浜岡原発の選択』(静岡新聞編集局編、静岡新聞社。2011年10月)

を挙げておきたい(写真最下段)。

 

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