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他紙社説を手玉に取った元日付「朝日」社説

(2013.01.06)  混迷の時代の年頭に、という元日付の朝日新聞社説を読んで、ついにやったかと、ブログ子はついつい笑ってしまった。主張にあたる主見出しは、

 「日本を考える」を考える

というもの( 写真 )。冒頭、

 新年、日本が向き合う課題は何か、日本はどんな道を選ぶべきか-。というのは、正月のテレビの討論番組や新聞社説でよく取り上げられるテーマだ。

 でも、正月のたびにそうやって議論しているけど、展望は開けてないよ。なんかピントずれていない ?

と、こんな調子で始まっている。さらに、今かかえる問題について

 「日本は」と国を主語にして考えて、答えが見つかるようなものなのか、と。

と鋭く問いかけている。

 ブログ子も長年、二つの地方新聞社で社説を書いていたから、お正月の社説執筆には、うんざりしていた。だから、この冒頭には見事一本取られたと笑ったというわけである。地方紙でも、日本は、という大上段に振りかぶった、ある意味気楽な書き方をしていたからだ。

 Image56410130101_2 元日付社説は、そもそも建前の社説のなかでも、極め付きの建前を述べるのだから、それで展望など開けるわけがない。こんなことは、年末にいやいや書かされた経験のある論説委員なら誰でも知っている。

 ところが、他紙の元日付大型社説のほとんどが、見事なほど手玉に取られていた。

 その典型が、「政治の安定で国力を取り戻せ」という超大型の読売新聞社説。

 出だしは、なんと

 日本は、国力を維持し、先進国の地位を守れるかどうかの岐路に立たされている。国力うんぬん

となっていて、いの一番冒頭から主語は「日本は」だった。これには、朝日新聞論説委員会の論説陣も笑ってしまったであろう。

 おまけに、結びも

 今年を日本が足元を固め、反転攻勢をかける年にしたい

となっていて、再び主語の「日本」が出てくる。このほかにも、「日本は」の主語がしばしば出てくる。これでは、朝日社説を引き立てるために、あるいは、こういう読売の社説はダメよという実例として、読売新聞社がわざわざ超大型社説を書いたということになる。完全に術中にはまってしまった。

 こうなると、せっかくの超大型社説を最後まで読む気がしなくなるのは避けられない。同社としては手痛い。

 こういう目で、ほかの元日付社説をみてみると、決して読売新聞社を笑えない。悲しいことに、読売と大同小異なのだ( 注記 )。

 ただ、わずかにブロック紙の中日新聞社説「人間中心主義を貫く」が、かろうじて独自性を発揮している。「です、ます」調なのもいい。日ごろから地方というものに目をこらし、そこに軸足を置いているからだろう。

 肝心のブログ子の地元紙、静岡新聞は、呼びかけ調の

 視界良好な社会築こう

と書いていたのは、好感される。しかし築くには、具体的に地元で何をすべきか、掘り下げた提案がほしかった。これが惜しまれる。

 たとえば。原発についても書かれているが、足元の浜岡原発にどう向き合うのか、中部電力を念頭に置いた「視界良好な」考え方を県民に提示してほしかった。主張に具体策がない。これでは、全国紙ならともかく、地元に責任を持つ新聞社としては、さびしい。地元をいとおしむ「愛しい」社説であってほしい。

 ひるがえって、では朝日社説は、それほどりっぱなことを元日付で述べているのかというと、そんなことはない。

 一言で言えば、国家が主権を独占する時代は終わりつつある。自治体など大小の共同体と分け持つ仕組みの時代が今、ゆっくりと、そして着実に訪れようとしている

というだけの話。この高まる自治拡大の声というのは、昔の言葉で言えば、

 「地方分権の時代」がやってきている

というだけの主張にすぎない。地方紙では、この20年、たいていこの種の主張を社説でこれまで何回も書いているはずだ。

 事実、ブログ子がいた地方新聞社なども

 地方は世論の本(もと)なり

という主旨の社説を何度も 書いていた。

  たいした主張でもないのに朝日社説が一人勝ちしたところに、今のマスコミ界の脆弱さ、危うさ、ひ弱さがあるといえば、いえる。

  注記

 たとえば、日経新聞1月1日付の社説は

 目標設定で「明るい明日」切り開こう

という主見出しの超建前社説。出だしは、なんと、

 日本の国の力がどんどん落ちている。

で始まる。「日本」で始まるのだから、「朝日」のおちょくりに見事にはまっている。最後も、ご丁寧に

 「日本国民よ、自身を持て」

で終わっているのだから、朝日新聞社論説委員会は、自嘲も手伝って笑いが止まらないだろう。日本の新聞社というのは、悲しいかな、この程度のレベルなのだ。

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