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天文学の〝モナリザ〟              -- アンティキテラの機械

(2012.12.04)  ブログ子は、この歳まで海外旅行はほとんどしたことはないが、もし、今から行きたいところはどこかと聞かれれば、

 ギリシャのアテネ

とこたえるだろう。アテネ国立考古学博物館には青銅器時代の遺物として

 「アンティキテラの機械」

というのが展示されているからだ( 写真 )。

 Dsc003946 今から2000年以上も前にギリシャの南部沖、アンティキテラの海底に沈んだ当時の難破船から見つかった青銅製の機械で、天文器具だったらしい。その見事な美しい出来栄えから

 天文学の〝モナリザ〟

という人もいるくらいなのだ。海底から引き上げられたのは、今から100年ほど前。しかし、今日まで、何に使われたのかなど、この謎の機械についてはほとんど解明されないままだったらしい。

 この謎を解く番組が先月下旬にNHK-BSプレミアム「コズミツク・フロント」で放送されたのだが、あまりの面白さに、ついつい、先日の再放送も見てしまった。

 新たに各国から専門家を集めて結成された研究プロジェクトにより、これが、なんと、

 多数の歯車を使ったアナログ式の日食・月食予測機械、

 つまり、

 古代ギリシャの天文コンピュータ

だったことが明らかになったというのだ。番組では、紹介されなかったが、この国際プロジェクトチームの研究報告が

 「Nature」2008年6月30日号

に詳細に出ている。ついつい、ブログ子もその4頁にわたる論文を読んでしまった。論文にはこの機械には、古代ギリシャ語で、一部は失われてはいたものの、その「取り扱い説明書」までついていたことが出ている。

 Dsc003883 予測するにあたって、月、太陽、地球が相対的に同じ位置にくることを示すサロス周期(223朔望月=約18.0年)やメトン周期(235朔望月=約19.0年)がたくみに歯車に組み込まれていて、それをもとに日食、月食の日付、どんな日食、どんな月食になるのか、月食の色までを表示板を見ればたちどころにわかるような仕掛けになっている(朔望月=月の満ち欠けの周期、29.53日)。

 この機械がつくられたのは、日本で言えば、弥生時代前期に当たるのだが、出来栄えの感想を一言で言えば、あまりの精巧さと完成度の高さに

 確かに、天文好きなら、モナリザと呼んでもおかしくはない

というものだった。

 機械が制作されてから1500年以上も後の、あの万能の天才、レオナルド・ダ・ビンチも驚嘆したであろうことは、間違いない。

 日本では、江戸時代の終わりごろになっても、日食の予報はたぶんに不完全であったことを思うと、この機械の驚異的な出来栄えには神秘的ですらある。

 Dsc003904_2 この機械の完成度の高さから推察すると、機械の起源はさらに時代をさかのぼるという。そう、紀元前3世紀のアルキメデスの時代には、登場していたらしい。

 日本で言えば、縄文時代末期、あるいは弥生時代初めにはこんな機械が、ギリシャには登場していたのだ。 

 最近のギリシャ危機では、ギリシャ国民の自堕落な国民性が明るみに出ている。だから、ブログ子などは、破たん国家の危機は自業自得であり、つまらない国、行きたくない国の一つだった。

 が、この番組と論文を見たり、読んだりして、

 さすが、ギリシャ、腐っても鯛

と感心したり、見直したりしたものだ。 

 注記

 写真は、いずれも、NHK-BSプレミアム「コズミック・フロント」=2012年12月3日夜放送をデジカメ画面撮影。

 なお、ブログ子は読んでいないが、

 『アンティキテラ 古代ギリシャのコンピュータ』(J・マーチャント著、文春文庫)

があることを付記したい。

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