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原発直下の活断層問題 問われる「浜岡」   - 南海トラフ「浜岡」を追う

(2012.12.20)  日本原子力発電の敦賀原発2号機の真下を通る断層(D-1)は、単なる地層の破砕帯などではなく、地震による明白な横ズレを起こした活断層であることを、国の原子力規制委員会は評価会合で正式に認めた。

 ● 脱原発の民意、多様な回路をつなぐ 「浜岡」は試金石

 会合のこの結論は、原発に強く依存する日本が、脱原発に向けて具体的に動き出す歴史的な転換点であり、転換点にしなければならない。

 それには、先の衆院選で示された原発依存度ゼロという「脱原発の民意3000万票」の声を、多様な取り組みにおいて一つの回路につなぐことで、今後生かしていく必要がある(この票数は脱原発をかかげた政党の比例合計票)。

  とりわけ、浜岡原発は、巨大地震を引き起こす南海トラフにごく近い立地であるなど、日本で最も危険であるといわれている。しかも、差し迫っている。加えて、日本列島のど真ん中にあるなど、もっとも広い地域に深刻な被害が及ぶことは必至といわれている。

 その意味で、南海トラフ「浜岡」問題の解決は、その回路づくりの試金石であろう。いわゆる〝一本槍〟の取り組みでは限界があり、明確な旗印の下に、多様な力を結集する取り組みが必要だ。

 その旗印とは、疑わしきは国民の利益に、というかつての公害における企業の無過失責任の原則である。

 以上が結論と、まとめであるが、どうしてそのようなことが言えるのか、以下に少し詳しく書いてみたい。

  なお浜岡原発とその周辺活断層についての最近の二つの動きについては、参考文献の冒頭に、ポイントを注記して、まとめておく。

 ● 疑わしきは国民の利益に 

 外部専門家4人を交えた評価会合のこの結論は、現地調査を踏まえた科学的な根拠に基づくもので、活動時期が特定できるなど決定的な直接証拠までは見つからなかったものの、専門家全員がさまざまな間接証拠をもとに同意した( 写真上 )。グレーではもはやなく、限りなくクロに近いということだろう。

 Image1382 原子炉等規制法の定める原子炉建屋などの国の耐震審査指針(2010年)では、活断層の真上に建屋をつくることは、はなから想定していない。その結果、建設許可申請時はもちろん、建設後にわかった分についても、そもそも運転の前提となる安全審査の対象外( 補遺 )。

 原発敷地内に最近動いたことのある活断層が走るなどということは、異常を通り越して危険極まりないものであり、運転うんぬんなどは論外もはなはだしいというわけだ。これは、東京駅の真ん前に原発をつくり、運転することは、誰も想定していないのと同様の論理なのだ。

 ● 電力会社に「活断層ではない」との立証責任

 電力会社がこれに反論できるとすれば、それは、自ら調査を行い

 科学的な根拠に基づいて、D-1は活断層ではないことを実証する

以外にはない。結論のさきのばしを狙って、これまでのようにあれこれ難癖をつけるだけでは説得力はなく、規制委の結論を否定する証拠が求められる。

  実証できないというのなら、

 限りなく疑わしきは「黒」、廃炉

にするしかないだろう。

 電力会社は、これまで100%「活断層である」との確証がなければ、都合よく、それは「活断層ではない」という態度に終始してきた。この論法の欠陥は、調査をサボれば、サボるほど、ずさんにやればやるほど、自分に有利になる点にある。こうした非倫理的な論法や態度をもはや許されない。

 代わって、「活断層ではない」と自ら証明できなければ、それは活断層とみなすという、かつての公害同様、公益に立った事業者責任原則が、いわば「賢明なる回避」の態度が必要だ。疑わしきは、国民の利益に、という原則だ( 注記。事業者の立証調査の実施については注記3)。

 敦賀原発のほかにも、こうした活断層が疑われ、再調査する予定の原発は、日本海側の志賀原発(石川県)、太平洋側の東通原発( 青森県 )5ヵ所。浜岡原発はこれまでのところこの中に含まれていないが、活断層は本当にないのか。活断層から枝分かれしたとされる断層(破砕帯)は敷地内に何本も走っている( 写真下 )。

 その理由などについて、以下に述べてみたい。

 ● 「浜岡」も再調査が要る

 浜岡原発(1、2号機)は、今回の敦賀2号機同様、1970年代に地質調査が行われており、果たして大丈夫か。原発、それ行けドンドンの時代の地質調査や国の安全審査がずさんだったことを考えると、そしてまた、今回の敦賀2号機からもわかるが1970年代の活断層研究がまだまだ未熟であったことを考えると、「活断層ではない」ということをはっきりさせる再調査が必要ではないか。

 それというのも、浜岡原発が、もし万一大事故を起こせば、日本全体が壊滅的な被害をこうむるからだ。失礼な言い方かもしれないが、敦賀原発や福島第一原発どころの騒ぎではないだろう。

 日本沈没

といっても、大げさではない。菅直人元首相が停止を要請したのも、この認識があったからに他ならない。

 南海トラフ巨大地震の震源直下に位置する浜岡原発は、地震に対して最も危険とされている。それなのに、あまつさえ、たとえば全国で一番津波対策が脆弱な原発。なにしろ、防潮「堤」がないなど、大震災前にはまったくといっていいほど津波対策に手をこまねいてきた全国でも屈指の原発なのだ。

 Image1384 今ごろになって、あわてふためいて、応急的な防潮「壁」を建設中なのだが、こんな壁はおそらく、巨大な津波の水圧には耐えられまい。そんなことは、今回の大震災で、あの頑丈そうにみえた三陸の本格的な防潮「堤」がもろくも破壊されたことでも実証済みといえまいか。ましてや付け焼刃の壁のかさ上げなどでは、とうてい役にはたたないだろう。

 津波対策もさることながら、浜岡原発については、そもそも大津波が到達する前に、これだけ震源に近い原発となれば、大きな損傷はまぬがれまい。

 具体的に言えば、浜岡原発が南海トラフ巨大地震で実際に受ける加速度は、耐震想定加速度(ガル)を数倍もこえるだろう。つまり3000ガルは下るまい。これでも今回の大震災なみ。実際は、今回の地震より、震源がはるかに陸地に近い分、南海トラフ巨大地震の場合、これをこえる加速度が浜岡の原子炉にかかると考えるのが妥当であろう。

 この恐ろしいほどの数字を、わかりやすく言えば、重力(約1000ガル)とはほとんど無関係にものがあちこちに飛び交う状態なのだ。イザと言うとき、運転中の原子炉の核暴走を止める働きをする制御棒が、果たしてうまく燃料体に差し込まれ、核反応が急停止するかどうか、確証できる専門家はまず、いないであろう。

 地盤は磐石、大丈夫というのなら、少なくとも、浜岡原発敷地内の断層が巨大地震によってズレを引き起こす可能性のある活断層ではないのだから、再調査を自ら進んで国に要請する、あるいは自主的に再調査して、いわば〝身の潔白〟を証明することにはなんら問題はないはずだ。電力会社としても、正々堂々、すっきりする。

 というのは、内閣府の原子力安全委員長、斑目春彦氏が、痛恨の思いを込めて、委員会廃止に当たって、原子力安全の確保には

 「事業者の自主的安全性向上努力を引き出す規制の構築」

が、ぜひとも必要だと「所感」で訴えているからだ( 近著『証言 斑目春彦 原子力安全委員会は何を間違えたのか』( 聞き手=岡本孝司東大工学部大学院教授、新潮社 写真左 )。

 Photo これがなく、国の規制をクリアしさえすれば、こと足れり、としていたところに、大きな問題があった。形式主義では安全は確保できない。そう言っているのだ。

 今回の事故を最小限に食い止めることができなかった重要人物のひとりからの痛恨の警告であるだけに、急所を突いた指摘であると思う。

 仮に、もし、再調査の結果、活断層ということになれば、直下型大地震、あるいはプレート型巨大地震が起きれば、原子炉建屋とタービン建屋をつないでいる多数の配管がズタズタに引きちぎられることは、よほどの幸運が重ならない限り、ほぼ必定である。

 ● 中部電力、行きがかり断ち切る好機

 中部電力は、ほかの電力会社のように原発依存度はそれほど高くない。10%程度だ。活断層の再調査や、その結果に伴う廃炉の決断をするとしても、経営的にはそれほど深刻な打撃にはならない。むしろ、今後ドンドン余計なコストがかさみ、原発は割り高な電源ということになるだろう。ただ、電力業界に対する遠慮があるから、真っ先に、ひとり勝手には決断ができないだけなのだ。

 科学的な根拠を待つというさきのばしの、そして後ろ向きの経営判断では、痛恨ともいえる東電の二の舞を演じることになるだろう。今、日本のど真ん中にある電力会社としての度量と見識が問われているとも言える。

 浜岡原発(廃炉中の1号機)は、想定東海地震が指摘される直前に運転を開始してしまった発電所である。この経緯を、今こそ思い起こすべきだ。もう少し早く、指摘がなされていたら、中電とて、おそらく建設には二の足を踏んだであろう。

 中電にとって、今は、行きがかりを断ち切り、自主的に原発の安全性と向き合うまたとない好機ともいえる。脱原発、あるいは脱原発依存の時代へという大いなる大義名分がある。誰に遠慮が要るというのか。むしろ〝国策〟に協力する電力会社として、高い評価を受けるであろう。

 私たち自身が安全性と向き合うという点では、福島地検などで告訴・告発を受けて起訴するかどうか、現在見極められている

 業務上過失致死傷罪という刑事責任を東電に裁判で問うこと、

 浜岡原発の運転差し止め訴訟および、その本訴(東京高裁)を支えること

が、大事であろう。かつての水俣病裁判もそうであったが、国民の健康を守るには、どんな原則に立って、国はどんな責任を負っているのか、明確にする必要があるからだ。裁判は出来事を風化させない有力な手段でもある。

 浜岡原発のなかでも、海側に近く、地盤に異常がある恐れが高いなど、最も危険と思われる5号機についても、訴訟で問題点を洗い出すことは、この意味で有意義だろう( 補遺2 )。 

  そのほか、多様な回路づくりでは、つぎのような取り組みも重要だ。

 原発住民投票条例づくりへの新たな取り組み、金曜デモ。さらには、これからの原発・エネルギー政策づくりなど科学・技術の政策決定における国レベル、あるいは自治体レベルでの新しいルールづくり、ジャーナリズムの社会的な責務の明確化や予見のできる科学ジャーナリズムの確立などは必須と言えるだろう。

 とりわけ、予見のできる科学ジャーナリズムの確立は急務と考えたい。起きてから騒ぐ今の科学ジャーナリズムが、ある意味で、今回の原発事故を引き起こしたと言っても過言ではない。

 ● 原発政策で自民、公明に大きなへだたり

 大勝した自民党と公明党は連立を組む。しかし、今後の原発政策では自民党が原発ゼロにはせず、原発依存度を下げる方向性を出している。これに対し、公明党は、民主党同様、段階的にゼロにするとしており、そこには大きなへだたりがある( 補遺3 )。

 ゼロにするにしろ、依存度を下げるにしろ、全国でも最も危険な状況にある浜岡原発の活断層の再調査や、発電所内の使用済み核燃料棒の安全保管は、もはや待ったなしである。

 来年には導入される見通しの運転40年制限制度を守っていたのでは、浜岡原発3号機-5号機は、南海トラフ巨大地震の発生に遭遇する可能性が高い。巨大地震の発生は、今世紀中ごろまでには確実だとされるからだ。

 斑目委員長は、先の証言所感で、

 日本の安全規制は、30年前の技術水準

と、その規制の甘さを認めている。30年前といえば、おおよそ浜岡原発が立ち上がったころだ。この証言には、安全規制の指針改定が、電力業界の圧力などでなかなかできなかったくやしさがにじむ。この水準を上げなければ、このままでは、大変な事態が起きかねない。

 再稼働を急がず、安全委員会に代わって新たに発足した規制委員会は、Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Action(修正)という品質管理向上サイクルに従い、早急に安全規制の水準向上に、電力会社には、自主的な安全性向上に積極的に取り組んでもらいたい。

  ● 「地方は世論の本(もと)なり」

 最後に、疑わしきは国民の利益に、という旗印とともに、もう一つ、地方に暮らす私たちの基本的な姿勢、旗印として、

 地方は世論の本(もと)なり

という考え方をしっかりと持ちたい。主権者は私たちである。国家が主権を独占する時代は終わりつつある。

 これまでひとえに国の政策であった原発・エネルギー政策を問い直すことは、この意識を問うことでもあり、これなしには成就することはないであろう。 

   ( 写真中は、今回の評価会合を原子力規制行政の大きな転換点と評価した2012年12月11日付朝日新聞社説「脱・安全神話の時代へ」 )

  ● 注記 原発の行政訴訟における立証責任について

 伊方最高裁判決(1992年10月)によると、違法性の裁判所の判断基準は、行政訴訟の裁判ではすべての資料が国側にあることから、立証責任のあり方について述べ、

 「行政庁が主張、立証を尽くさない場合には、行政の判断に不合理な点があることを事実上推認されるものというべきである

と判示している。立証責任は事実上、行政にあるとした。

 このことを、北陸電力会社を相手取った住民の民事差し止め訴訟にも適用、あるいは準用した判決が、住民側勝訴の

 志賀原発2号機差し止め訴訟(2006年3月、金沢地裁、井戸謙一裁判長)

である。この民事裁判では、今回、活断層ではないかと問題になっている断層や、それとは別にある付近の断層帯の危険性が争点となった。

 後に、この判決を書いた井戸裁判長は、住民側が指摘する具体的な危険性について、

 「電力会社が、十分に反証できなかった。住民の利益は、生命、身体なのだから、電力会社の公共性を考えたとしても、一企業の経済的な利益より優先される」

とコメントしている(『原発訴訟』(海渡雄一、岩波新書)。これは、伊方最高裁判決を踏まえた差し止め判断といえよう。

 なお、この差し止め訴訟は、控訴審の名古屋高裁金沢支部で住民敗訴(2009年3月)。住民側上告に対し、最高裁は「上告棄却」の決定をしている(2010年10月)。

  ● 注記2  志賀2号機差し止め訴訟判決に対する地元紙、北國新聞の一連の社説

 志賀原発2号機 疑問の多い「差し止め」判決(2006年3月25日付)

  志賀原発訴訟 地裁判決の取り消しは必然(2009年3月19日付)

  原発差し止め訴訟 上告棄却は自然な成り行き(2010年10月30日付)

  この社説が掲載されて、4か月半後に、今回の福島原発事故が発生していることは注目される。

 注記3  2013年1月23日付中日新聞朝刊

 この新聞には、

 事業者の日本原子力発電、敦賀「活断層ではない」強調

という記事が出ている。この反論の要点は、規制委が活断層と認定した問題のD1断層と、2号機直下の断層とは、直接つながっていない、関連がないというもの。この主張の正しさを実証するため、22本の追加ボーリングを敷地内で実施する計画を発表した。その地質調査現場も公開した。2月下旬にも調査結果がまとまる見通しという。注目したい。

 ● 補遺 安全対策のバックフィット制度に注目

 Image53900 新しい安全基準ができる来年7月以降、規制委は、再稼働の可否について、科学的な根拠に基づき、速やかに審査するとしている。敦賀原発2号機は、この審査の対象外となる。発電のできない原発を廃炉にするか、どうかという判断には、規制委はタッチせず、事業者の日本原電の経営判断に委ねられる。

 来年7月からは、規制委設置法に基づいて、既存の原発にも最新の安全対策を課す、いわゆる「バックフィット制度」の運用も始まる。これにより、活断層が原子炉建屋の真下などに新たに見つかった既存の原発に対しては、廃炉を命ずることはできないものの、運転停止を命ずることができるようになる。運転停止のままどうするか、それは経営判断に委ねられるとはいえ、これは、移設は現状ではほとんど不可能だから、事実上、廃炉にするしかないであろう。

 また、原発の原則40年運転制限制度も導入する予定。最低限の原則として意味がある。しかし、これでは、運転が始まって間もない浜岡5号機は、運転中に南海トラフ巨大地震に遭遇する可能性はきわめて高い。この対策を真剣に考えるべきだ。

 一律40年ではなく、原発の立地危険度、原発の密集度を考慮した優先的な廃炉順位付け制度も検討課題だろう。今回の大震災は、原発の密集がメルトダウンの連鎖を招き、次々と大規模避難を強いられかねないことを示した。この対策を忘れてはなるまい。

 補遺2 

 浜岡原発5号機の安全性への不安については、静岡県内で最大震度6弱を記録した駿河湾地震(2009年8月、M6.3 )直後の静岡新聞(9月10日付1面)に次のような記事が掲載されている(最大震度はまさに浜岡原発のお膝元、御前崎市)。

  中電は地震で緊急停止した浜岡原発4号機の運転を9月15日にも再開する。一方、揺れが突出した5号機は、再開のめどが立っていない。5号機は地下2階で1ないし4号機の約4ないし2.6倍の加速度426ガルを観測した。岩盤(地下22メートル)上の揺れは314ガルで、国の中央防災会議による想定東海地震の揺れ395ガルに迫ったことが、市民や関係者の不安につながっている。8月末の原子力安全。保安院の小委員会でも不信の声が上がった。中電は「地下構造を把握し、要因を突き止めたい」と説明しているが、今後の耐震性議論に影響するのは必至だ。

  その後の結果については、1年後の2010年7月29日付静岡新聞朝刊に

 浜岡5号機、地層特性考慮しても耐震性確保 -中電、国に報告

との記事が出ている。 

 5号機直下の地下構造を調査した中電報告によると、「低速地層」と呼ばれるやわらかな地層が見つかり、これが地震波を増幅されたのが高いガルの主因としている。この調査結果をシュミレーションで十分に考慮しても、想定東海地震に対する耐震安全性は確保できると解析。しかし、保安院の構造設計の専門家からなる小委員会では、これに対し異論が相次いで、さらに検討することになったという。

 このほか、海岸に近い5号機については、安全審査を受け2年後の再稼働を目指してはいるが、過去に原子炉内に海水が流れ込むという運転事故もあり、ほかの号機より、安全性が高いとは言えない状況であることに注意すべきである。このことは、発電所敷地内にある膨大な数量の使用済み核燃料の安全保管問題に深刻な影響を及ぼしている。

 この喫緊の課題が解決しない限り、再稼働の安全審査申請などはあり得ないのではないか。使用済み核燃料の安全保管がいかに大事であるかは、今回の大震災の福島第一原発4号機の最大の、そして最悪の悪夢からの教訓であることを忘れてはなるまい。

  補遺3

  自民党と公明党の安倍新政権の原発政策の骨子(安倍普三首相年頭所感)。

 第一。再稼働については、7月にまとまる規制委の安全審査新基準をパスしたものの中から、今後3年をかけ、政府の責任で再稼働を認めていく方針。

 第二。原発依存については、今後10年間かけて、原発新増設も含めて電力のベストミックスを見極める( 注記 原発依存度をゼロにはしないが、ゼロを打ち出している公明党に配慮して、依存度を当面減らす方向の意味だろう。1号機、2号機の代替(いわゆる「リプレイス」)である浜岡6号の計画は、新設や増設に当たらないとして生き残る可能性 )

  第三。この間、再生エネルギーの開発に全力で取り組む 

  ● 参考文献

■ 浜岡原発と活断層 真下に巨大活断層の可能性

Dsc00773 ○ 中電プレスリリース(2012年2月29日付) 活断層の連動性について。リリースは、大震災を受けて、浜岡原発の周辺における活断層の連動性に関する検討について、保安院から再解析を指示されて作成された報告の概要。その結果は「連動性を考慮する必要のある活断層の組み合わせはない」というもの。ここには、右写真のように、もっとも大きな影響が予想される「石花海(せのうみ)海盆内西部断層帯」など、浜岡原発の海側の16の活断層が図示されている。

 配布資料=浜岡原発と活断層

   「hamaoka.pdf」をダウンロード      

○ 浜岡原発の真下に巨大活断層の可能性 名大教授指摘 室戸岬まで全長400キロ(2011年7月17日付東京新聞)。この記事によると、海上保安庁のデータをもとに、鈴木康弘名大教授(変動地形学)が数百メートルの海底にある活断層によってできたと推定される「たわみ」を確認したというもの。「遠州灘とう曲帯」と名づけられた。

○ 「新たな活断層調査について」(政府の地震調査委員会、2009年4月)。地表から見えない活断層、あるいは海沿いの活断層など、新しい選択基準に基づいて、活断層の再調査に乗り出している。この基準では、陸域ではこれまで考慮されなかった短い活断層、あるいは地表に現れていない活断層の調査も実施する。さらに、これまでほとんど長期評価がなされてこなかった海沿いの活断層の調査にも力を入れている。目標は「活断層基本図」の作成で、10年後の完成を目指している。

 注目されるのは、つい最近、その第一弾として原案がまとまった九州地域。活断層の数が倍増している(1月14日付のYOMIURI ONLINE ニュース)。

  また、注目の稼動中の大飯原発の敷地内を横切るF-6破砕帯が近くの活断層と連動して動くかどうか、それとも地すべりなのか、その2回目の調査結果について検討する規制委の評価会合が、2013年1月16日に開かれた。しかし、評価の結論は出ず、調査を継続することになり、評価は先送りされた。仮に活断層と認定されれば、敷地内を走る重要施設の緊急取水配管がこの破砕帯を横切っており、今後の再稼働の安全審査に重大な影響が出ることは必至。

○ 『新編 日本の活断層』 (活断層研究会編、1991年)

 ■ 最近のブログ「左側のない男」から

○報道する側の問題点

論説=地域と研究者とジャーナリズムと(2012年11月17日付)

画竜点睛を欠く中日新聞 原発放射能拡散予測(2012年10月26日付)

もう一つの「原発のできなかった町」珠洲  告白的ジャーナリズム論(2012年8月22日付)

原発事故調報告、八つ当たりの日経「社説」(2012年7月25日付)

発言を認め、原子力ムラの本音引き出そう(2012年7月23日付)

アリバイづくりの「原発比率」意見聴取会(2012年7月15日付)

「藪の中」の原発事故 真相は刑事裁判で(2012年7月9日付)

平均値でものを考えない 節電の盲点(2012年7月7日)

○原発事故関連

低線量被爆は高レベルより安全か 細胞膜を破壊するペトカウ効果の脅威(2013年1月8日付)。注記-このブログには、事故で大量に放出された放射性ヨウ素131が静岡県内にどのように拡散してきたか、その拡散シミュレーションが紹介された2013年1月12日放送のNHKスペシャル「空白の初期被ばく」をもとに論じている。

危険値の100倍被爆の驚愕 なお驚く非公開 東電はまともな企業か(2012年12月3日付)

なぜ消された?「テレビ会議」録画 名大シンポ(2012年10月30日付)

疑わしきは予防する 低線量被爆の脅威(2012年10月16日付) 

最も危険な「浜岡5号機」は間に合わない(2012年9月16日付)

急ぐべきは「使用済み」の安全保管  浜岡原発差し止め訴訟原告代表訴える(2012年9月12日付)

大量放射能漏れは東電の過失 これで刑事責任は問える(2012年8月29日付)

「藪の中」の原発事故、真相は刑事裁判で(2012年7月9日付)

○エネルギー論関連

コーヒー一杯の分のエネルギー革命を 夏を乗り切った「電力」(2012年9月2日付)

脱原発のコスト 1世帯平均年1万円を10年(2012年8月7日付)     

○南海トラフ地震関連

過去に目をつむる者は 予測された巨大津波(2012年11月30日付)

静岡県は住んでよし、訪れてよしの「ふじのくに」のはずなのに(2012年8月31日付)

■ 最近の新聞記事から

原発の新たな安全基準づくりの攻防(2013年1月14日付「静岡」)。

注記- 今年7月施行予定の注目の基準づくりの様子が記事になっている。ポイントは、「原子炉建屋など重要施設は、地震で直接動く主断層やそれに伴いずれる副断層などの活断層の直上に設置してはならない」と直接的で明確な文言を盛り込めるかどうかである。

  もう一つのポイントは、活断層の定義の変更。これまでの12万年から13万年前以降に活動した断層というものから、無用の論争をさけるため、40万年前以降の活動断層と再定義する。2013年1月末までには、基準の骨子案がまとまり、公表される見通し。

原発10基超 防災に不備 経産省が調査開始 可燃ケーブル使用(1013年1月1日付「毎日」)

原発事故 100人超聴取へ 検察、東電旧経営陣ら(2012年12月30日付「産経」)

原子力規制委、断層調査の暴走が心配だ(2012年12月30日付「産経」社説)

「地すべり」か「活断層」か 地層の「ずれ」埋まらぬ溝 大飯原発(2012年12月30日付「産経」)

原発はブラック・スワンなのか モスクワ支局長「日曜日に書く」(2012年12月30日付「産経」)

関東、大地震の確率上昇 今後30年以内、「浜岡」は95%(2012年12月22日付「朝日」)

敦賀 廃炉の公算大 「原発直下に活断層」 規制委、再稼働認めず(2012年12月11日付「朝日」)

敦賀原発 脱・安全神話の時代へ(2012年12月11日付「朝日」社説)

甲状腺被爆 最高1.2万ミリシーベルト WHO報告書 福島第一の作業員(2012年12月1日付「朝日」)

静岡原発条例の教訓 民意発信、多様な回路を(2012年10月14日付「朝日」社説)

■ 最近の著書から

『人間と環境への低レベル放射能の脅威 福島原発汚染を考えるために』(グロイブ/スターングラス。肥田舜太郎ほか訳。あけび書房。2011年6月)

『脱原発』(浜岡原発差止訴訟弁護団長=河合弘之、作家=大下英治。青志社、2011年6月)

『原発訴訟』(海渡雄一、岩波新書、2011年11月)

『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』(日本再建イニシアティブ、ディスカヴァー、2012年3月)

『原発再稼働 最後の条件 「福島第一」事故検証最終報告』(大前研一、小学館、2012年7月)

『原発報道 東京新聞はこう伝えた』(東京新聞報道局、東京新聞社、2012年11月)

『原発と地震 柏崎刈羽「震度7」の警告』(新潟日報社特別取材班、講談社、2009年1月)

「週刊金曜日 特集=原発報道の正体 新聞、テレビ、ラジオは何を伝えているのか」(2012年10月19日号)

「週刊ポスト」2012年11月9日号「いまさら何だ、地震学会! 「予知はできない」」

2012年10月22日付毎日新聞特集=この国と原発「毎日新聞社説」検証

2012年2月29日付朝日新聞「耕論」=科学者の責任(東日本大震災1年特集)

「GRAPHICATION」2012年1月号「ジャーナリズムと専門家の社会的責務」池内了

戦略提言「政策形成における科学と政府の役割及び責任に係わる原則の確立に向けて」

(科学技術振興機構研究開発戦略センター、2012年3月)

「Science」2012年9月7日号「Rebuilding Public Trust in Science for Policy-Making」 注=元科学技術立案官僚からの政策提言として注目したい

「科学」(岩波書店、2013年1月号)「大飯原発の活断層について」(島崎邦彦規制委委員長代理)

2012年8月27日付朝日新聞「私の視点」河合弘之弁護士=原発事故と検察、録画入手へ捜査乗り出せ

2011年12月10日付朝日新聞「私の視点」井上正男科学・技術担当論説委員=地震学の敗北、学界や報道の体質改善を

 なお、浜岡原発の津波や地震に伴う安全性など幅広い問題については、大震災後の2011年5月以降の

 静岡新聞の長期連載「続・浜岡原発の選択」

が貴重(記事全文は

 http://www.at-s.com/news/featured/genpatsu/sentaku_2/all/ 

で読むことができる)。取材班、特に特定の記者が一貫して取材を続けており、名古屋に本社がある中電内部の動きを除けば、有用な記録である。

 原発に対する立ち位置、スタンスは、6号機計画の撤回など、脱原発依存。「再稼働は住民の不安解消後に」を提唱している。

 ● 活断層と原発、廃炉 - その海外事情  2013年1月27日深夜 付記

 この問題については、この日放送された

 NNNドキュメント( 静岡だいいちなど、日本テレビ系列)の

 「活断層と原発そして廃炉」

が参考になる。

 1960年代、アメリカ西海岸に建設を予定していた

 ボデガヘッド原発(サンフランシスコ郊外)

は、建設工事中にプレート型活断層が発見され、1964年に一度も稼働することなく廃炉になった。

 稼働後、付近に活断層が発見されたものに

 1972年に稼働を始めたフンボルトベイ原発(西海岸)

がある。80キロをこえるプレート型活断層で、大地震による配管破断(いわゆるギロチン破断)のおそれから、稼働から10年後に廃炉(1983年)。

  もうひとつ、カリフォルニア州ロスアンゼルス郊外に建設された

 ディアブロ原発

についても紹介されていた。付近を通るホズクリ活断層の発見後も稼働していた。しかし時の安全基準を満たすために必要な莫大な追加補修、すくなくとも当時の費用で1000億円がかかることがわかり、廃炉となった。続けていれば、さらに5000億円にものぼるコストがかかったであろうと番組。

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