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理性と情熱  政治指導者の条件 

(2012.10.02)  このブログでは、政治そのものを直接論じることは意図していないが、これは例外としたい。というのは、ニュースを届け、それを論じる番組なのに、その番組自体がニュースだったからだ。

 野田内閣の組閣が行われたきのう、産経新聞グループのニュース徹底討論番組BSフジ「プライムNews」が、なんと、読売新聞グループの渡辺恒雄会長(読売新聞社主筆)に独占インタビューし、それを即日、番組枠2時間いっぱいを使って放送していた。しかも、インタビューしたのはスタジオではなく、これまたなんと読売新聞本社だった。

 渡辺会長は現在、85歳。

 今、日本の政治はどうあるべきか、について、政治記者歴60年の経験から、幅広く論じていた。

 杖をわきに置いての怪気炎だったが、若いころは共産党員として共産党宣言やマルクス・レーニン主義にほれ込む。が、思うところがあり、やがて転向。むしろ、いい勉強になったとカラリと話すその熱弁の様子は、頭脳は明晰、まだまだボケてはいない。

 そんな会長は、ズバリ、組閣人事を採点すると何点か、という質問に、即座に

 「60点」

と明言していた。論功行賞もしなければならないだろうから、と注釈をつけつつ、可もなく不可もない、ギリギリ合格という意味合いを持たせていた。

 ただ、どんなに遅くても来年3月までには解散せざるを得ないこんな内閣に入閣したいという政治家の気持ちが知れないと、辛らつな批評をしていたのが印象的だった。こんな短期間では何もできないのになぜ大臣になりたいのかという意味だろう。皮肉かもしれない。

 さて、番組最後に、恒例の提言。政治家、トップリーダーの条件について、会長は、墨で、葉巻をくわえながら、悠然と、そして足を組み、パネルをインタビュー者に持たせたまま、

 その1。ポピュリズムの超克

 その2。理性と情熱

を挙げた。これが二時間の熱弁の結論だ。超克とは、困難を乗りこえて、それに負けまいとする意味だ。それには、情熱が政治指導者には不可欠だと言っている。しかも、いくら情熱があっても、暴君の情熱であったり、独裁者のそれであってはならず、やはりそこには理性という歯止めが必要だと言っているのだ。

 その通りだろう。ただ、それが読売新聞グループの〝独裁者〟の経験と情熱から出た言葉というのが、ちょっと違和感を感じさせた。

 それ以外では、さすがは政界について経験の豊富な政治記者の骨太な話であると感心した。

 Image1039_2 もうひとつ、政治記者歴50年、現在77歳の岩見隆夫毎日新聞客員編集委員の名政治コラム「近聞遠見」が先日、23年間の連載を終了した。100行超を毎週掲載するだから、これは大変な重労働である。同社編集局次長なども長くつとめており、ブログ子も、紙面からさまざまな局面で教えられることが多かった。

 最終回は9月29日付の「60代はどこにいった」= 写真上 。戦後ずっとながめても60代リーダーがほぼ常態だった。たとえば戦後の歴代首相の就任年齢は平均63歳。それが今は、若返り、60代でトップをうかがう国会議員は見当たらないという。

 しかし、岩見さんに言わせると、国を背負うトップリーダーとして、50代は熟成度が足りないと思う場面を何度も見てきたという。

 結論として、今、55歳の野田佳彦首相、58歳の安倍晋三自民党新総裁(元首相)と、50代リーダーの時代を迎えた感がある。しかし、首相として国の舵取りを50代に任せるのは早すぎると書いて、締めくくっている。

 練達の政治記者の目であるだけに傾聴すべき見方であろう。

  Image1040_2 そんな岩見さんだが、同日付毎日新聞朝刊特集対談「尖閣問題で緊迫する中 日中国交正常化40周年」で、

 両国のトップリーダーの情熱こそが正常化交渉を成功へと導いたのだ

と力説している( 写真下 )。情熱という文言は、見出しにもうたわれている。同行特派員として当時北京に赴いて歴史的な状況をつぶさに現地取材した体験からの分析である。

 ここでも国の舵取りで、いみじくも「情熱」がキーワードとして出てくるのは、偶然ではあるまい。情熱とは、国語辞典的に言えば、目の前にある目的、対象に全身全霊で傾け尽くして、悔いを残さないひたむきさのことを指す。わかりやすく言えば、

 政治家たるもの、命をかけるに足るものを持て

ということだろう。

 これを一般化すると、大ベテランの二人の政治記者が共通して言いたいのは、政治の世界に限らず、

 60代よ、今、情熱を持って奮起せよ

ということだと受け止めたい。

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