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最も危険な「浜岡5号機」は間に合わない

Image991 (2012.09.16)  「原発ゼロ」を目指す、と政府の新エネルギー政策が総選挙を前にあわただしく打ち出されたが、これを一言で評すれば、

 現状を維持する

ということだろう。節電の夏を原発なしでせっかく乗り切ったのに、とまっている原発を再び稼働させるというのだから、現状を維持するとまでも言えないかも知れない。

 15日付新聞各紙を点検してみた( 写真 )。似たような見出しが1面に踊っているが、朝日新聞は「矛盾抱え「原発ゼロ」」と打った。横見出しなのも、ニュースを重要視していることがわかる。これに対し、日経新聞は「「原発ゼロ」矛盾随所に」と縦見出し。

 ともに「矛盾」という文字を使っているが、朝日は「原発ゼロ」に力点を置いた見出しなのに対し、日経は「矛盾随所」を強調している。ほぼ同様な内容なのに、見出しの縦横、力点の置き方が違った。

 このことは、両紙の社説ではっきりする。

 朝日社説は、「「原発ゼロ」を確かなものに」という主張の下、「原発が抱える問題の大きさを多くの人が深刻に受け止めていることを踏まえての決断を、評価したい」と好意的だ。「とはいえ、脱原発への道筋が明確になったとはいえない」としていくつかの注文もつけている。

 これに対し、半分社説の日経は「国益を損なう「原発ゼロ」には異議がある」と主張している。経団連の〝広報紙〟とも揶揄されている同紙としては無理もないように思う。「国益」という言い方をしているが、「企業益」の意味だろう。

 それはさておき、どんな異議か。「 そこ(30年代には原発ゼロにする戦略を決めたこと)には国の安全保障と国民生活の将来について責任をもって考え抜く 姿勢があったようにはみえない」という認識であり、異議だ。戦略はつぎはぎだらけで一貫性を欠くと、痛いところを突いて厳しい。

 厳しいが、日経社説は八つ当たりの主張であり、ではどうするのかという建設的な意見がない。だから説得力がない。否定ばかりでは、国民は納得しないし、行動もできない。

 ここが、問題はあるが、実現に向け、こうして行こうという建設的な朝日とは基本的に異なる。たとえば脱原発基本法の法制化を提案している。たとえ、その提案がやや非現実的ではあったとしても、人はそれなりに動くものだ。

 まず、ブログ子は、この脱原発ゼロを実現するための3原則、40年廃炉の厳格適用、安全確認後の原発再稼働の容認、新増設はしない-では、

 最も危険な浜岡原発5号機の廃炉は2030年代ではなく、2040年代後半

となり、南海トラフ巨大地震の発生に間に合わないという点を特に強調したい。このブログでも先に、文献を示して論じたように、南海トラフ巨大地震は、21世紀半ばまでには、過去の発生の周期性から見て、ほぼ確実に起こるとされているからだ。次に危ない浜岡4号でも30年代半ば。

 これまでに重大な事故を起こしたり、地震で被災した原発、さらには巨大地震の危険が迫っている原発を優先して廃炉にする政策にまで、早く踏み込むべきである。現状維持かどうかというのんきな論議よりも、これが大事だ。実をとるときだ。何のために廃炉にするのかということを考えれば、ここまで踏み込まないと意味がない。

 設計上からの判断、つまり40年運転原則は正しいとしても、廃止において優先順位をきちんと精査する、あるいはせめて言及することが、政策の本気度を試す試金石ともいえる。

 第二。

 急ぐべきは、各原発に一時保管されている大量の使用済み核燃料の安全保管なのに、これまたきちんとした政策が打ち出されていない。この問題は使用済み再処理問題以上に緊急性がある。その恐ろしさが見落とされていて「死角」となっていたことを、福島原発事故はあらためて私たちに突きつけた。日本破滅の元凶といいたい。

 脱原発は、当代の流行り言葉ではない。具体的な政策、工程表の提示のない原則論の時期はとっくにすぎている。

 第二の福島原発事故が、今度は静岡県、つまり最も危険な浜岡原発で起きる悪夢はなんとしても避けなければならない。

 それには、国民もまた、脱原発への道では、最終的な電気料金の大幅な値上げ、節電の痛みを引き受ける覚悟が必要だ。

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