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大量放射能漏れは東電の過失 これで刑事責任は問える

(2012.07.23/08.29)  原発事故に対する4つすべての事故調査委員会の最終報告書が出そろった。これらの報告書をつぶさに読んでみたが、一言で言うならば、

 大量放射能漏れは東電の重大な過失であり、これらにより業務上過失致死傷罪などで東電の刑事責任が問える

というものだった。

 Image9320 この件に関して、多数の福島県民が東電の役員や原子力安全・保安院の責任者らを福島地検に刑事責任を明確にしようと告訴・告発し、受理された。その代理人をしている河合弘之弁護士も同意見であることを知った。

 8月27日付朝日新聞朝刊「私の視点」( 写真 )で、

 今こそ検察が本格的な捜査に乗り出し、起訴にこぎつけるべきだ

と主張している。賛成だ。そのためには、

 なにより重要なのは免震重要棟と東電本店などを結んだテレビ電話会議の詳細な録音・録画だ。

としている。海水注入や最後の手段である格納容器からの排気がなぜ遅れたのか、その答えが詰まっているからだ。

 この現物は、先のBSフジの夜の討論番組「プライムニュース」(2012年8月22日)に出演した広瀬直己東電社長によると、膨大な量であるが、きちんと社内に保存されている様子を紹介していた( 注記 )。

 河合弁護士は、検察の力で強制的にでも入手する必要がある

と強調している。というのは、東電側は、映っている社員のプライバシー保護を理由に全面公開を拒否しているからだ。しかし、国家存亡の事故の処理をする人間は公的な存在であり、プライバシーうんぬんを議論する余地はないと河合弁護士はこの論考で述べている。その通りだと思う。

 今回の戦後最大の事故の原因には、昭和20年当時、終戦処理に当たった天皇を中心とする軍部や政治指導者の統治システムと同様な無責任さがあると指摘されている。この無責任さが終戦をずるずると何も決められないまま、数か月もの時間をいたずらに費やしたというのだ。今回も、これらの報告書から、決められない政府の危機管理体制、つまり無責任な危機管理がもたらした右往左往のもたつきが、とめられたはずのメルトダウンの連鎖や、その結果である外部への大量放射能漏れを引き起こしたのではないか。そんな問題点として浮かび上がっている。

 検察は、録画入手でこの大きな問題、巨悪にメスを入れるべきであろう。たとえば、いろいろな要因が重なって発生した組織事故で、特定の個人の責任が問えるかなど、いかにも専門家らしいテクニカルな法律論議で、国民の期待を裏切ってはなるまい。

 検察は、今年度内にも立件できるかどうか判断すると言うが、組織事故でも当然刑事責任が問えるという、検察の社会正義の姿勢を貫いてほしい。

  注記

  2012年8月30日付朝日新聞社会面によると、加工されていない原本のコピーについて、東京地裁で株主代表訴訟の原告側(代理人=河合弘之弁護士)と東電は、地裁の仲介と説得により

 東電のテレビ会議記録 原本コピー保管に合意

した。合意では、東電側は原本を捨てたり消去しない、原告側が提出コピーの改ざんの有無を確認できるようにする-などが盛り込まれたという。重要な証拠が保全されることになり、刑事責任を問う裁判でも、これで起訴が可能になるのではないか。

 コピーについては、事故当日の3月11日から同月末までの分で、コピーはDVD99枚とブルーレイディスク56枚にものぼる。原本をそのままコピーしたのは、東電側。

 補遺 2012年10月12日  福島原発事故の東電、「事故は対処可能だった」と不作為の責任認める

 CNN( http://www.cnn.co.jp/world/35023017.html )によると、

 東電自身が原子力事業改革のために設置した「原子力改革特別タスクフォース」で、東電は震災前に原発の安全性リスク、危険性を把握していたと証言した。しかし、海外の事例を参考に安全設備の多様化など対策を講じるとかえって反原発運動を勢いづかせる懸念があり、その結果、原発が閉鎖に追い込まれる恐れがあることから、危険性を意図的に過小に評価していたことを認めた。この会合には、広瀬直己社長や下河辺会長も出席していた。

 これは、事故の予見性と並んで、刑法の業務上過失致死傷罪の成立に必要な「事故の回避性」が可能であったことを東電は事実上認めたことになる。東電が刑事責任で起訴された場合、裁判ではこの証言は大きな影響を与えるだろう。 

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