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合格点は中日新聞 「終戦」社説を読む

(2012.08.20)  8月15日付朝刊の各紙「社説」を読んでみた。陳腐ではない明確な主張があるか、新しい視点が提示されているかという二つの評価基準で採点した結果は

 合格点は中日新聞のみ

という結果になった。基準のいずれにも当てはまる。次いだのが、朝日新聞、産経新聞だった。あとは、評価の基準をいずれも満たさず「落第」。

 中日新聞。

  未来世代へ責任がある 戦争と原発に向き合う

というのが主見出しであり、主張である。8月というのは、原発事故後は戦争と原発に向き合う月となったという視点を提示している。先の戦争と、今回の戦後最大の惨事は、その無責任な統治機構という点からは似ているという指摘があり、新しい視点である( 注記 )。

 主見出しに出てくる「責任」とは、社説が「脱原発こそが、われわれの未来世代に対する倫理」であり、「原発ゼロの選択の勇気と気概、覚悟」が要ると主張していることから、この覚悟を指すものと考えられる。

 つまり、勇気や気概、覚悟にわたしたちは今後ずっと責任を持とう

と呼びかけている。読者を叱咤激励した社説になっているのは評価できる。

 週刊誌だが「週刊金曜日」8月10日号は、「敗戦」特集として

 原発と原爆

を特集している。闘いつづける老写真家を取り上げ、「ヒロシマからフクシマへ」を論じている。ブログ子は支持しないが、一つの見識だろう。

 朝日新聞。

 戦後67年の東アジア グローバル化と歴史問題

 韓国大統領の突然の竹島上陸を取り上げているが、主見出しで何を主張しようとしているのかはっきりしない。「何々と何々」という言い方は、主張すべきことがない場合に、体裁をつくろい、形を整えるときによく使われる論説専門用語である。

 案の定、結論は陳腐。歴史問題で「大事なことは、基本的な事実認識を共有しながら、相互理解を深めることである」とサジをなげている。具体性のないことはなはだしい。

 産経新聞は威勢がいい。

 終戦から67年 英霊に顔向けできるか 平和と繁栄守る「強い国家」を

として遺骨収集をもっとしっかりやれと政府をしかりつけている。上陸問題にしても何にしても国が体たらくだからだ。その象徴が収集問題なのだと主張している。他紙とは一味も二味も違う。視点は相変わらずだか、陳腐ではない明確かつ具体的な主張がある。

 読売新聞はひどい。

 「史実」の国際理解を拡げたい 日本の発信・説得力が問われる

 何を主張したいのか、これだけではわからないが、どうやら、上陸問題では国際司法裁判所に堂々提訴しろと言いたいらしい。それにしても、主見出しは、陳腐そのもの。主人持ちの論説委員ではこれが限界だろう。

 毎日新聞は

 終戦記念日に考える 体験をどう語り継ぐか

 上陸問題を取り上げてはいるが、かろうじて、これまでの毎日新聞の殻を破って

 「自虐史観ではない、バランスある成熟した議論作り上げたい」

としている。陳腐のきわみだが、毎日新聞としてはずいぶん踏み込んだつもりなのだろう。

 日経新聞。

 経団連広報誌なのだから、当然、終戦日社説は半分社説で、主見出しは、なんと、

 「いつか来た道」にならないために

 恐れ入った事大主義的な主張で恐れ入る。上陸問題はおろか、最近の領土問題に一切触れていない。そうならないためには「歴史に学ぶ姿勢を大事にすべき」とは、なんともはや陳腐な結論。何も主張することがないから、苦し紛れに書いたのだろう。50年前に掲載された社説といっても、通用するだろう。ひどい。

 地元紙の静岡新聞。 

 終戦の日 歴史に学び誓い新たに

 原発事故に一言も言及していないのは異様。これまた50年前の社説をそのままコピーしたと言っても、通用するような社説。新しい視点はもちろん、陳腐ではない明確な主張のない社説の典型であり、びっくり。

 それくらいななら、北國新聞のように、終戦社説を掲載しないというのも、ひとつの明確な主張であり、見識であろう。地元に根付いた地ダネ社説が掲げられていたのに、むしろ好感を持った。

  注記

 戦争最高指導者会議など、終戦をめぐる天皇と最高指導者たちの間の無責任な統治機構は

 終戦を早く決められなかった大きな原因

となった。8月ではなく、ソ連参戦の情報をつかんだ6月、日本は、その気になれば終戦を決定できた。しかし、現実は、ずるずると、何も決められないで日時を費やすことになった。

 一方、戦後最大の大惨事となった原発事故では、政府の危機管理システムは、

 メルトダウンの連鎖を早くとめられなかった原因

となった。無責任といえるほどに、混乱を極め、危機管理のシステムがまったく機能しなかった。このことは、政府が終戦処理をめぐる外交交渉の失敗の教訓を今も何も学んでいない証拠だろう。

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