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静岡県は住んでよし、訪れてよしの     「ふじのくに」のはずなのに

Image950 (2012.08.31)  静岡県のキャッチコピーは

 住んでよし、訪れてよし「ふじのくに」

なのに、8月30日付の新聞各紙1面トップ( たとえば、写真= 中日新聞 )に、たいていの静岡県民はがく然としただろう。

 南海トラフを震源とする3連動巨大地震が起きれば、最悪の場合、つまり、冬場の深夜で比較的に静岡県の陸地に近い震源域で考えられる最大規模の巨大地震M9.1が起きれば、県内死者10万人以上となる。そのほとんどは津波によるものらしい。避難に余裕のあった東日本大震災と違い、その余裕がほとんどないからだ。お隣の愛知県、神奈川県よりも断然被害が大きい。

 しかし、これはまだいいほうなのだ。これに加えて、もし仮に、考えたくもないが、富士山噴火と浜岡原発メルトダウンが連動したら、おそらく静岡県の西部、中部、そして伊豆を含めた東部はいずれも、当分は再起不能だろう。

  この内閣府の専門家検討委員会の想定被害の意味とは、正確には、どういう意味か。それは、こうだ。

 南海トラフで「次」に起きる巨大地震については、いつかは、たとえば今世紀中にはほぼ確実に来るといえるが、具体的にいつ、どのような規模のものであるかは、地震学の未熟さもあって、さっぱりわからない。しかし、現時点での科学的な根拠をもとに想定すると、たとえ、どんな地震が起ころうとも、どの地域でも、ここに示した以上の被害は出ないという意味だ。

 次に来る巨大地震がこのような被害をすべての地域に一度にもたらすという意味ではない。言い換えれば、次にどんな地震が来るとしても、それに備える対策についてそれぞれの地域の設定目標を提示したものである。

 浜岡原発については、防潮堤のかさ上げうんぬん論議ではもはや済まされない。福島原発事故調の報告書では、津波が来る前に福島原発の重要なプラントが地震で一部損傷した可能性があると指摘されているからだ。津波の対策だけでは再発防止策が片手落ちになる。原発は、ほかのエネルギー源に比べてコストがかかり、廃炉が得策という現実的な選択を早く電力会社はするべきだろう。 

 富士山噴火も現実味を帯びてきた。昨年の東日本大震災では、地震直後、富士山直下で大きな地震が発生。ほとんどの火山学者は富士山が噴火すると考えたと言われている。今でも、数年以内に噴火するのではないかという推測が専門家の間でも根強い。世界的にみて、M9.0以上の巨大地震には、それに伴い震源付近で巨大噴火が例外なく起きているからだ。

 日本でも、富士山が直近で大噴火したのは、大被害を出した宝永東南海地震(1707年10月)の2か月後だった。この地震では、東海地方から四国地方までが大きな被害にみまわれたことから南海トラフ巨大地震であったことがわかっている。おそらく、3連動型なのだろう。

 静岡県も県民も、今、現実味のあるものとして地震、津波、原発、噴火の4連動巨大災害に直面しているという危機意識を持つべきだろう( 注記 )。

 住んで地獄、訪れて恐ろしい「ふじ噴火と原発のくに」静岡県

が現実にならないよう、今、この危機意識で手を打たなければ、後悔しても後悔しきれない時がきっと来る。

 巨大地震はとめることはできない。津波も富士山噴火もとめられない。しかし、数十年にわたってその災いが県内で続くかもしれない浜岡原発は県民の意志一つでとめることができる。今、静岡県民の歴史に残る英知が試されているといえるだろう。

  補遺

 と、書いて、このブログを締めくくったが、9月1日付朝日新聞「天声人語」でも、さすがに静岡県に少し〝同情〟してか、莫大な想定死者数に

 「心穏やかではない」

 「想像を絶する想定には、つい目を背けたくなるものだ」

とわが身に引き付けて書いている。「巨大地震の被害想定も、脅かしではなく「目覚まし」と受け止めたい」とまとめるのがやっと。一方で「備えあれど憂いありだ」けれども、「防災対策は悲観に悲観を重ねて講じたい」とも。意図的かどうかは知らないが、全体として、ややしどろもどろのコラムに仕上がっていた。

 しかし、当事者の静岡県の県民までが、しどろもどろであってはこまる。

 住んでよし、訪れてよし「ふじのくに」をこれからも維持するには、具体的にはどうすべきか。今こそ、その行動の時である。

  注記  地震学者20人予想 南海トラフ巨大地震

 「アエラ」2012年3月19日号の「20人予想 今後の大地震」によると、

 アンケートに回答した地震学者20人のうち半数10人が、はっきりと「いつ」と特定することはなかなか言えないとしながらも、確率を明確に数値で表すのは難しいとしながらも、

 今後40年以内には、つまり今世紀半ばまでには、東海地震を含めた南海トラフ巨大地震がほぼ確実に起きる

と回答している。南海トラフ沿いの過去の巨大歴史地震の繰り返し周期が約100年であることからの予測だろう。「その時」は私たちの世代なのだ。

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