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竜巻はなぜ起きるのか その日本の最前線

(2012.08.29)  竜巻の恐ろしさが、アメリカ同様、日本でも知られ始めている。今年の大型連休時( 5月6日 )の茨城県つくば市での強烈な竜巻は記憶に新しい。

 時速にしてその移動速度は約400キロ(風速約100メートル)。新幹線の2倍ものスピードで地上を駆け抜けるのだから、風圧の衝撃で車が上下逆さまになったり、民家などは土台ごと破壊されたりしたのもうなづける。

  Image920 しかし、その恐ろしさの割には竜巻がなぜ起きるのか、その詳しいメカニズムは、竜巻被害大国、アメリカでも日本でもいまだにわかっていない。だから、予報については、アメリカでも発生直前、10分前くらいにしかできないらしい。竜巻の姿が雲間から見えて地表に着地してから警報を出す始末なのだ。

 しかし、これでは、警報を知っても住民に避難する時間的な余裕はほとんどない。メカニズムがわかっていないので、経験則から発生するかどうか割り出すというのだから、これも無理もない。

 なんとか、竜巻が地表に着地する前、つまり、発達する巨大積乱雲の段階、それが無理なら、せめて積乱雲に伴う激しい雷雨の段階で、どこに発生するか予測できれば、その警報は避難には大いに役立つだろう。

 先日、8月26日日曜日深夜、教育テレビ(Eテレ)の科学番組「サイエンスZERO」で、竜巻が発生する瞬間をとらえた映像が紹介されていた。発達する巨大積乱雲の中心から少し離れたところに竜巻のタネともいうべき回転渦がドップラー映像でとらえている(ガストフロントの発見。ドップラーレーダーによる発見=藤吉康志北海道大教授。ビデオ映像による発見=小林文明防衛大学教授)。

 もっとも、ごく大まかな竜巻のでき方はわかっている。つまり、

 広い領域にわたって中心に上昇気流のある発達した巨大積乱雲があること、第二に、上昇気流を回転させる異なる方向の風が吹き込んでくること

-という二つの気象条件が少なくとも必要である。

 ブログ子がボランティア活動をしている浜松科学館(浜松市)にも、この上昇気流と回転力を生み出す風の吹き降ろしで、見事な〝竜巻〟ができる人気の実験装置が展示されている( 写真 )。この装置では、下から出てきたドライアイスの上昇気流の中に立ち上る一本の太い渦巻きができる。異なる方向の風がぶつかってできる。

 しかし、実際の竜巻を詳しく観測してみると、決して、上昇気流のある積乱雲の中心部には竜巻は発生しない。かならず、そこから一定程度離れたところ、つまり周辺部に、しかも、複数できることが多い。そして、竜巻の大きさ(太さ)は、上昇気流の範囲より、一桁から二桁も狭い領域。直径約10キロの上昇気流に対し、竜巻の太さは数10ないし数100メートルである。このような基本的な違いがある。

 このことを考えると、科学館の竜巻発生装置は、上昇気流の存在と回転力の存在という原理を知るにはいいが、もう少し詳しく言えば、以下に述べるメソサイクロンができるメカニズムとしてはいいが、実際の竜巻の発生メカニズムを忠実に再現したものではないことがわかる。

 番組では、巨大積乱雲の中心部にできる急速に回転する上昇気流、メソサイクロンができることが、竜巻発生の第1の必要条件と紹介していた。これは、上空と地表で異なる方向の風が吹いていて、積乱雲が全体としてツイストする、つまりねじれることからできる。これはねじれているが、竜巻ではない。

 このツイスターの上空周辺部が冷えて、下降気流になる。それが地表で積乱雲の中心部に吸い寄せられる。もともとの上昇気流の近くで、再びゆっくり上昇する。このときの冷えた気流の上昇スピードは、もともとの中心部の暖かい上昇気流より、遅い。

 この中心部から少し離れた、しかも狭いところで、もともとの上昇速度と、地表周辺からめぐってきた冷たい気流の上昇速度の違いにより、小さい渦、これが先にとらえたガストフロント、つまり急速な横倒しの回転力を生む。このガストフロントが立ち上がって竜巻になるという。ガストフロントの発生が、第2の必要条件である。番組では、この瞬間をとらえた小林文明教授がビデオで紹介していた(解説ゲスト=新野宏東大大気海洋研究所教授 )。

 この様子を詳しく追跡したドップラーレーダー映像も番組では紹介されていた。ドップラーでとらえた研究者(藤吉教授)によると、このような竜巻のタネをとらえた映像は世界で初めてではないかと興奮気味だった。

 これが、竜巻の正体、つまり発生メカニズムだとすると、竜巻が地表に着地するかなり前、つまり竜巻の〝タネ〟=ガストフロントの段階で、ドップラーレーダーによる竜巻の発生予測ができるようになるだろうという気がした。

 まず、巨大積乱雲の中心部に、上空と地表の風向きの違いによって形成されるねじれたような巨大なメソサイクロンができる。これが竜巻発生の第一の必要条件。そして、いよいよ第二の必要条件であるガストフロントが中心部から少し離れた地表付近にできる。それが立ち上がってきたら、竜巻警報を出すという順序だろう。

 竜巻発生予測研究の重要なステップが解明されようとしていることを実感させるような番組だった。

 注記 

 アメリカ南部では、大小あわせて、なんと毎年1000件前後の竜巻が発生している(BS1 世界のドキュメンタリー「巨大竜巻の謎に迫る」2012年5月29日夕方再放送)。

 それによると、主に4月から5月にかけての2か月、アメリカ南部に竜巻が集中するという。その中でも史上最悪は、

 ジョブリン(2011年4月、アメリカ南部に発生し、甚大な被害。ジョブリンとは、被害の大きかったミズーリ州の都市名から付けられた)。

 アメリカでも、車に積んで移動、追跡できるドップラーレーダーが発生予測研究で活躍している。その様子が、このドキュメンタリーで紹介されていた。

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