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風がつくる10億年の芸術  「氷点下」展

(2012.08.05)  子どもたちに興味を持ってもらうには、本物を見せること、実際に体感してもらうことが一番いい。そんなことをあらためて実感した「氷点下の世界」展(浜松科学館)だった。

 Image828 早々と入場者1万人を突破した先日、ブログ子も入場してみた。入り口にホッキョクグマのはく製が仁王立ちで展示されている( 写真 )。迫力満点で、子どもたちが取り巻いていた。「さわらないでください」と書かれているものの、ついつい、その白い毛皮にさわってみたくなった。白い毛は、ストロー状になっていて、体温をできるだけ逃がさないよう断熱効果を高めているらしい。

 展示されていた「南極の氷」というのは、さわってもいいらしいので、さわってみた。家庭の冷凍庫で水からつくれる普通の氷と同じ感触。どこが違うのだろうと考えていて、はっと気づいた。

 氷点下の南極では、北極でも同じだが、雪が押しつぶされて、氷になる。つまり、南極の氷には、雪の中の閉じ込められた無数の空気の泡が含まれるのだ。だから、これが全反射して、透き通った氷にはならない。ここが、水からつくる家庭の氷とは違う。氷山が白く輝くのもこのせいなのだ。透き通った、いわばオンザロックのような氷山なんてないのだ。

 だからこそ、南極やグリーンランドの白い氷をボーリングすると、そのサンプルから過去の空気に含まれている二酸化炭素の割合がわかる。過去40万年の間に、二酸化炭素の増えたり減ったりしている温暖化の様子の歴史がわかる。 

 さらに、「南極の石」にも驚いた。ブログ子は、南極の石をまじかに見るのは初めて。その異様な姿にびっくりした。写真のように、いわば、巨大な蜂の巣のような姿だった。

 なぜこうなったか。不思議だ。

  南極は年中氷点下なので、地上の雪や氷は常に上空の空気を猛烈に冷やす。そうすると、南極では下降気流が発生し続ける。南極の地表では猛烈な風が発生する。それが岩にあたり、ごくわずかずつではあるが岩を削る。10億年間でこんな姿になったというわけだ。

 Image821_2 だから、日本にはこんな岩石はない。また、年代測定でも、この岩のような昭和基地近くの岩石は5億ないし10億年も前にできた岩石らしい。日本列島ができた数千万年前よりも遥かに遠い過去の姿を今に伝えている。生き物が陸上を動き回る以前、つまり、海だけに生物がいた先カンブリア期の岩石なのだ。それが目の前にあるのは、圧倒的な迫力だ。

 これは、いわば10億年の時間と風がつくりだした〝芸術〟

といえるだろう。

 最後は、氷点下20℃を体験した。家庭にある冷蔵庫の冷凍室に入ったらどんな感覚か。それが体感できる。半そでシャツから出た手が、ぴりぴりと痛い。1分とは入っていられないだろう。

 日本の最低気温記録 ( 北海道旭川市 ) は氷点下41℃というから、この記録がいかにすごいかがわかった。最低気温の世界記録は南極ボストークロシア基地の氷点下89℃。もはや感覚外である。ドライアイス(固化した二酸化炭素)よりも冷たいのだ。

 それでも、光の当たっていないところの月面の気温に比べれば、まだまだ〝暖かい〟。月面の夜の部分の気温は、大気がないこともあって、なんと、氷点下150℃ぐらいという。これでは、ほ乳類、いや爬虫類や両生類でも生きてはいけない。いかに、生き物にとって地球の大気がありがたいかがわかる。

 この展示、小学生の夏休み自由研究に格好の材料を提供するだろう。子どもには驚きを、大人には考える材料を提供すると思う。

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