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脱「健康格差社会」 静岡からのコメント

(2012.07.18)  何気なく見たのだが、久しぶりに考えさせる解説番組に出合った。NHK総合「時論公論」の後藤千恵解説委員が脱「健康格差社会」を論じていた。もう1か月半も前に厚生労働省が発表した「健康寿命調査」がテーマ。

 この調査には、一生を終える平均寿命とは別の、介護も受けず、また寝たきりにもならず自立して生活ができる健康寿命について、男女別、各都道府県ごとにランキングされている。

 ブログ子の暮らす静岡県は女性が75.3歳で全国一長い。男性は71.7歳で全国2位だった(第1位はお隣りの愛知県)。定年を機会に、日本海側の金沢から転職、転居したブログ子としては、さもありなんという結果だった。一言でいって、お金などなくても暮らしやすいのだ。富士山の白く輝く頂を見ていると、不思議だが、ブログ子のような根暗な人間でも、長く生きたいという力がわいてくる。

 この研究調査は、もともと生活習慣病対策の効果に資するためのものだから、解説もどうせ生活習慣を変えましょうとか、各県や国は生活習慣病対策にもっと力を注ぎましようとか、呼びかけるのだろうと、たかをくくって聞き流していた。

 ところが、意外にも、そういう誰でも考えそうなお役所的な話は、軽く触れるだけだった。すぐに男性にしても、女性にしても、なぜ上位グループ県と下位グループ県との間に、ともに約3歳もの健康寿命の差があるのかというところを突いていた。データの多さから、この差は到底、統計的な誤差とは考えられず、きちんとした原因があるはずだというわけだ。その通りだろう。それを「格差」と見抜いたところは鋭い。これには社会的な原因、要因があるはずだとにおわせているのだ。

 平均値でものごとを考えていれば、こんな格差には気がつくまい。生活習慣病対策では、国を挙げて取り組み、各県も対策には等しく力を入れているのだから、この平均値からのズレ、あるいは格差は、生活習慣うんぬんとは、関係があるとしても、薄いのではないかというのは、うなずける ( 補足1 )。

 それでは何が主な原因かということになるが、よくわからないとしながらも、ずばり、

 地域との人のつながりの差

ではないかと、取り組みに熱心な1事例を挙げて、推測していた。ただ、この場合、ランキング上位グループの、しかも全県的な取り組み事例を紹介するのが論理的には常道のはずだ。番組ではそうでもない、小さな地域の事例だった。このことは、研究者の調査結果や分析も補足的に入れてはいたものの、指摘は狭い地域に限れば当たっているとは思うが、説得力が著しく欠けているとの印象を持った。小さな地域の取り組みを全県、大都市にそのまま当てはめて、政策をうんぬんするのは、わかりやすいが、誤りのもとである。

  番組最後の時間切れ間近に、

 希望格差が健康(寿命)格差を生んでいるのではないか

との仮説的な指摘には、下位グループ県はなかなか認めそうもないとは思うが、また定量的な分析もなかなか難しいとは思うが、当たっていると思う。ただ、それを無縁社会とまとめで直ちに結びつけるのは飛躍である。

 ここは、世界一の長寿国においては、健康寿命という指標であらわされる身体の健康づくりは、今や精神的に生きがいのある社会づくりなのだ。脱「健康格差社会」には、生活習慣病対策うんぬんというよりも、より広く精神面での取り組みがより大事なのではないか、とはっきり指摘して結んでほしかった( 補足2 )。つまり、健康づくりは社会づくりであるというだけでは、テレビの場合、あまりにあっさりしすぎていると感じた。

 まとめは、希望のない無縁社会を念頭に置いたものだったように思う。しかし、もう少し一般的な状況を視野に入れないと、健康寿命格差約3歳の定量的な解釈はとてもじゃないが難しいように思われた。あのまとめでは、下位グループ県には希望のない無縁社会の温床があるかのような、あらぬ誤解も生みそうだ。無縁社会の温床は静岡県はじめ、どの県にも等しくある。

 そうではなく、つまり、地縁、血縁、会社縁だけでなく、社会学者の上野千鶴子さんのいう、自分で選択できる「選択縁」( たとえば、補足2 )が、人とのつながりという点で、これからの自立した高齢社会づくりでは、大事になる。たとえば、急増する単身男性高齢者の心の健康問題は深刻だが、地縁づくりもさることながら、新たな選択縁づくりに一歩を踏み出せずに、ひとり悩んでいる。この始まったばかりの取り組みの県ごとの違いが、格差を生み出す主な原因の一つではないか。今後のきちんとした研究成果に注目したい、ということではなかったか。

 この点が番組では不分明であった。踏み込みが尻切れトンボになっていた。狙いが鋭かっただけに、「点睛を欠く」ようで惜しまれる。専売特許の無縁社会にとらわれすぎたのかもしれない。

 それはともかく、ヒマダネではあったが、それだけに視聴者に考えさせようという意気込みがあったことは確かで、その効果はあったように思う。

 補足1

  Image735 静岡県内では、この健康寿命の女性全国1位、男性2位について、生活習慣あるいは生活習慣病と関連付けて、真偽は医学的にはっきりとはしていないと思うが、

 緑茶の効果

が挙げられるのが、一般的だ。静岡は全国一のお茶生産どころであり、県民は緑茶を全国平均の倍程度は飲んでいる。緑茶の中のカテキンには、動脈硬化や糖尿病の予防効果があるとされているからだ。

 赤提灯の飲み屋では、水割りならぬ「緑茶割り」という言い方があり、この緑茶割りのことを「静岡割り」とも言う。お歳暮、お中元商戦のほかに、新茶の季節の4月下旬には、静岡県内ではもう一つ新茶商戦があり、デパート地下では特設会場ができる賑わいだ。

 補足2

 Image605 老境に入ったブログ子は、精神的に生きがいのある暮らしをしようと、人とのつながりを求め、

 目指せ定年後ダンス天国

を実行している(写真= 浜松市内 )。老いても恋(心)を、というのが、健康寿命をのばすのではないかと信じているからだ。身なりを正す、言葉を正す、姿勢を正すことが肝心な社交ダンスは、横着になりがちな老人の心、そして日常生活に張りをもたらす。このことは、

 映画「Shall We ダンス」(周防正行監督、役所広司/草刈民代)

を例に出すまでもなく、理解していただけるであろう。

 人とのつながりはこれだけに限らないが、よく笑い、よく出歩き、そして疲れたら「緑茶」をいただき一服。また新たな人とのつながりを求めて、ボランティアや週一回、社交ダンス教室に通い、ほどよくお金を使う。これが健康寿命をのばすコツ。そう個人的には信じている。

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