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発言を認め、原子力ムラの本音引き出そう

(2012.07.23)  ノンフィクション作家、柳田邦男さんの毎月1回の論説「深呼吸」が読みたくて、7月23日付毎日新聞を開いた。案の定、原発の将来をどうするか、その意見を国民から直接聞き取る政府の意見聴取会を取り上げていた。

  Image763_2 先日の名古屋会場では、中部電力の現役原子力部課長の「事故で放射能の直接的影響によって誰かが死亡したという報告はない」との発言をめぐって、いかにも柳田さんらしい鋭い分析が載っていた。

 事故の特異性と深刻さは、直接的死者数ではとらえられないところにあると指摘。避難生活を強いられている「命の現場」、被災者の視点からの徹底検証が必要と訴えていた。その通りであろう。

 問題は、こうした非常識な発言が幹部から確信を込めて出てくる根底には何があり、何が欠けているのか。

 柳田さんは、第一に、安全神話に寄りかかって、被害者の身になって問題を直視しようという発想がそもそもない、第二に、事故を他人事の視点でしかとらえられず、自分の家族が現場にいたらどうなるかという我が事の視点がない、第三に、意識にあるのは敷地内のプラントの安全性だけで、安全には地域の人々が含まれるという社会システムの意識がうすい-ことを挙げていた。これが、原子力ムラの論理の根底なのだ。

 同日付毎日新聞には、

 今後の聴取会では電力関係者が除外されることになったことについて、排除された電力会社側からは「なぜ個人の意見なのに話せないのか」との不満が噴出したとの記事が出ている。

 とするならば、ブログ子は、むしろ発言を今後も認め、原子力ムラの論理や本音を国民の前にさらけ出してもらうことのほうが、今後の原子力政策の立て直しには好都合なのではないかと思う。そうすれば、柳田さんの先の三つの根底にあるものがより具体的に、より鮮明に浮かび上がるだろう。

 期せずして、人気コラム「風知草」(山田孝男、同日付毎日新聞)も、意見聴取会の激白と題して、名古屋での聴取会騒動を取り上げ、

 「むやみな規制より、何が問題か、激白の中身を点検する方が建設的であろう」

として、名古屋会場での課長の発言を詳しく分析している。 

 原発が動かなくなれば、経済が冷え込み、今回の事故よりももっとひどい事故や事態が起きると言い放った点について、常識をこえると「原子力ムラ」の論理、本音を批判している。

 原子力ムラの何が問題か。その本音と意識を白日の下にさらけ出させるためには、原発関係者の発言を今後も認めるべきであり、除外すべきではない。このことがはっきりとわかったのが名古屋の聴取会だった。

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