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太陽に異変、地球は寒冷化 ?

(2012.05.11)  全原発が停止し夏場の電力不足が懸念されている中、意外な番組から意外な事実を教えてもらった。先日のBS-フジの夜の徹底討論番組プライム・ニュースで、なんと、

 太陽活動の異常で、地球に寒冷化の危機迫る ?

というテーマを取り上げ、専門家が議論していた。5月21日には、東京、静岡県など太平洋側では金環日食が見られるというので太陽に関心が集まりつつあることを受けた格好の話題というわけだ。

 硬派の同番組が、天文学のテーマで討論するのは異例だ。しかも、結論は、

 黒点数の最近の減少など太陽活動がこの10年ぐらい低下し始め、そのせいで、地球は1950年代から続いていた高温期を終え、低温期に移行し始めたのではないか

というのだ。人間が排出する二酸化炭素が原因で地球がこの50年、とりわけ1990年代から歴史的な温暖化が始まり、このままでは100年後の地球は熱死すると一般に信じられているのに、この結論は、いかにも意外だ。

 出演したのは、常田佐久氏(国立天文台教授、太陽観測衛星「ひので」科学プロジェクト室長)と、長沼毅(たけし、広島大大学院准教授)。長沼氏は新著『私たちは進化できるのか』(廣済堂新書、2012年)で、地球の寒冷化を警告している。温暖化では地球文明はなんとか生き延びることも可能だが、極端な寒冷化では人間を含めて生物はとうてい生きながらえることはできないからだ。

 Image545 常田氏らは成果を先月下旬に報道発表もしている(写真=2012年4月20日付朝日新聞朝刊)。

  あるいは、

 http://hinode.nao.ac.jp/news/120419PressRelease/

 常田氏によると、この10年くらいの太陽活動の異常は

 第一。黒点数が、従来のデータから予測される数より、かなり少ない

 第二。黒点数の増減サイクルの周期が、今のは従来言われている約11年より約1年も長くなっている

 第三。黒点数の変化サイクルに合わせて、その極大期に太陽の南極、北極の磁極が同時に反転するのに、南極のみが単独で予想より1年も早く、この5月に反転した(その結果、現在、南極、北極ともに正極という異常事態が出現している)

の3点。

 この異常がどのように地球の寒冷化に結びつくのか-。

 黒点数が少ないなど太陽活動が低下すると、それに伴い太陽の磁場も弱まる。すると太陽系内に侵入する系外宇宙線が太陽磁場に邪魔されにくくなるので、地球大気により多く入ってくる。宇宙線により大気のイオン化が促進される。すると、大気中に雲をつくるときに必要となる微粒子ができやすくなる。雲が多くなると、太陽光がさえぎられて、寒冷化する。

 これが、太陽活動が低下すると、地球が低温化する理屈らしい。風が吹けば桶屋が儲かるの理屈かもしれないが、一応、もっともで、それなりにメカニズムの正しさが実験で確かめられているらしい( 注記1 )。

 移行期が始まったという主張は、この10年、つまり、2000年に入り、温暖化傾向が鈍っているらしいという話とも符合する。

 この話は歴史的にみても、あり得る話なのだという。

 長く続いた高温期(太陽黒点数の極大期=地球高温期)から何かのきっかけで低温期への移行が始まり、つまり寒冷化が始まり、さらに黒点数の少ない極小期=地球の寒冷期になったとされる時期がこの400年間に二度あるという。

 1600年の極大期から移行し始めたマウンダー極小期(1650-1700年)

  1750年の極大期から移行始めたダルトン極小期(1800-1820年)

である。だから、現在は1950年ごろに極大期に入り、その後50年続いた高温期が、先の3つの異常を根拠に、2000年ごろから何かのきっかけで極小期に移行し始めたのではないか、との見方が出ているらしい。

 常田氏によると、この10年くらいの1サイクル活動だけの異常な観測結果から寒冷化予測を即断するには、事はあまりに重大であるという。確実なことを言うには、あと10年ぐらいの追跡観測が必要らしい。2010年代の2サイクル目も上記3点の異常が確認されれば、過去の歴史的な事実に照らして、

 地球は今、この5、60年続いてきた高温期を離れ、低温期に向けて、移行し始めた

とかなり高い確率で言えそうだという。

 これに関連して、長沼氏は

 「温暖化の二酸化炭素主犯説は、的外れかもしれない」

とコメントしていた。太陽主犯説かもしれないというわけだ。温暖化説は、科学的に詰めた結果というより、大なり小なり、論者の政治的な意図が感じられるというわけだろう。同氏は寒冷化に向かい始めたとすれば、これは温暖化よりも深刻で人類は滅亡する恐れも高いとの見方も示していた(長沼毅著『私たちは進化できるか』)

 いずれにしても、大変に面白い討論であった。

 ところで-。

  地球温暖化の国際会議、地球サミット(1992年6月、ブラジル・リオ)が開催されて、来月で20年になる。1990年代は、いわゆる〝ホッケースティク〟といわれるほどに温暖化が進んだといわれている。

 Image547_3 そのせいで、『ナショナル・ジオグラフィク』誌2004年9月号も、大特集「地球の温暖化 大地や海や生き物からの警告」を大々的に紹介した(写真)。ブログ子は、地球の温暖化が起きているのは事実であるとしても、その原因が人間活動で排出された二酸化炭素であるとの結論には同意しない。

 人間活動説には、ご都合主義、つまり科学的な根拠に基づいた定量的な理詰めになっていないなど疑問が多いからだ。一言で言えば、排除法で残った原因として二酸化炭素がやり玉に上がった感が強い。

 同意しないもうひとつの理由としては、1970-1980年代には

 科学者たちは、地球に氷河期がやってくる

と盛んに言っていたからだ。たとえば、一例にすぎないが、気象庁予報官だった

 根本順吉著『冷えていく地球』(写真=角川文庫、1981年。当初の単行本は1974年刊)

などがある( 注記2 )。

 20年ごとに氷河期説、温暖化説、そして、今また寒冷化説とサイクルが繰り返されてきた。その原因も天体としての地球自身に原因、人間の活動に原因、太陽自身が原因とさまざまに変化した。

 地球の温暖化がにわかには信じられないのと同様、今回の寒冷化もまたすぐには信用できないというのが、正直なブログ子の感想だ。

 地球表面の熱循環システムには、深層海流が深くかかわっていることがわかるなど、現在の気候学は地球温暖化の有無や原因を突き止めることができる程度にまで発達していないとの認識も、ブログ子が温暖化説に同意しない理由である。

 ただ、番組でも言及されていたが、

 地球の温暖化に、この寒冷化が重なれば、温暖化がうまい具合に〝相殺〟され、人間には都合がいいという単純な見方は、おそらく正しくはあるまい。

 温暖化や寒冷化が事実であるとしても、それが重なる場合、温暖化だけの場合に比べて、あるいは寒冷化だけの場合に比べて、はるかに予測が困難な異常気象が頻発するような気がする。単純な線形問題ではなくなり、より複雑な非線形問題という原理的に予測ができない事態が出現する。

 ただ、ひょっとすると、そんな時代の始まりかもしれないと思わせるような専門家の話だった。天文学は娑婆とは無縁なのんびりした気の長い学問という先入観は捨てるべきかも知れない。今後10年間、太陽活動の変化に注目したい。

 その取っ掛かりが、今月下旬の金環日食のような気がする。番組をみて、そんな気がした。

  注記1

  こうした太陽の磁場流束の変化と地球表面付近の年平均気温の変化との間には、データのあるこの120年間(1880年-2000年)については、強い正の相関がある。2005年6月26日付日経新聞朝刊「科学欄」には、

 地球号は今 温暖化、太陽が強く影響か

という見出しで、その見事な相関が図示されている。横浜国立大環境情報研究院の伊藤公紀教授の研究である。だから、風が吹けばうんぬんという言い方は必ずしも正しくないことになる。

 こうなると、温暖化の問題では、地球だけでなく、地球-太陽システムの気候学というよりマクロな視点から考えなければならないことになる。しかも、雲ができるかどうかということもあり、従来よりミクロな視点も同時に大事になってくる。つまり温暖化問題の解明は、極めて複雑になることが示唆される。一筋縄では温暖化問題は解決しないと言えそうだ( 注記3 )。

  注記2

 1970年代前半に書かれた根本氏のこの本には、気候変動の見通しの章で、

 「これから20年間、地球の低温化の影響が現れるということは、多くの人(世界の気象学者を指す)の一致した意見」と結論付けている。世界から収集したデータをもとに、さらに踏み込んで「現在の寒冷は氷河時代への入り口か」とも書いている。

 こうした状況を反映したせいか、イギリスで発行された『大氷河期の襲来』(1979年、著者は天体物理学者)が日本でも翻訳された(邦訳は1981年)。198Ⅹ年、突然北半球を襲った異常気象は地球が氷河期に突入する前触れだったというストーリーの近未来小説。

  注記3 BS-プレミアム コズミック・フロント「迫りくる太陽の異変」(2012年5月21日深夜)

  宇宙線の地球大気への侵入が地球の寒冷化を引き起こすことを新たな観点から突き止めたのは、宮原ひろ子博士(東大・宇宙線研究所)。樹齢1000年の倒木屋久杉の年輪ごとの同位体測定である。宇宙線の大気への進入でできる年輪ごとの炭素14同位体の割合の変化から、太陽活動の11年周期が伸びると、その後数十年、寒冷化が続くことを発見した。

  過去1000年で周期が伸びた事例は3回あるが、いずれも、年輪の成長速度から寒冷化がみられたことを突き止めたという。

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