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長生きしたければ病院には行くな 予防こそ

(2012.05.03)  歳をとったせいか、定年後はブログ子も何かと近くの病院にでかけることが多くなった。長生きをしたいと思うせいであろう。先日、その病院の帰り道、ふとコンビニで週刊誌を立ち読みしていたら、なんと、

 Photo_3 長生きしたければ病院には行くな

という表紙の文字に釘付けになった(写真=「週刊現代」2012年3月17日号)。岡田正彦新潟大教授×松本光正医師が大対談をしてる。そんなバカな話はない。またまた与太記事だろうと最初は思った。

 しかし、内容を拾い読みすると、なるほどとこの一見非常識な主張に納得することが多かった。しかも、岡田氏は新潟大学医学部卒で、公衆医学の同大教授。医学博士でもある。一方の松本氏も北大医学部卒で、関東医療クリニック院長。こちらは現役内科医。いずれも一般向けの著書も多い。まったくの飛ばし記事とはとても思えない。

 そこで、週刊誌を買って帰り、じっくり検討してみた。記事には、いちいち、きちんと主張する根拠が具体的に示されている。説得力がある。しかもデータだけでなく、豊富な臨床経験から得られた実感も踏まえているのだ。そこから、両氏は

  高血圧治療でかえって脳梗塞が起きる/ 健康診断は受けなくてもよい/ がん検診もⅩ線検査も不要

との結論を出している。その理由を一言で言うと、病院での治療、診断、検診に伴う効果というメリットと、それに伴う弊害ともいうべき副作用などのデメリットが互いに相殺する結果、何もしない人に比べて、せっせと病院に通う人が長生きするとは言えなくなってしまうというのだ。

  その良し悪しを具体的に言うと、分かりやすい。こうなる。

 脳卒中には高血圧がかかわる脳出血と、その大部分を占める高血圧に関係のない脳梗塞とがある。高血圧傾向の人には、血圧を下げる降圧剤治療は短期的には生きのびる効果があることは確か。

 その一方で、降圧剤には、脳卒中の8割を占める脳梗塞を起こしやすい〝副作用〟があるらしい。血液の流れが緩やかになり、梗塞が起こりやすい状態をつくりだからだ。この二つの効果が重なって、あるいは相殺しあって、結局、降圧剤治療をしてもしなくても、長期的な寿命には差が出ないというのだ。そればかりか、長期的に治療費がかさんでいく分、治療するほうがバカをみる。

 ただし、記事では明示的には触れられていないが、血圧が極端に高く危険が目の前に迫っているという短期的で緊急避難的な状況は除外する。誤解が生じないよう、このただし書きを記事に明記しておくことが正直だろう。そうすれば、記事中の「長期的な寿命」うんぬんの意味もはっきりする。

 だから、病気にかかってからジタバタするのではなく、その前の予防にこそ長生きの本当の秘けつがあるらしい。この対談の本当の狙いは、これだろう。

 そういえば、最近発行の

 『大往生したけりゃ医療とかかわるな 自然死のすすめ』(中村仁一、幻冬舎新書)

も基本的には同じ見方をしている。京大医学部卒で高雄病院院長や理事長を長年つとめた内科医としての経験がこのタイトルにつながったらしい。病院に行くヒマがあるのなら、もっと死と向き合う時間を大事にしてほしいと訴えている。

 たとえば、がんで死ぬのが一番いいと書いている。臨終までに身の回りを整理する時間が十分ある。死を見つめる哲学的な、あるいは人間らしい時間がつくれるのもいい。「生活の質」が高まるといいたいらしい。しかも、がんには痛みがあるとしても死の直前であり、それはそう長くないというのも理由だ。

 いずれの記事や新書の主張も、何の疑いもなく、お題目のように「早期発見・早期治療」を唱える医療に対する経験豊かな医師たちからの自責、自戒を込めた言葉として受け止めたい。

 もうひとつ、薬を飲む治療だけがすべてではない、それと同様、薬を飲まない、みだりに病院に行かない〝治療〟も大事であると受け止めたい。自然の治癒力をもっと信頼したいとも気づいた。

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コメント

久々に古風なしっかりした、どこか懐かしい文章を読まさせていただきました。
小生、昨年のクモ膜下出血後、血圧の不安定や動悸・過呼吸・睡眠時無呼吸などに悩まされ、アダラートやユーパンが劇的に効くことがわかりましたが、診察や検査ではわからない得体の知れない症状が進行し、薬の弊害を調べておりました。
大変参考になりました。なるべく薬を飲まず、生活習慣を改善することで治していきたいと思います。
ありがとうございました。

投稿: 雲男 仁左衛門 | 2012年7月 6日 (金) 00時47分

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