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源範頼の桜  浜松「蒲桜(かばざくら)」考 

(2012.04.10)  先日、浜松城の桜について、この欄で書いたが、浜松には、もう一つ、隠れた〝桜の名所〟がある。今から、およそ820年前 、兄の源頼朝、弟の源義経とともに活躍し、日本の歴史に重要な足跡を残した源範頼(のりより)ゆかりの桜である。

 『新・平家物語』(吉川英治)もそうだが、範頼は通称、蒲の冠者(かばのかじゃ)と呼ばれている。この蒲というのは、浜松市東区の市立蒲小学校の周辺をさす。現在、蒲地区と呼ばれているが、ここには今も、蒲神明宮、大蒲町、大蒲公園など蒲の地名が残っている。範頼は、このあたりで生まれ、育った。そこから、範頼ゆかりの桜を地元の人たちは

 蒲桜

として、大切にしている。

 蒲桜は品種としても珍しく、ヤマザクラとエドヒガンザクラの自然交雑でできたらしい。現在、桜といえばソメイヨシノだが、蒲桜の花びらはソメイヨシノのようなボリュームのある、また鮮やかなピンクというよりも白色に近く、細身で可憐な印象である。

 Dsc00143 今、その蒲桜が満開になっていると知り、くだんの蒲地区や、佐鳴湖北端近くにある範頼ゆかりの御茶屋跡を訪れた。角地の民家の庭先に半分壊れかけた「源範頼別邸御茶屋跡」と書かれた石柱がたっていた。その脇に、4、5メートルの古雅な蒲桜が咲き誇っていた(写真=中区富塚町)。

 このゆかりの桜を見守ってる池谷家によると、この桜は国の天然記念物の老木「石戸蒲桜」(樹齢約800年、埼玉県北本市石戸の東光寺境内)から、7年前に移植された。いわゆるクローンである。

 浜松市の蒲地区で若き日を送った範頼は、その後、源氏の本拠地、関東に移り住む。そのときに持参した桜木(後の蒲桜)をかの地の土に突き立てた。それが天然記念物の老木であり、800年後の今にその姿を見せているのだ。

 10年ほど前までは、蒲桜という品種は、世界でも、なんとこの老木1本だけだった。もし枯れでもしたら、あるいは台風で倒れでもしたら、この品種は絶滅する。そこで、現代のクローン技術でゆかりの地に移植、「種の保存」を図ろうとしたのだ。

 老木は天然記念物であり、一部を切り取るさし木はできない。そこで、バイオ技術で老木のごく一部を採取し、組織培養、いわば「バイオさし木」したらしい。かけあわせてつくったのではないから、もとの老木とまったく同じ遺伝情報、DNAを持っているというわけだ。

  こう考えれば、くだんの民家の庭先や蒲地区の小学校校庭に移植された桜は、もともとは範頼のころの遠州に咲いていた桜木の分身(遺伝情報がまったく同じクローン)であり、この意味で

 蒲桜の(クローン)移植は、いわば800年ぶりの里帰り

と言えそうだ。

 ところで源範頼と遠州浜松とのかかわりだが、源義朝を父とし、天竜川河口に近い遠江池田宿(現・静岡県豊田町池田)の遊女を母として生まれた。現在の浜松市蒲地区で若き日を過ごしたようだ。池田宿は平安時代の末期まで、遊女宿のある東海道の宿駅として栄えたらしい。

 訪れた現在民家となっている佐鳴湖湖岸の御茶屋跡は、そんな範頼のひいきの屋敷だったと考えたい。

 なお、蒲小学校、蒲神明宮、大蒲公園など浜松市に移植された蒲桜は、これまでに30本以上にのぼる。2006年には蒲地区自治会連合会により「蒲地区のシンボル花」と定められてもいる。現在、同会や遠江蒲ザクラの会、池谷家などにより、蒲桜は歴史や由緒とともに大切に見守られている。

 ● 補遺 育ちの地、龍泉寺界隈

 源範頼が育った地域は、現在の浜松市南区飯田町にある

 龍泉寺界隈

である。ここの本堂の前にも、蒲ザクラがある。範頼の苔むした大きな供養塔が寺墓地の中に今もたたずんでいる。

 弟義経同様、彼の運命も、伊豆・修善寺に配流され、兄頼朝に攻め滅ぼされた。自害。

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コメント

こちらの、稲荷山龍泉寺は、蒲の冠者範頼の育ったところとして有名ですよ。
のちにお寺となったようです。
浜松市南区飯田町にある大きなお寺です。
http://www15.ocn.ne.jp/~yawa/menew/totoumi/shiseki/seien/ryusen.t/ryusen.t.html
ここに書いてあるのと範頼の母の素性が違うように思います。

投稿: ジャン | 2014年5月25日 (日) 06時33分

偶然、こちらのブログを見て、つい書き込んでしまいました。ご無礼お許しください。

投稿: ジャン | 2014年5月25日 (日) 06時47分

範頼の母と妻と素性を混同して書き込んでしまいました。出来れば消してください。

投稿: ジャン | 2014年5月25日 (日) 06時53分

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