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おバカさんの時間  「分裂の文明」をこえて

(2012.04.18)  ちょっと夕食の買い物に出かけた折、スーパーの雑誌コーナーで立ち読みをした。これまでほとんど手に取ったことのない月刊誌

 『ラジオ深夜便』(2012年5月号、NHKラジオセンター)

の表紙に

 愚かさの再発見

というタイトルで、町田宗鳳(そうほう)さんが巻頭インタビューに応じていた。ラジオで放送したものの収録記事だから、分かりやすいので一気に読んでしまった。

 今は広島大学大学院教授の町田さんは、ブログ子の金沢在住時代の知人だが、大変にユニークな経歴を持つ宗教学者だ。中学生のころ家出し、20年、京都の禅寺、大徳寺で修行した。そこまでなら、どこにでもいる僧侶なのだが、その後、突然、アメリカにわたり、ハーバード大学などで、キリスト教神学を学んだ。英文で学位論文すら提出しているからただものではない。十数年、かの地で教壇にも立ったし、帰国してからも東京の大学で教鞭をとっている。

 その間、金沢にも暮らした。金沢出身の西田幾多郎哲学の核心、つまり絶対矛盾的自己同一とは何かにも深い洞察を加えていた町田さんの熱弁ぶりを、今もブログ子は思い出す。

 座禅や禅宗とは対極的な近代知にも深く触れたその思想は、実践に裏打ちされてもいる。だから、説得力がある。

 この記事で、ハッとさせられたのは、

 自分を非日常空間に解き放す

 愚かさの時間

を持とうと呼びかけている点である。一切の計らいや計算を解き放つ、いわば、おバカさんの時間である。

 それはスポーツども遊びでもなんでもいい。しかし、町田さんは、

 トイレ掃除の時間

を実践している。職場や自宅のトイレを素手でピカピカになるまで洗う。便器の汚れを落とすことは、自分の心の汚れを洗い落とすのにいいという。できれば、もっと汚れているという点では

 公衆トイレの掃除

があるという。会社のトイレでもいいだろう。

 こういうことは、賢いひとにはなかなかできない。それを、誰から言われたのでもないのに、あえてするところに、おバカさんの時間のよさがあるらしい。無分別な愛、キリスト教でいう博愛にも通じると町田さんはいう。

 ではなぜ、今、おバカさんの時間なのか。

 それは、現代は「分裂の文明」時代であり、それが今や考え直す時期に来ているからだという。

 人間と自然の分裂、個人と共同体の分裂

 そして、その個人においても

 身体と心の分裂、科学と宗教の分裂

が現代文明にゆがみを生み出しているというわけだ。そのゆがみもそろそろ限界にきている。分裂の文明にストップをかけ、それぞれの融合を目指すには、自分の持つ価値観を一度、解き放つ自由な時間が必要なのだと説く。

  賢い人も、一度、心を真っ白にして自分を解き放つ効用として、おバカさんの時間は重要だと気づいてほしいらしい。

  おバカさんの時間は、決して無駄な時間ではないのかもしれない。そしてまた、何もしない時間、無為な時間とも違う。もちろん、暇つぶしの時間でもない。自分を新しくつくり変えてくれる

 創造的な時間

ととらえたい。

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