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これで「テロの時代」は終わるか ?

(2012.03.23)  よく見るNHK深夜BS番組、世界のドキュメンタリーで、先日、9.11同時多発テロの首謀者とみられていた

 オサマ・ビンラディン容疑者に対する奇襲作戦の全貌

が前編、後編に分けて2日間にわたって放映されていた。

 作戦実行日は、2011年5月1日。米特殊部隊やCIA活動が登場する。作戦は大規模なもので、オバマ米大統領の指揮の下、無人偵察機まで導入されており、ついにビンラディン容疑者が潜伏しているパキスタンの隠れ家を突き止める。10年がかりの成果だという。

 ドキュメンタリー再現ドラマを中心にした番組では、オバマ大統領もインタビューに何度か登場したり、ホワイトハウスの報道官も誇らしげに解説していた。あまつさえ作戦にかかわった米軍上層部の軍人や、直接パキスタンに侵入した実行部隊の隊長までが登場し、これでもか、これでもかと、いかに困難な任務を成功裏に遂行したかという自慢話をうんざりするほど聞かされた。米軍はこんなにすごいのだというわけだ。

 安全保障担当の補佐官たちの行き詰るリアルタイムの奇襲作戦を紹介していたのも異常ながら、それでも、わかったわかったと辟易しながら視聴した。しかし、それなのになんと、番組はアメリカではなく、なぜかイギリスの製作会社が2011年に制作したものだった。

 そこで気づいた。これは、国際的な、あるいは国内的な世論の操作を狙った米政府の宣伝番組、提灯番組なのだ。

 なぜ、世論操作が必要だったのか。

 第一は、この作戦はパキスタンの主権を犯した行動であり、それを正当化する必要があったのだ。パキスタン政府に知られずにパキスタン国内で奇襲作戦を実行した。明らかに主権国家の権利侵害だ。アメリカはこの番組で、それはやむを得ない行動としてアピールし、国際社会の批判、非難をやわらげたかったのだ。

 番組では、パキスタンの主権侵害については、まったく言及がないのは、どういいつくろっても納得は得られないことを米政府は知っていた。パキスタン政府に任せず、自らの手で主権侵害してでも復讐したかったのだ。番組ではパキスタンと協議すれば情報が容疑者側に漏れる恐れがあるとのシーンがあるが、それは事実としても、だからといって主権侵害をしてもいいという理屈にはならない。

 言葉は悪いが、これでは北朝鮮を笑えないではないのではないか。そう思った。

 第二は、ビンラディン容疑者をはじめから殺害することを目指していたという点だ。困難な任務であったので仕方なかったとして、不可抗力と装いたかった。しかし、実は始めから生け捕ることは念頭になかった。拘束して公開の裁判にかける気はなかった。裁判で再びテロが起きることを危惧したと好意的に解釈もできるが、それほど復讐心が強かったといえよう。

 映像でもわかるが、ビンラディン容疑者本人は、突入した特殊部隊員の銃口に対して無抵抗だった。それにも関わらず問答無用で殺害した。極めて困難な任務だったことを強調することで、この批判をかわしたかったのではないか。ここがイラクのフセイン大統領は生け捕りにされて、裁判で死刑の判決を下すことで国際社会の一応の納得を得たのとはまったく異なる。

 アメリカ人にとって、フセイン大統領の悪行は所詮他人事である。これに対し、アメリカ人が多数死亡した9.11事件はわが事である。復讐以外にアメリカ国民の心を納得させることは難しいと政府は政治的に判断したのだろう。作戦成功の報告を聞いて、番組によると、弁護士でもあり、ノーベル平和賞受賞者でもあるオバマ大統領でさえ、笑顔ではなかったものの

 「私はやつをしとめた」

と勝ち誇っていたのはそのことを如実に示している。しかし、よく考えると、一国の大統領としては極めて異常だ。

 極悪人とみなされてはいるものの、公開の裁判にもかけずに殺害し、その死を喜ぶ。その政治的な意図を読み解くと、なんとも後味の悪い番組だった。

 これではテロの時代は終わらないだろう。

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