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危機一髪、福島第一原発4号機の恐怖

(2012.03.08)  福島第一原発 「工事不手際で4号機救う」との記事には、ゾッとした(3月8日付朝日新聞朝刊1面)。

 何しろ、地震発生時には、定期点検で原子炉は冷温停止していたはずの4号機が当時もっとも日米政府が恐れていた、いわば〝チェルノブイリ〟化し、最悪、首都圏での避難も避けられない情勢にあったというのだから、驚きというよりも、恐怖だ。

 当時、ブログ子はじめ大抵の人がもっとも安心だと思っていた4号機が、実はもっとも危険だったらしい。

  もっとも危険とみられていたのは、先に公開された民間事故調(いわゆる北澤委員会)の報告書によると、水素爆発は免れていたものの、原子炉格納容器の内部圧力が設計上の最高値の2倍にもなるなど原子炉の爆発という事態に追い込まれていた2号機だったと指摘されていたのだから、このニュースは意外な指摘ではある。

 それが、3つの偶然の〝お陰げ〟が重なって、きわどいところで破滅的な危機が回避されたというのだ。

 第一のお陰。営業運転以来初めての原子炉内構造物取り替え大工事が不手際の〝お陰〟で作業が遅れたこと。地震発生わずか4日前に、使用済み核燃を冷やし一時貯蔵するための冷却用プールに隣接する大水槽に張られた作業用の水を抜き、もとの状態に戻す手はずだった。それが遅れたため、水が張られたままだったのが幸いした。大水槽が期せずしてプールの冷却用に使われたのだ。

 第二のお陰。地震の〝お陰〟で大水槽とプールとの間の仕切りが地震発生とともに、ズレたこと。これにより、全電源喪失後も大水槽からの作業用の水でプールを冷やすことができ、水の蒸発で使用済み核燃料がむき出しになることを防いだ。むき出しになれば、放射線と放射能物質が核燃料から周辺に撒き散らされて、4号機の〝チェルノブイリ〟化が起きるところだったという。

 第三のお陰。原子炉が停止しているはずの4号機が、なぜか水素爆発を起こし、建屋の屋上を吹き飛ばしてくれた〝お陰〟で、大水槽の水がだんだん時間がたつにつれてなくなってきても、消防車からの屋上越しの放水で補うことができたこと。屋上越しの放水がなければ、いずれ、予測では3月下旬にも使用済み核燃料はむき出しになる。そうなれば、強い放射線により、もはや第一原発には人は近寄れなくなり、事故を起こした原子炉は人の手では制御不能になるところだった。原子炉が止まっている4号機でなぜ水素爆発が起きたのか、詳しいことは事故調査が始まっている今も、わかっていないというから、恐ろしい。

  簡単に言えば、4号機の工事段取りが遅れたこと、なぜか水素爆発が起きて屋上が吹き飛んだこと、地震でプールのつなぎ目がずれたことが幸いしたというのだ。驚くべきこれらの偶然が重なって、危機一髪、使用済み核燃料のむき出しという破滅的な危機を脱したものらしい。

 ただ、この記事で疑問に思ったのは、1-3号機は地震発生時、稼働しており、作業用のこの大水槽には水は張られていなかったはずだから、4号機よりももっと危険な気もした。 記事にはその疑問にこたえてくれない。

 つまり、なぜ日米政府は4号機が首都圏住民避難という「最悪の事態の引き金になると心配した」のか

については、この記事だけからは、わからない。稼動中だった原発の使用済み核燃料プールに集中して放水していたから、これらの原発でも使用済み核燃料のむき出しが回避できたのだろうというのだろうか。この疑問のほか、記事の根拠となる情報源が明示されていないなど、不正確といって悪ければ、少なくとも不親切な記事だ。

 原発事故では、とかく稼動中の原子炉に注意が行きがちだ。しかし、今回、冷温停止中の原発についても使用済み核燃料の取り扱いなど危険が付きまとうことを、はからずもこの記事で思い知らされた。いや、停止して作業中というのは、危険ではないという思い込みがある分、稼働中よりも危険なのかもしれない。

 ともかく、そんなこんなで、放射線を遮断する水が原発にとっていかに重要か、あらためて思い知った。加えていうならば、この場合、遮断できるということは、その分のエネルギーを水がもらうことを意味し、水の蒸発という新たな危険が伴うことを忘れてはなるまい。

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