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おかしな番組 「ドーハの悲劇」の監督来日

(2012.03.26)  歴史ドキュメンタリー番組はテレビでよく見るが、ブログ子はスポーツ番組やスポーツドキュメンタリーはほとんど見ない。見ないのだが、NHK「BS歴史館」で、最近、鋭い発言をしている作家の島田雅彦さんが、案内役をしていた番組

「ドーハは悲劇でなかった/オフト別れの旅」(3月25日夜、NHKBS1)

をたまたま見た。鋭い発言があるのではないかと期待して、ついつい最後まで見てしまった。再放送番組らしいが、結論を先に言えば、

 おかしな番組、と言って悪ければ、不完全な番組

だと思った。

 不完全な、あるいは気になったその理由を述べてみたい。

 番組の受け売りで言うと、ドーハの悲劇とは、今から19年前の1993年10月28日にカタールで行われたW杯サッカー・アジア最終予選(対イラク戦)での出来事のことだ。日本はこの一戦に勝てば悲願のサッカーW杯に史上初の出場権を獲得する。そんな大事なゲームだったが、ロスタイムまでは見事2対1で勝っていた。ところが、ロスタイムでなんと同点ゴールを与えてしまった。日本にとっては悔やみきれない試合となったのだ。静岡市出身の三浦知良、中山雅史選手など有名選手がずらりそろった試合だった。

 ブログ子はスポーツ音痴と自認しているのだが、さすがにこの試合は見ており、当時大いに興奮したものだ。この試合のA級戦犯は誰だとわかりもしないのに、恥ずかしながら息巻いたりもした。

 このときの日本代表監督がハンス・オフト氏(オランダ、当時44歳)だった。代表監督としては初めての外国人でもあった。その件のオフト氏が現役監督を引退するとのことで、日本に、番組では否定していたが、センチメンタル・ジャーニー(感傷旅行)で来日したことから、番組がつくられたらしい。

 案内役の島田氏の言葉から、うかがえるのは、

 ドーハは悲劇ではない。これがあったればこそ、その後の4大会連続という輝かしい成果を挙げられたのだという論理だった。しかし、最近はドーハの悲劇のころの成長ほどにはなっておらず、どうも停滞しているようにオフト氏にはみえるらしい。

 「日本サッカー界は世界のトップ10まで成長してほしい」(オフト氏)

との見方をしめし、そのための方策をアドバイスするために来日したという。決して感傷旅行にき来たわけではないというわけだ。

 しかし、4大会連続うんぬんは、所詮、我田引水だ。プロ選手、監督にとっては結果がすべてである。わが田水引は通用しないとの印象を番組を見ても思った。

 最近の日本サッカー界に停滞感があるのかもしれないが、それに「活」を入れるというならば、すでに現役を引退してしまった悲劇当時の元選手ばかりを訪ね歩くのではなく、肝心要の

 現在の日本代表監督のザッケローニ氏(イタリア人)に真っ先に会いに行き、忌憚のない意見交換をすべきではなかったか。

 ザッケローニ氏が忙しいと、体よく断ったのなら、せめて映像コメントをスタッフが挿入することもできたはずだ。番組には、ザッケローニの「ザ」もなかったのはどうしたことか。どうしてもコメントがいただけないというのなら、

 せめて(失礼)、「南アの奇跡」を実現した岡田武史前代表監督と意見交換すべきだった

のではないか。それもないのだ。

 まったく異様な番組だった。島田氏の鋭い感性がまったく感じられなかったのは残念だ。これでは、せっかくのオフト氏の意気込みも空回りだ。オフト氏は番組の最後に

 「さよなら」

と日本語で言っていたが、何の真心も感じさせない通り一遍のあいさつのように、ブログ子には聞こえた。日本のサッカー界を本当に愛しているのか、本当に心配しているのか、疑わしい。

 やっぱり銭儲けを兼ねた感傷旅行だったのだと、気の利いた視聴者が思いかねないつくりなのが気になった。

 それに気づいたのか、島田氏は最後に

 「ドーハは悲劇ではなかった。(このままだと) これから本当の悲劇が始まらないことを祈る」

という趣旨の締めくくりを述べていた。これとても、何かとってつけたような白々しいナレーションだった。

 要するに、オフト氏は、何かはっきりした危機感を抱いて来日したのではないのではないか。はっきり言えば、気楽な「引退ごあいさつ」に来ただけなのだ。それをドーハの悲劇に結び付けて、急遽、無理やり番組に仕立てたところに無理があった、といってはNHKに失礼か。そこには、どんなつくりであろうと、視聴率を確実に稼ぐことができるという制作側の思惑もあったであろう。

 熱心なサッカーファンはどう受け止めたのか、ちょっと聞いてみたい気がする。

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コメント

ドーハの悲劇とサッカー好きな方々が使うのは判らないでもないのですが、それを一般に知らしめる必要があるのか疑問です。

なにしろ相手チームからすれば、幸福なゲームなのですからね。
つまり悲劇の言葉通り、主人公を決め付けた場合に成り立つことです。

スポーツ観戦が悪いとは思いませんが、何故特定のチームを応援して苦労して勝者になった手側を激励しないのか?

そんな気持ちでスポーツ観戦するから他国に敵対心が育つように感じます。

投稿: 長 | 2012年3月29日 (木) 02時33分

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