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東日本大震災から学ぶこと 避難3原則

(2012.02.21)  前回、このブログで東日本大震災を「情報」という観点から検証した『震災と情報』という新書を紹介した。結論は、ブログの最後に「注記」としてまとめたが、

 個人情報手段が唯一の希望

であった。個人情報手段というのは、なにも機器だけではない。人間の声や行動もきわめて重要な手段であり、より強力な力を発揮する場合がある。

 その具体的な事例として、静岡県危機管理部が発行している「自主防災」最新号(No.81=2012年3月号)で見つけた。

 例の岩手県釜石市の釜石東中学校と鵜住居小学校の児童・生徒たちの的確な避難行動である。この行動が子どもたち全員の命だけでなく、付近住民の命も津波から救った。

 どちらの学校も「明治と昭和三陸大津波」の浸水域の外にあった。しかし、日ごろからの津波教育の成果なのだろう、まず、より大槌湾に近い中学生たちが、状況を判断し、とりあえずあらかじめ指定されていた避難場所(グループホーム)へ避難した。それを見た小学生たちもただちに中学生たちとともに避難。それにつられて、付近住民も急いで指定避難場所に走り出した。

 しかし、それでも危険と判断(事実、この避難場所は今回、津波で浸水)、さらに高台目指し二回目の避難(介護福祉施設)を開始した。ここは指定避難場所ではないが、日ごろの津波教育の成果なのだろう、独自の判断で二回目の避難行動をしたらしい。事実、今回は、湾から遠く離れたこの避難場所にも津波は押し寄せた。

 そこで、ここもまた危ないと、なんとさらに避難して、全員助かったのだ。

 こうしたことから、「自主防災」情報紙は津波「避難3原則」として

 まず、想定にとらわれるな

と書いている。想定はとりあえずの目安にすぎないというわけだ。

 次に、最善を尽くせ

だ。もういいだろう、もう大丈夫だろうは禁物。事実、もし第二の避難場所でこの気持ちになって三回目の避難行動を起こさなかったら、大変なことになっていたことが後からわかった。命がかかっている。念には念を入れよだ。

 そして、最後は、率先して避難行動をせよ

だ。そうすれば、周りはそれにつられてついてくるというわけだ。この事例では、最初の避難行動を行った中学生の果敢な判断が数千人の命を救った。

 これとは逆に、避難するかどうか、どうしようどうしようと、言葉は悪いが教諭など大人たちがもたもたと〝小田原評定〟していて、多くの児童生徒の命が失われた別の学校の事例もあったことはよく知られている。日ごろの防災教育が十分でなかったのも一因だろう。

 自分の命は自分で守る。他人の判断任せにしない。この当たり前の心構えこそ、一刻、いや分単位を争う津波避難では大原則だと気づかされた。

 ところで、分単位の津波避難だが、想定されている駿河湾内を震源域とする東海地震の場合、津波は早いところで地震発生後どのくらいの時間で沿岸を襲うか、という県の「県民意識調査」の結果が載っている(大震災後の平成23年11月実施)。

  それによると、正解は「5分以内」だが、正答率は41%と、2年前の前回調査の50%に比べて大きく落ちている。津波の恐ろしさは大震災でまざまざと認識されたが、それが足元の東海地震となるときちんとした理解がなされていないという課題があらわになった形だ。

 事実、ブログ子も、福島第一原発に津波が襲ったのは地震発生から30分以上たっていたことから、漠然と、東海地震では

 せいぜい10分ないし20分以内ではないか

と思っていた。大間違いなのだ。

 食料の備蓄については、3日分以上という認識は前回より高まった。しかし、家具の固定など手間と費用のかかる問題については、ほとんど改善がみられない。大部分固定しているという家庭は、わずか14%に過ぎない(7軒に1軒)。一部固定がせいぜいなのだ。固定していないとの回答がなんと3軒に1軒の30%近くもあり、前回調査時に比べてほとんど改善していないのも課題だろう。

 想定東海地震について、「非常に関心がある」との回答は64%と、二年前の前回調査(50%)に比べて跳ね上がったのは当然としても、その関心が具体的な行動にあまり結びついていないお寒い状況だ。これでは、果たして実際に地震が起きた場合、減災につながるのかどうか。ましてや富士山噴火もあり得るという状況なのに、これでは心もとない。

 想定東海地震については、最悪の場合、大きな揺れ、津波、浜岡原発事故、そして、富士山噴火の4災害が静岡県内でほぼ同時に起こる可能性がある。

 東日本大震災から学ぶことは多い。が、このように独自な問題もかかえている。その具体的な対策を急ぐ必要があろう。

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コメント

指定避難場所からの再度の避難という報道を受けて考えたのは、子ども達だから知らずにやっちゃったという感です。指定避難所からの避難途中に怪我や人命に関わる事故が起きれば、再度の避難に関わる決断をした人、誘導にあたった人に責任が及び軽々しく実行に及ぶべきとは思えません。今回の場合も、津波が当初の避難場所に達していなかった場合には、後々で再度の避難行動途中で負傷した人々に対する責任をどう取るんだという問題が立ち上がっていた筈です。結果論としてたまたま津波が指定避難場所を超えたから良かったものの、超えなかった場合に中心となって再避難を促した子供たちに取り返しのつかない心の傷を残すことになったのではないかと思われます。

投稿: とあるさんよ | 2012年2月25日 (土) 12時12分

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