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白熱のEテレ番組、テストの花道

(2012.02.07)  仕事の関係で、月曜日夕方、ときどき高校生が対象の

 NHK教育テレビ(Eテレ)「テストの花道」(所ジョージ顧問)

を見ている。なかなかの白熱番組だ。面白くて、ためになならなければEテレじゃない、という支えるスタッフの意気込みが伝わってくる。

 2月6日(月)は、

 知識をホンモノにする

がテーマ。誰でもが知りたいテーマだが、学校の教科書で習った知識を、身近な日常生活といかに関連付けるか、そして、それをうまく整理することで知識を確かなもの、ホンモノにするための術、つまり「ターゲット・シート」というものを紹介していた。

 街で拾った関心のあるモノを的の中心にすえる。その周りを二つの円で囲む。内側の円には、中心に書いたモノに関係あるモノを、連想ゲームの要領で思い出せるだけ、思い出し、小さな紙に書き出し、貼り付ける。これは、かつて

 ブレーン・ストーミング

といっていたやり方だ。そして、書き出したものと、今度はさまざまな教科書に書かれたこととの関連を洗い出し、これまた外側の円に貼り付けていく。

 これで、中心に書き出した身近なモノと三重丸の外側の教科書知識とが結びつけられるというわけだ。その間をつなぐのがブレーンストーミングだ。

 こうした関連付けによる整理で教科書の知識があやふやなものから身につく、つまり、ホンモノになるというわけだ。

 確かに、今回の番組では、

 「学ぶことの基本」

を知った。

 この番組を見ていて、気づいたのだが、このターゲットシート法の一般化が

 知的生産の技術のための「KJ法」

なのだ。文化人類学者、川喜田二郎さん創案であり、ブレーンストーミングで思いついた言葉を書き出し、分類する発見的情報整理術だ。今でもこのKJ法の根強いファン、とくにフィールドワーク分野の研究者は多いだろう。「分類するチカラ」を存分に発揮する道具だからだ。

 関連があるかないか分からない多くの情報を目に見える形で分類し、整理する術

なのだ。

 大学受験や社会人の面接、小論文にも役立つように、次回は

 「自分の観点を持つ」(2月13日夕方)

も、必見だ(  注記 )。

 ところで、BS放送では

 放送大学の講義

もある。しかし、おもしろくないのはもちろん、到底、ためになるような代物でもない。話し方もいかにも自信なげにもぞもぞと話す。どうしてそうなるのか。授業プログラムに動機付けがないことも原因だが、それよりもなによりも、講義する先生に面白くしようという気持ちがまるでないことが原因だろう。授業を面白くするなどは、自分の沽券に関わるととでもいいたいような退屈な番組だ。

 その根底には

 教えてやる

という旧態依然とした「上から目線」があり、それが鼻につく。

 だが、ハーバード大学の「白熱教室」が示すように、面白くするという言い方が下世話に聞こえるなら、

白熱教室

をつくりだす授業といってもいい。

 もう一つ、放送大学のテキストは面白くない本のつくりかたの典型例だ。芸がない。のみならず、無味乾燥を教科書にしたような干からびたテキストにはあきれる。

 大学の秋入学が話題になっているが、良い学生を集めるには、そんな小手先ではなく、教育の中身改革、教育する教授陣の意識改革がまず先決だろう。そうした改革が白熱化しないかぎり、放送大学の未来はないと、元私立大学教師のブログ子として断言できる。

  注記    書き出しと「な・た・も・だ」を使おう

 テストの花道には、これまでの番組をまとめた単行本

 『テストの花道』(河出書房新社)

が最近出版されている。人は「考え方」を手に入れたとたん頭が良くなる!と銘打った本編のほかに、試験に必要な「考えるチカラ」が身につく勉強術と腰巻をつけた続編(弱点攻略術)も出ている。

 あまりにも面白く、かつためになるので、二冊ともメモを取りながら読んでみた。その一部を紹介すると-。

  まず、本編。

 ノート術。ノートを見開きにして、左ページは板書を筆記するメモ用、右ページは授業後に調べたことも記入する整理用に使うというもの。さらに、まとめの右ページは

 パッと見てすぐわかるように

 色分けする。

 次に、感想文ではなく、論理的な文章術。

 自分の言いたいことをまず述べる「書き出し」と「きっかけ言葉「な・た・も・だ」を使う

というのだ。

 「な」とは、なぜならのことで、「書き出し」で述べた自分の意見などの理由をまず明確にする。これは起承転結の「起」にあたり、それを具体的に表現した呪文。

 「た」とは、たとえばのことで、わかりやすい具体例を挙げて考えるきっかけをつくる呪文。これは「承」にあたる。

 「も」とは、もしものことで、別の視点から考えてみるきっかけ言葉。「転」である。

 「だ」とは、だからのことで、結論を述べるきっかけ言葉。

 起承転結よりも、具体的なのがいい。

 次に、続編。

 文章を構成する一文の書き方が伝授されている。

 いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように行ったかという

  5W1H

である。この6つの文の構成要素に注意して、過不足のない論理的な一文がかけるというものだ。

 また、5W1Hから、類推するチカラもつくという。というのは、それぞれの文中の単語間の共通点が探しやすくなるからだ。共通点が見つけることができれば、「類推するチカラ」もつくというわけだ。文の構造に注意すると、類推もしやすくなると指南している。

 いずれもなかなか面白い指摘である。なによりも具体的なのがいい。

 この続編には、国語だけでなくほかの科目も加えて、なんと総合テストまである。

 大学生、社会人にも読んでもらいたい〝名著〟だろう。

 最後に一言。番組タイトルを、テストの王道とせず、花道としたいかにもしなやかな感覚は、すばらしい。ほとんど同じ意味だろうが、あえて花道とした感性。スタッフのなんとか高校生をひきつけたいという気迫のこもった名言と受け止めたい。

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