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水質ワースト10、佐鳴湖はよみがえるか

(2012.01.22)  ブログ子の自宅に、静岡県浜松土木事務所から、浜名湖にもつながっている

 佐鳴湖に対するアンケート調査のお願い

というのが届いた。この湖のほとりに最近、引越ししてきたので、大変に興味を持って早速、回答した。

 平成13年から18年まで6年間連続で、全国湖沼水質ワースト1

だったという汚名を返上しようという「佐鳴湖地域協議会」の取り組みの一環だ。

 環境省調査(調査湖沼186)によると、下水道の整備(平成22年度末で周辺での普及率92%)、湖底の浚渫(しゅんせつ)、10年にわたる直接よごれを取り除く接触酸化施設の湖東設置( 注記 )などの努力で

 平成21年、22年には、ワースト5からも外れる

という一定の成果は挙げている。

 このランキングの指標としては、水の汚れを示す指標の一つ

 COD(化学的酸素要求量、mg/リットル)値の年平均値

が使われた。数値が大きいほど水質が悪いことを示す。環境基本法での

 佐鳴湖のCOD基準は、5mg/リットル

と目標達成にまだ道は遠い。調べてみると、ワースト5は脱したものの

 まだ、186湖沼のうち、悪いほうのワースト10に入っている(ワースト8位)

   というのも、調査湖沼186の年間平均CODは、3.4mg/リットルであるのに対し、佐鳴湖の8.1mg/リットル(22年)であることからも、このことはうなづける。調査湖沼の53%、つまり、99湖沼は国の基準をクリアしているのである。

 この湖はほかの湖に比べて、まず、浜松市など大都市近郊にあること、水深が最大でも3メートルと浅いこと、生活排水、三方が原などでの農業用排水が近くにあること、流入、流出口が細く、しかも限られていて浄化しにくい湖であること、などなど不利な面がある。

 とはいえ、佐鳴湖の水質は、この10年で年間平均CODは、10mg/リットル超から8mg/リットル程度とゆっくりではあるが確実に低下していて、浄化は進んでいる。しかし、問題は、そのスピードが鈍いことだ。いまのままでは、基準を満たすのはいつになるのか、おぼつかないというのが正直なところだ。

 基準を満たす「きれいな水環境」にするには、浄化を加速する必要があろう。

 環境基準をクリアし、さらにはベスト100入りに食い込むには、他県と同じような取り組みではダメで、いつまでたっても、ランキングはよくならないだろう。

 そこで、一つの新しい試みとして、ろ過装置に、最近のナノテクノロジーをもっと活用することも浜松市や県は検討してほしい。

 超微粒子(ナノ粒子)を吸着剤にすると、その吸着表面積は現在の酸化装置に比べて飛躍的に増大する。したがって施設を大幅に拡張しなくても吸着能力を格段に向上させることができる。最近ではこうしたナノろ過装置の技術進歩は著しい。このようなナノ酸化施設で早く、佐鳴湖を水の美しい親水空間として県民に喜ばれるようにしたいものだ。

  注記 平成13年から稼動している直接よごれを取り除く接触酸化施設

 県浜松土木事務所によると、設置場所は、佐鳴台6丁目の佐鳴湖病院近くの親水施設のある湖東岸。親水施設の水は浄化後のもので、環境基準の5mg/リットルを満たしている。。

 水質浄化の方法は、沈殿槽における古典的なこし取りろ過と、微生物にリンや窒素などの有機物を取り込んでもらう、いわゆる生物浄化を行うバイオモジュールろ過から成り立っている。

 佐鳴湖の場合、一日にして約1万トンの処理能力。とすると、佐鳴湖の全水量250万トンを処理するには約8か月がかかり、2ヵ月の滞留時間内では、ほぼ4分の一程度しか処理できない。とすると、この浄化施設に頼っていては、環境基準をいつまでたっても満たすことはほとんど困難だ。

 ではどうするか、下水処理施設を通らない、雨水などとともに街の汚水が流れ込む街中の道路側溝などの汚染水の対策が国の基準達成には重要になってくる。そうした対策として具体的には、湖につながっている河川の汚染を未然に防止する「雨水浸透ます」を設置する、あるいは合併処理浄化槽を設置することが挙げられる。これは、水洗トイレと連結し、し尿と合併し、生活排水を処理し、終末処理の下水道意外に放流するための浄化装置であり、設置により湖の汚染を未然に、しかも効果的に防止する。そのほか、肥料の使い過ぎも河川、ひいては湖の汚染を引き起こす原因になることも忘れてはなるまい。

 いわゆる面対策

である。側溝に流れ込む有機物をできるだけ排除する、側溝の汚泥処理を地域住民が積極的に行うなどの啓発が大事になってくる。都市部にあり、しかも、急速に発展している近くの湖ではこうした住民意識の高まりが不可欠だろう。

 この湖の水の滞留期間は長く、1、2か月だという。その分、(反時計回りの)水流が遅いので浄化効率は下がる。また、湖南からも、浜名湖の潮流の関係で、常時汚染水が流れ込むという複雑さも、浄化の効率を妨げているという。

  しかし、現在のところ、たとえば、一日あたりの浄化処理能力を飛躍的に向上させる「ナノ微粒子」によるろ過方法は行っていないという。こうした対策をとらない限り、10年後ぐらいには環境基準はクリアできるかもしれないが、いつまでたっても全国的なランキングは現在のままで、よくはならないのではないか。

 面対策とともに、こうした最新技術の導入も検討する必要がありそうだ。

  追記

 ちなみに、調査湖沼のうち、全国水質ベスト1は

 支笏湖(しこつこ、北海道)で、なんと、年間平均COD値=0.6mg/リットル(平成22年調査)。

 ワースト1は、宮城県の長沼=11mg/リットル(22年)

追記

 CODとは、わかりやすくいえば、水質汚濁の元となる主として有機物を酸化するするために必要な酸素量のこと。にごった水ほど有機物が多いので、水中でそれらを〝燃やす〟には多くの酸素が必要になる。当然、COD値は大きくなる。

追記2

浜松市では、湖だけでなく河川も含めて

 川や湖を守る条例

が平成20年7月から施行されている。川や湖でキャンプやバーベキューを楽しむ場合、

 食器を川や湖で洗ってはならないし、使った水をそのまま流してもいけない。トイレ施設以外で用便をすることなども禁じられている。

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