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浜名湖近くの佐鳴湖付近、津波襲来調査へ

(2011.12.30)  12月29日付中日新聞朝刊によると、わが街、浜名湖近くの佐鳴湖の南端から真南の遠州灘にわたって、かつての津波の痕跡を調べる、いわゆる津波堆積物調査が来年3月から始まる。現在の佐鳴湖は海とはつながっていないが、もともとは現在の浜名湖同様、遠州灘とつながっていた。近くには海産の貝塚も多数見つかっている。

 ボーリング調査地域は現在でもあまり開発が進んでいないことから20メートルも掘り下げる調査に適しているという点と、比較的に人口密度が高い浜松市が近くにあり、古文書類が多く残っている点が買われたらしい。調査するのは

 産業技術総合研究所活断層・地震研究センター

だという。東日本大震災を受けた国の津波調査の一環だが、こうなると、大震災とわが街とはまんざら無縁ではないことが記事を読んで感じた。

 ただ、せっかく調査しても、その成果が結局、保安院や各電力会社(この場合は、中部電力)によって生かされないということのないようにしてほしい。

 これが、今回の大震災の調査・検証委員会の中間報告の教訓だ。

 先日も、このブログで少し書いたが、朝日新聞、静岡新聞掲載の検証委員会の中間報告(要旨)を読んで強く感じたのは、

 すべては根拠のない神話「M9.0の地震は太平洋側の沈み込み域では起きない」から始まった人災

だということだった。地震学者の社会的な責任は、この点ですこぶる重い。

 チリ地震(M9.5)やスマトラ島沖地震(M9.2)とは違い、日本近海ではM9.0をこえるような超巨大地震は起きない(「比較沈み込み学」という枠組みからの思い込み)。だから、電力各社も10メートルをこえる津波は現実には来ないと幻想を抱いた。想定されている現行の5.7メートル津波対策で十分だと錯覚を引き起こした。しかし、これが今回、見事に崩れた。

 福島第一原発には10以上のメートルの大津波が襲い、浸水波高約15メートルにも達し、全電源喪失という事態を招いた。連続して核分裂を起こさせていた臨界状態の原子炉をせっかく緊急停止させるのに成功させたのに、その後に押し寄せた津波で原子炉を冷却できずにメルトダウンさせてしまった。さらには高圧の原子炉の圧力を下げ、原子炉の崩壊を食い止めようと右往左往の挙句、高い放射能を持った水蒸気を直接、大気中に放出せざるを得なかったという最悪のシナリオが現実となってしまった。

 極論すれば、すべては地震学者の思い込みから起きた悲劇だった、と言われても仕方がないのではないか。

 追記

 そこで、あらためて、大震災後に書かれた地震学者、島崎邦彦東大名誉教授(地震学)の論考、

 超巨大地震、貞観の地震と長期評価(月刊誌『科学』2011年5月号、岩波書店)

 を読んで、

 東日本大震災は人災

という感を強めた。自然災害だから仕方がない、という雰囲気が電力会社などに根強いが、よくよく経過を調べてみると、これほどの被害を出さずにすんだ可能性が極めて高い。その意味で、

 今回の複合災害は、人災の何者でもない。

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