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DNA万能は危うい 死刑囚「袴田事件」 

(2011.12.05)  弁護側が第二次再審請求中の死刑囚「袴田事件」について、検察側がこれまで開示してこなかった取調べ録音テープや供述調書176点を開示するよう静岡地裁が初めて勧告した。同地検も受け入れる方針だという。

 静岡地裁が、今夏のDNA再鑑定の決定とともに、未開示証拠の開示を検察側に勧告したのは、弁護側の全面開示の要求があったとはいえ、まことに当を得た判断、もっとはっきり言えば英断だったと言えるだろう。

 同事件は、1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家四人が何者かに殺された事件で、現在、第二次再審請求に伴い弁護側、検察側、裁判所側で三者協議が行われている。これまで弁護側は、検察側に対して、証拠の全面開示を求めており、今回の裁判所の勧告はこれを支持したものとして注目される。

 弁護側は、今夏、袴田巌死刑囚が犯行時に着ていたとされる、いわゆ「5点の衣類」などについて、第一次再審請求同様、DNAの再鑑定を求めている。地裁もこれを認め、今月下旬にもその結果がまとまるという。

 最初の鑑定では「鑑定不可能」との結果が出たが、それから30年以上たって、鑑定技術も飛躍的に向上している。このこともあり、付着している血痕が果たして被害者4人のものであるのかどうか、明確な結果がでる可能性がある。同一の可能性が高いとなれば、弁護側にとっては不利となる(もっとも弁護側は、そもそも衣類は死刑囚のものではないと一貫して主張している)。

 しかし、事件直後のABO:型血液鑑定では明確にならなかったが、今回の着衣鑑定でも、被害者四人のいずれのDNAにも一致しない可能性が高いとなれば、この事件は冤罪の可能性があり、無罪に向けた再審開始の決定がなされるものと考えられる。袴田死刑囚以外の誰かが、彼を陥れるために「5点の衣類」をでっち上げたことになるからだ。

 ただ、注意すべきは、

 DNA鑑定万能主義は危うい

ということだ。あくまでも科学的な証拠ではあっても、さまざまな条件が重なり、正確な判定が難しいこともあり、決定的ではない。誤ることもあるのだ。冤罪を防ぐには、ほかの証拠ともつき合わせた総合的な判断が求められる。

 DNA鑑定を絶対視するあまり、その鑑定結果を盾に無実の死刑囚にされることもある。その逆にDNA鑑定だけに頼ると、確定した死刑囚が本当は真犯人なのに、再審で無罪になることもありえる。

  よく言われることではあるが、再審では、弁護側の〝敵〟は裁判官なのだ。再審開始の決定をするということは、先輩裁判官の誤りの可能性を後輩裁判官が指摘することに等しいからだ。

 再審につながる今回の英断には、こうした勇気が要ったことだろう。これには再審請求三者協議での血液DNA再鑑定で完全無罪が明らかになった足利事件の影響が大きいように思う。

 補遺

 ブログ子が袴田事件に興味を持つのは、袴田巌死刑囚が浜松市浜北区出身であり、ブログ子自身、浜北区に10年近く暮らした経験があるからでもある。

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