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ブラックホールを見つけた男  

(2011.11.27)  本棚を整理していたら

 『ブラックホールを見つけた男』(草思社、2009年)

というのがあった。暇になったのを機会に通読してみた。インドの若き天才、S.チャンドラセカールの伝記であるとともに、

 いかにしてこの奇妙な天体を理論的に発見したか、1920年代の世界の物理学界の思い込みと偏見と闘った男の人間くさい物語である。

 当時の物理学の常識、ブラックホールなどという奇妙な天体など存在しない

という雰囲気の中で、彼は理論的にはありうるとして大御所、A.エディントン卿に挑んだのである。それはインド人という人種差別むとの戦いでもあった。

 理論的には1920年代にはその存在は信じられるようになった。しかし、実際にそうした天体を発見することは当時、不可能だと信じられていた。光を出すことすらできないのでは観測できないからだ。

 ところが、1970年代、連星系の一方がブラックホールなら、相棒の普通の星から大量の物質を吸い込むときに、強烈なⅩ線を出すはずだとの想定で、ついに、日本人の小田稔が

 ブラックホールを観測的に見つけた男

となった。

ブラックホール発見第1号、白鳥座Ⅹ-1

である。消されかけた世紀の発見が、50年の歳月の後、華々しくよみがえった瞬間であった。Ⅹ線天文学の始まりと言っていいだろう。

 単独の星がブラックホールになるには、もともとの質量が太陽の8倍以上必要であると理論からわかっていたが、

 山形市のアマチュア天文家で、超新星ハンター、板垣公一さんが2005年7月に発見した超新星「SN2005cz」のもともとの星の質量が、太陽の質量の約8倍であることがわかり、これまでのうち最も軽量だとわかった。これにより、ブラックホール理論の正しさが証明されたらしい(2010年5月20日付静岡新聞=共同通信配信)

 板垣さんは、2011年夏、70個目の超新星を見つけている日本一のハンター。蔵王のふもとに設置した私設天文台で夜な夜なコンピューターとにらめっこしながら、気長に記録更新を続けているブログ子と同じ歳の団塊世代である。本業は小さな菓子メーカーの経営者。山形大学から名誉博士号ももらったらしい。天文学への貢献度からすれば当然で、その価値は十分ある。

 団塊世代は元気なのだ。

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