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織田信長の〝満漢全席〟

(2011.10.06)  定年後の「下山の時代」の楽しみの一つに

 読もう、読もうと思いながら、つい書棚にほこりをかぶっていた超大長編小説の読破

があることを、このブログでも紹介した。まず、元手がかからないのがうれしい。その上、定年後で時間はたっぷりあるのだから、たまらない。

 そのようにして、ブログ子はこの春から『徳川家康』(布張り製の愛蔵決定版、山岡荘八、全18巻)をじっくり味わいながら、最近読破した。

 読み終えた感想は、少し大げさだが、

これでいつ死んでも悔いはない

という気持ちになった。もっと早く、現役時代に読んで置けば、駆け引き上手でもっと出世したのにという感慨もなかったわけではないが、満足した。自分の読書力に自信も付いた。

 現在、下線を引いたり、メモを書き込んだりしたところを中心に、パラパラと再読しているのだが、ふと、当時の武将、殿様の食事の貧しさには同情した。塩サケで湯漬け、いわしの干物に3菜というのが当時の食卓の平均であると知って、ことごとく感心した。酒はよく飲んだだろうが、それだって今のような清酒ではなく、濁り酒が多かったのではないか。それとてもこれまた高価な飲み物だったように思う。

 そんな中で、織田信長が、徳川家康と連合して、信州・甲斐を征服した天正10年(1582年5月)に安土城で家康をもてなした豪華な饗応料理は、目を見張るような「五の膳」まである膳部であったらしい。

 超大長編は長丁場なので、こうしたくだり(第5巻 心火の巻(水嵩まさる))を読んでいると、ふと、どんな料理を接待係の明智光秀が用意したのか、知りたくなる。

 そこで調べてみたら、

 『江戸の料理と食生活』(原田信男編、小学館)

にその再現したものがカラーで、一の膳から、五の膳まで再現してくれていた。二日間にわたって供応したというからすごい。今から見ても、立派な本格的な日本料理である。食器や膳も見事なものである。

 これは、いわば、中国で言えば、清朝時代の満州族と漢族の料理の粋を集めた宴席料理、

 満漢全席

といえるのではないか。

 原田氏監修の本の再現料理によると、

 本膳(一の膳)は、鯛の焼き物、鯉のなます、鮒鮨など

 二の膳は、うるか、ほやの冷や汁、鮑など

 三の膳は、雉の胸肉、わたり蟹、山芋と鶴汁

 四の膳は、巻きするめ、椎茸、鮒汁

 五の膳は、まな鰹の刺身、牛蒡、鴨汁、削り昆布など

 このほか、三方に盛った「からすみ」。食事の間には、能が演じられたりと、いたれりつくせりなのだ。このほか、翌日の朝食には菓子類が出されるらしい。

 こんなことまで調べて、楽しめるのが、時間持ちの「下山の時代」のよさなのだ。(2011.10.06)

 追記

 余計なことかもしれないが、安土城でのこの供応の直後に、信長は

 京都・本能寺の変

に濃姫とともに、接待役だった光秀によって倒れる。信長と家康の間には、熱田の家康(竹千代)の人質時代から30年以上の付き合いがあったが、この供応が最後の顔合わせとなった。

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