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作家、城山三郎の孤独とその死

(2011.09.03)  NHKプレミアムで深夜、四年前に79歳で亡くなった

 直木賞作家、城山三郎さん、その生涯ドラマと証言

をみた(肺炎で死亡)。深夜の放送で、眠いのを我慢してみたのだが、

 この番組は何を訴えようとして制作されたのか

という製作意図が見終わってすぐにはわからなかった。駄作だと思った。頭の程度も含めて、ごくごく平凡な専業主婦、容子さんとの結婚生活がつづられているだけで、どうということのない幸せな生活ではあったが、他人から見ればつまらないと感じた。

 しかし、問題は、妻の死のあとの城山さんの心の変化だと気づいた。これこそ、この番組の製作意図ではなかったか。あるいは製作者にも気づかなかった重要な点だったかもしれない。

 つまり、70代の男性独居老人の孤独と死までの7年間の現実

を描いていたのだ。最晩年、城山さんは、そのこどくについて妻にささげる

 『そうか、もう君はいないのか』

という作品に込めて、孤独な毎日と戦いながら完成に没頭していたらしい。生活の雑用をひとりでこなしながら、この作品を書き続けていたことが死後発見された(2008年出版)。これからその割合が急増すると予想される男性の単身高齢者の実例であろう。

 城山さんの直接の死因は肺炎だが、ありあまる財産は持っていても、三度の食事づくりなど孤独な7年の生活に疲れたのだろう。生きるのが面倒になったのが真相のような気がする。

 ここからいえることは、趣味でも、なんでも仕事以外に、老いても打ち込める楽しみがなければ、長い長い時間のある高齢者が孤独を乗り越えるのは難しいだろう。

 この番組で、もう一つ気づいたことがある。城山さんは、名古屋工大の理工学生ということで徴兵志願を猶予されていたが、海軍に志願入隊。特攻練習生として、特攻訓練中に敗戦となった。感受性の強い若者だった城山さんは、おそらくこのときから国家というものに不信感を持つことになった。

 城山さんは、

 文学界新人賞、直木賞(『総会屋錦城』1959、文藝春秋読者賞、毎日出版文化賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞、朝日賞など

多くの賞を受けているが、国からの叙勲や文化賞には縁がない。番組を見て断っているからであることを初めて知った。

 城山さんの作品については、『官僚たちの夏』『毎日が日曜日』ぐらいしか読んでいないブログ子だが、この事実は城山さんらしい矜持だと思った。(2011.09.03)

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