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何が「チェルノブイリ」を引き起こしたか。自殺に追い込まれたある科学者の回想

   (2011.07.23)  NHKBS1の「世界のドキュメンタリー」という番組で、先日深夜、

 ドキュメンタリー・ドラマ「チェルノブイリの真相」

というのを放送していた。ある科学者のあくなき真実の追求という副題が付いていた。

 要するに、1986年4月26日、土曜日の当日、炉心爆発の現場に向かい、現場で何が起きていたかをつぶさに調査した政府調査委員会の中心科学者、ワレリー・レガソフの回想録をもとにしたドラマ。ドラマは、時間を追って進行する。同氏は、調査報告書を作成し、真相を明らかにしようとしたが、真相の核心部分を最終報告書に盛り込む]ことはできなかった。そこで、回想録の形で、真相を公表。事故から2年後

 「これを語るのは私の義務」

と言い残して自殺した。「これ」とは、事故がこれほど深刻化した本当の原因がなんであるかということ」なのだ。

 これまでは、この事故を引き起こしたのは、

 黒鉛型原子炉の欠陥、つまり、停止寸前の低出力状態では炉心内の核分裂を制御棒で制御するのが難しく、暴走する危険性があるという欠陥

に帰されている。この欠陥について、当時、現場の運転員には知らされていなかったというのが、事故の原因だったとされている。事故当時、何も知らない現場の運転員は、無駄に動いている低出力状態を利用して、より効率よく安全に原子炉を運転するある試験をしようとして、核暴走を引き起こしたというわけだ。

 しかし、この科学者の回想録は、こうした事故の責任を運転員だけに押し付けられない重大な問題点を指摘していた。

 事故が、大規模な付近住民の避難、その後の放射線障害などこれほどに深刻になったのは

 炉心爆発と溶融という現実の事故に正面から向き合い、対策をとることを恐れた官僚たちの

 秘密主義(依らしむべし、知らしむべから)の体質

 保身のための責任逃れの体質

にあったと、ドラマの中の回想科学者ははっきりと

指摘していた。このことが、政府部内の官僚組織と軋轢を生み、それが彼を自殺に追いやったのだろう。政府関係者による暗殺だったかもしれないと感じた。

 極端な官僚主義がはびこっていた社会主義政権の末期で起きた大惨事。そして、情報公開の必要性を叫ぶゴルバチョフ書記長が登場して20年以上がたつ今、ようやく、チェルノブイリ事故の真実が、当時直接現地で調査した決死の科学者の回想録によって姿を現し始めたように感じた。

 一言で言えば、チェルノブイリ事故をあれほど深刻化させたのは、責任が自分に降りかかるのを恐れて現実と正面から向き合うことに最後まで抵抗した

 事なかれ主義の官僚主義

であったのだ。

 この教訓は、今の日本にも生かさなければならない。2011.07.23

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