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紅梅 津村節子、80歳の執念 舌がんの夫の記

 夫のことであるとはいえ、これほどまでにがん闘病を冷静に書けるものかと驚いた。吉村昭氏の妻、津村節子さんの「文学界」5月号の『紅梅』である。

 なんとか楽に死ねる方法はないものかと思案している夫の心理を見事に描ききっている。がんとの闘いはこれほどまでに壮絶なのだ。そんなことを学んだ。

 文学界という月刊誌はめったに読まないが、一挙掲載の迫力もあって、読み応えがあった。

 文学的な昇華はあるだろうが、真実の終末期医療の現実を描いていたのには感心した。

 どうせ、女性作家が夫について書いたのだから、お涙頂戴風のつまらないものだと早合点していたが、なかなかどうして、鋭い作品だった。

 この作品を読み終えて、思ったのは、なんとか楽に死ねるには、勇気のほかに、体力もいるということだった。体力がなければ

 楽にはなかなか死ねない。

 そんなことを思い知らされた。

 80歳の執念だろう。まだまだボケてはいない。2011.04.15

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