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歳中覚の日々 京商家200年のレシピ 文化的景観について

 京都・四条烏丸の交差点から一筋南の通り

 綾小路通

にその商家はある。先日、NHKBSプレミアムを見ていたら、財団法人の所有になった杉本家の紹介をやっていた。登録文化財かな、と思っていたら、

 なんと、国の重要文化財

として、昨年夏認められたそうだ。商家の年中行事の時の食事など規則集「歳中覚(さいちゅうおぼえ)」が紹介されていた。元は呉服商だったらしいのだが、9代目当主、杉本秀太郎氏(京都女子大名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授)も登場していた。番組は主に当主の妻や若い姉妹、節子、歌子さん(大学の非常勤講師)を中心にすすめられていた。

 思うのだが、たいていの日本人ならこんな町家に、しかも京都市内の真ん中にあれば、住んでみたいと思う人は多いだろう。しかし、それを維持していくのが大変なのだ。重要文化財に指定され、そして、財団の形で運営して、それが定着するまでには、これから大変な苦労がありそうに思う。

 ブログ子も京都に住み、金沢にも20年住んだが、最近は、町家の良さがようやく日本人の住まいとして見直されているのはうれしい。

 しかし、京都も金沢も、町家は、現代の生活に合わないものとして、どんどん取り壊されている。

 放映されていた杉本家も、周りはビルばかりで、ポツンと取り残されたようになっていたのが気になった。

 都市の中の町家の美しさは、町家のつらなりが大事であり、文化的な景観を生み出す。それがどこか一箇所でも取り壊されて、駐車場になれば、もはや文化的景観とはいえないのである。このことを、金沢にいて「ふるさと講座」のシリーズ撮影をして、つくづく感じた。

 京都にすら、そんな町家のつらなりを街中に見つけることは困難になっているのはさびしい。

 番組では、そうした話はなく、もっぱら杉本家のつくりと庭と年中行事の食事について話が進んでいた。女性が多く登場していたから仕方のないことではあるかもしれないが、もう少し、

町家のつらなり=文化的景観

について、当主から問題提起があってもよかったのではないか。当主はフランス文学者で多くの著書もあることを番組で紹介していたのだから、もう少し、見識を示してほしかった。

 ピアノを弾いて見せたり、「火の用心」の版木に墨を塗るだけの出演ではもったいない気がした。

 「プレミアム」らしい掘り下げが少し足りなかったように思う。2011.04.31

  追記

 商家ではないが、普通の民家としての京町家については、

 京都市中京区の山鉾町の町家、小島家

が比較的に、よく知られている。この家を切り盛りしている小島冨佐江さんは、

 京町家再生研究会事務局長 NPO法人

である。『京町家の春夏秋冬』(文英社)、『京の町家  丁寧な暮らし』などもある。

 「不便でも納得できる家で丁寧な生活がしたい」

とか。便利さを追い求めすぎる日本人にとって、本当の進歩とは何かを教えてくれるような言葉だ。

 ていねいな暮らし - 今、必要な生き方ではないか。

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