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予測はホント、むずかしい 中国の2010年GDP、日本抜き世界第2位

 バレンタインの日の夜、NHKニュースを見ていたら、

 経済成長が著しい中国のGDP(国内総生産)が、2010年、日本を抜いてアメリカに次いで世界第二位の経済大国になったと伝えていた。内閣府が発表した速報値である。アメリカはこれに対し、存在感を増す中国に対し警戒感を強めているらしい。

 内閣府の推計によると、中国がこのままの成長を続けると、2025年ごろにはアメリカを追い抜く勢いだという。もっとも、それでも国民一人当たりの換算では中国はまだアメリカの4分の1。しかし、大変な経済大国になることは間違いない。

 ところで、こうした状況を国際経済学者はどの程度、予測していたのかということだが、世界的な国際経済学者、C.P.キンドルバーガーが1996年に刊行した

 『経済大国興亡史 1500-1990』(岩波書店、全2巻)

には、アメリカの衰退については、かなり詳しく言及してはいるものの、中国の台頭については、ほとんどまったくと言っていいほど何も触れていない。

 わずかに触れているところを探すと、第12章結論のところの、そのまた、最後の最後にこう書かれているだけだ。

 次は? との見出しの下に、

  「わたしは(中略)混乱を予測する。」 「混乱の中から、ある国が世界経済の首位に立つ強国として、しばらくの間台頭してくるであろう。ふたたびアメリカか、日本か、ドイツか、全体としてのヨーロッパ共同体か、もしかすると、オーストラリア、ブラジル、中国のようなダークホースか。だが、それを誰が知ろう。私には分からない」

とこの浩瀚な著書は結ばれている。

 刊行した1996年時点では、中国がこれほどまでに経済大国にのし上がってくるとは、国際経済学の大家も予想できなかったのだろう。

 ただ、残念なのは、日本語訳が出たのは2002年であり、「日本語版への序文」まで著者は書いているのだから、日本の隣国中国の台頭や今後の行方について、一言言及があっても良かったのではないか、ということだ。日本語版序文にはまったく中国についての言及はない。しかし、2002年には、世界的なベストセラー『大国の興亡 1500-2000』で知られるポール・ケネディ氏ですら、自分の著書の知見を踏まえて、グローバル化を契機に中国経済の台頭を論じている(たとえば、2002年10月21日付読売新聞1面「地球を読む」)。当然、翻訳に当たって著者と詳しいやりとりをしていたという訳者もこの点に気づいていたはずなのに、どうしたことだろう。

   国際経済の動きの10年先を読み、その中で首位の座にあった大国がその座を明け渡し衰退に向かい、代わってどの国が首位に向かって勃興するのかという予測はとかく難しいということを知った「中国2位」だった。

 予測の前提として、首位の座にある経済大国がなぜ衰退したのかということはある程度分析できても、それに代わって、いろいろある国の中である特定の国がなぜ突然台頭して、その勢いを増し、首位の座をうかがうまでになってきたのかという分析はよほど難しいのだろう。そのときの国のリーダーの資質が大きくかかわってくるからだろう。その意味では、今後の中国経済の動向を、リーダーの指導力の発揮を中心に注意深く分析し、観察していくことが、今後の大国の興亡を見極める上で大事なのではないか。

 要するに、経済大国の興亡のかぎは、その時々のリーダーが握ってるということだろう。

 ちょっと変わった「科学と社会」ブログになってしまった。2011.02.16

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