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人工合成生物の時代 ? 今年の科学界重大ニュースにびっくり

 今年の科学界のビッグニュースはなんと言っても

 小惑星サンプルリターン探査機「はやぶさ」の感激の帰還(2010年6月)

と思っている人も多いだろう(問題もある。追記も参照)。宇宙に関心を持つローエル協会としても、それに異存はないが、しかし、世界は広い。地上では、それよりもあっと驚く出来事が起きていた。

 日曜日のNHK番組「サイエンスZERO」でも紹介されていたが、

 あのDNA解読競争で活躍したC.ベンター博士率いる米ベンチャー研究機関が

 人工的に合成したゲノムを、いわゆる借り腹として自然界でそのゲノムを持つ細菌に移植し、自己増殖させることに成功

という大ニュースがあった(はやぶさ帰還と同じ6月)。本物のゲノムと入れ替えた移植のゲノム情報を基に、借り腹役の細菌が実際にたんぱく質を作り出し、細胞分裂するなど自己増殖を始めたことが確認されたのだ。この借り腹の部分が人工的に行われるようになれば、

 完全な人工合成生物の誕生

だ。自然界には存在しない新しい生物を〝創造〟できる合成生物学の道を開いたといえる。同研究機関では、すでにこのことに成功しているのではないかとの見方も出ているらしい。こうなると、

 人工ロボットならぬ、生物ロボット

の誕生である。ある有用な医薬品を作り出す生物ロボットも可能なのだという。すばらしいというべきか、恐ろしいというべきか。これはもう、「はやぶさ」どころの騒ぎではない。これまで神の仕事とされてきた生物の創造が、人間でもできる。使い方を誤らないか、事態は深刻だともいえる。

 今から40年以上前、米誌「ライフ」の科学記者、A.ローゼンフェルト氏は

 『第二創世記 来るべき生物学時代への提言』(早川書房)

で、その書き出しにおいて「生命をコントロールする時代が到来しつつある。人間の生命を含むあらゆる生命。それが人間自身によってコントロールされるのだ」と述べ、「今度創造者となるのは-人間だ」と指摘している。当時は、心臓移植や人工臓器、生殖革命を想定していたが、いまやより根本的な人工ゲノムの時代の到来であり、いわば第三創世記の時代と言えるかもしれない。今年はその元年というわけだ。

 日本でも、今年京大にiPS細胞研究所が開設されるなど、急速に胚性幹細胞(ES細胞)から、より根源的な多機能幹細胞の研究に態勢がシフトし始めている。

 ローゼンフェルト記者は、新しい時代の到来で、どんな事態が社会発生するのか、事前に予測し、必要な措置がとれる仕組みが必要だと提言している。日本でも新しい事態対応できているかどうか、点検し、体制を見直していくことが大事だろう。

  そう考えると、小生としては、

 はやぶさ帰還と、自己複製もできる人工ゲノムの作出成功

を今年の重大ニュースの上位に挙げたい。このほか、

 うなぎの完全養殖の成功(養鰻業者はショックだろう、8月)

 反水素の捕獲に成功(東大など国際研究チーム、11月)

などを挙げたい。今夏の異常な猛暑も身近な重大ニュースだろう。2010.12.27

  追記

 浜松市でも、はやぶさのカプセルの実物公開が先日(12月18日)行われたので、見に出かけた。浜松科学館のサイエンスボランティアもたくさん応援に駆けつけていた。

 浜松市民としてうれしかったのは、小惑星の上空から観測するために浜松ホトニクスが開発した

 蛍光X線分光器および近赤外線分光器用の光センサー

が展示されていたことだ。これで、はやぶさは小惑星接近とともに、上空から小惑星がどのような物質で成り立っているのか、詳しく分析するためのデータを取得して、地球に送信していたのだ。

 もうひとつ、追記。

 「はやぶさ」については、その帰還では賞賛の声ばかりが目立つ。

 しかし、大きな問題点もあることを見逃してはならないだろう。

 それは、これほどさまざまな深刻なトラブルが発生したということは、技術がまだまだ未熟であるということだ。軽量化のため、信頼性や安全性を高めるための

 トラブルが起きてもリカバリー機能のある、いわゆる「フェール・セーフ」の設計思想

が徹底していなかったことをさらけ出した。後継機の「はやぶさ2」の大きな課題ではないか。

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