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秋の京都をゆく  ひっそりたたずむ親鸞聖人「奉火葬之古跡」

 大学の同窓会で、久しぶりに京都を訪ねた。「宇宙会」という、なんともはや気宇壮大な世界一大きな同窓会である。もっともそれは人数の多さではなく、気分だけだが。

 そのついでにと、言っては何だが、わが家は浄土真宗であることから、その開祖、親鸞の墓所を訪れた。浄土真宗は現在、本願寺派、大谷派、高田派、仏光寺派など十派にわかれているが、我が家は北陸に本籍があることからも分かるが、大谷派。つまり、東本願寺、通称、お東さんが総本山である。これに対し、西本願寺は浄土真宗本願寺派(ややこしいが、龍谷山本願寺のことである)と称し、通称は「お西さん」である。

 親鸞の墓所が京都市内のどこにあるか、すぐに答えられる人は少ないだろう。

 本願寺派(西本願寺)では、それは

 東山五条の大谷本廟(西大谷)

にあるというから、そこに出かけた。いわゆる五条坂の隣りである。なるほど、りっぱな総門の手前に、大きな親鸞立像が信者を迎えている。観光シーズンとあって、大勢の信者の墓参りでにぎわっていた。社務所で、はずかしながら

 「親鸞自身のお墓は、どこですか」

とおそるおそる聞いてみた。親切な人がいたもので、わざわざ案内してくれた。なんと境内の外に小生を連れ出し、境内に隣接する数千の信者の墓、先祖代々の墓がぎっしり立ち並ぶ墓所の奥の奥に、文字通り、ひっそりと、人っ子一人いない一角に、親鸞の遺体を「荼毘」にふした場所と説明してくれた石碑が立っていた。銘文には

 「親鸞聖人奉火葬之古跡」

とだけ、彫られていた。すぐ後ろは民家がいくつも立っていた。詳細は不明だが、1262年、ここで、親鸞が火葬にされたらしい。ということは、

 来年、2011年は「親鸞聖人七百五十回大遠忌法要」

なのだ。この大谷本廟の総門近くの入り口には、その旨のポスターが大きく張り出されているのを思い出した。

 そんなことを思いながら、東山五条を北に上がり、祇園近くに近づくと、今度は

 東山四条に近いところに、大谷派本願寺(東本願寺)本廟の参道が東に延びていた。

 大谷祖廟(東大谷)

である。ここがわが家のお骨もある。この場所は、分かりやすく大雑把に言えば、八坂神社(祇園社)の中の円山公園(円山音楽堂)東隣り。

 この祖廟の石畳を登りきった奥の奥に

 親鸞のお骨を祭った「御廟」

がある。来年の750回忌に間に合わせようと、整備事業が急ピッチで行われていた。西本願寺の場合と違い、この御廟は少し高いところにあるので、高齢者の多い信者のためであろう、御廟前まで、エレベーターが設置されており、結構、利用されていたのには驚いた。

 そうか、親鸞聖人の墓は、東山の二カ所にあるのか、

と思っていたら、社務所の職員によると、真宗十派それぞれに「ご廟」が東山周辺にあるらしい。なんともはや、親鸞聖人も大変だ。そんなことは、それぞれの信者はきっと知らないだろう。小生も知らなかった。もちろん、東本願寺の祖廟の社務所にも、親鸞聖人750回忌のポスターが貼られていた。

 ところで、来年は、

 親鸞が教えを受けた法然上人の八百年大遠忌

でもあるということが分かった。確かに、法然上人は、1212年になくなっている。

 だから、来年2011年は、親鸞の750回忌と法然の800回忌が重なる

ということになる。

 だから、来年は、いや、はや今年2010年の秋からは、真宗ブーム

になるだろうと、小生予想した。

 案の定、

 宗教学者、山折哲雄さんが親鸞の「『教行信証』を読む」(岩波新書)をつい最近(8月)に出版しているのだ。

 作家、五木寛之さんも、来年1月に地方紙各紙朝刊に「親鸞」の連載を再開するのだ。なんだかんだといっても、みなさん、商売が上手なのだ。TPOを心得ている。

 そんな思いで、京都を離れ、浜松に帰宅した。

 そんな商売上手に嫌気がさして、小生、最近、

 文豪、丹羽文雄さんが昭和50年代に10年にわたり月刊雑誌に連載した浩瀚なライフワーク

 「蓮如」(全8巻、中央公論社)

を読んでいる。蓮如は、浄土真宗の中興の祖。その生涯を浄土真宗の住職の家に生まれた丹羽さんが描いたものであり、さすがに鋭く、深い味わいがある。あたかも大河歴史ドラマといえるものだ。

 京都の親鸞墓所を巡って、あらためてこの浩瀚な小説に敬意を評したい気持ちになった。

 ライフワークづくりには、執筆だけでも10年はかかる。そんなとを知った。2010.10.24

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