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それからの、おりょう  NHK「竜馬伝」 寺田屋騒動、竜馬襲撃

 NHK「竜馬伝」は、9月5日日曜日が寺田屋騒動、9月12日が「竜馬の妻」と大きな山場にかかっている。とりわけ、おりょうにとっては、最大の見せ場であろう。テンポよくドラマが進行するのも、小気味よい。おりょう役の真木よう子さんの演技もイメージも、たとえば司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」にぴったりで好感が持てる。おりょうにとって、歴史の転換点で、その人生でもっとも激しく、愛と激情と幸せに生きたときであったろう。

 テレビを見ている女性なら、どの世代でもほとんどすべての人が、こんな男性と一生ともにしたら、なんと幸せなことであろう

とため息が出るだろう。男の小生にも、その気持ちがよく分かる。竜馬に愛された女の幸せは、男にも分かる。男だって、そんな恋がしてみたいと思うからだ。

 だが、しかし、竜馬が暗殺されたあとの、明治時代に入ってからのいわゆる「それからのおりょう」は、凄惨な人生を送ることになる。

竜馬と3年、残りの人生30年をどう生きたか

 作家の鳥越碧(みどり)さんが

 近著「波枕 おりょう秘抄」(講談社)

に、おりょうの内面の葛藤を女性らしいこまやかな視点で浮き彫りにしている。

 これを読むと、「竜馬は竜馬。自分は自分」と割り切って、自分の人生を精一杯生きることのできなかった女性の晩年のすさまじさが伝わってくる。「竜馬の妻」という重荷が、それからのおりょうを翻弄し、押しつぶしてしまっていたのだ。あわれとしかいいようのない人生だったように思う。実際にも、最晩年は、女性にもかかわらず、大酒のみになり、ついにアルコール中毒患者となり、手足がふるえながら、人生をとじている。

 それでもなお、長い人生のほんの一時期でも、燃えるような恋に出会えたというのは、おりょうにとっては、幸せなことだったろう。

 なぜなら、この小説の最後、あるいは巌流島の夜桜見物のシーンで、竜馬とおりょうのふたりだけの会話。

一人一人が、あれこれ思い煩わさんと、己の生を精いっぱい楽しんだらええと思うぜよ

と竜馬が言って、おりょうがうなづく。

 小説の最後にも、竜馬が、おりょうの夢枕に登場

「おりょうも、これからはもう前を向いて歩けるやろ」

「自分の人生を精いっぱい大切に生きてこそ、人間じゃき」

「精いっぱい大切に」

と問い返す、おりょうに、竜馬は

「そうじゃ、人を好きになるのは、なによりその証やろうが」

として、おりょうが、30年以上連れ添った再婚相手、心優しき行商人、西村松兵衛をようやく好きになったことを、夢枕に立っている竜馬に打ち明けたとき、それを竜馬は喜んでいる。おりょうの生き方が、「竜馬の妻」から解放されてまもなく、その人生をとじている。逆に言えば、それほど「竜馬の妻」は重荷だったと言えよう。

 時代の変革者の妻というものの、その後の生き方の難しさを、心のひだに触れるように細やかに教えてくれた小説であったと思う。

 そんな思いで、来週12日日曜日の「竜馬伝 竜馬の妻」を見てみたい。2010.09.06

 

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