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天国でもなく地獄でもなく 水底の英霊たちの「帰國」

 久しぶりに、あっと思うようなドラマをみた。TBS系の

 終戦ドラマ「帰國」 倉本聰脚本 主演? ビートたけし(上等兵)

である。8月14日、土曜日夜である。

 その感想を一言で言えば、終戦記念日のドラマや特集は、とかく懐古趣味になるところを、現代の日本に焦点を当て、英霊たちに批評させている点が、鋭いということだった。

 南太平洋に散った英霊たちが65年ぶれに夜の東京駅に帰国するという、いわば

 出征兵士の合言葉「靖國で会おう」を仮想実現、英霊たちが、思い思いに、人気のない夜の東京をさまようというもので、

 「あんまりじゃないか」という、現代の平和日本に対する痛烈な批判

が込められていた。

 戦没画学生たちの絵を提示した無言館(上田市)、靖国神社、浅草、神宮球場などが登場し、jまた、無責任なマスコミ批判あり、〝殺人事件〟あり、とかなかな面白かった。

 ただ、ラスト15分は、視聴者に対する念のための解説であり、要らないのではないか。英霊たちが、再び、東京駅から、悄然として、「恥を知れ」という憤りを持って、蒸気機関車に引かれて南海の海底に帰っていくシーンで終われば、ドラマとして、視聴者にそれぞれ考えさせるようになり、より余韻のあるドラマとなったであろう。

ドラマは、すべてをあますところなく表現してはいけない。余白を残すことがコツだろう。倉本氏もそんなことは承知のはずだろうが、ついつい、自分なりの体験や現代平和日本に対するやりきれない怒りや思い入れがあり、「親切な」ドラマになってしまったように思う。この点が少し残念。昭和という近現代史を事実に基づくドラマに仕上げることの難しさを思い知らされた。

 ドラマとは直接関係ないが、シリアスなドラマの提供だったが、その合間に流れるスポンサーCMがあまりに、ドラマの内容とかけ離れた明るく軽く、いかにも現代平和日本を象徴するようなものでありすぎて、違和感を覚えた。

 ビートたけし上等兵が「あんまりじゃないか」と憤慨する現在の平和日本は、このCMをさすかのように錯覚しそうで、CMを見るのが辛かった。こんなことも十分計算に入れて、倉本氏がシナリオを書いたとすれば、稀代の脚本家であり、したたかシナリオライターと言えるだろう。

 ひさしぶりに、自虐的ではない、考えさせるドラマを見た。2010.08.15

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