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岡田武史代表監督の怒り  「人間万事塞翁が馬」

 サッカーW杯がベスト8同士の戦いに入っているが、パラグアイ戦のPKに破れ8強入りを逃がした日本のW杯は終わった。

 120分間の死闘を終えた岡田武史日本代表監督が代表辞任の意向を表明した。そのときの言葉に岡田監督の、オシム監督の途中降板の後を引きついで以来、これまでの苦しみと怒りがうかがえる。

 「もう、(代表監督を)やることはない。これ以上、日本のサッカーを背負えない」

と吐露した。選手たちとの最後の食事会では、監督は別れの言葉として

 「人間万事塞翁が馬」

を選手たちに贈ったという。人生の吉凶禍福は予測できないものであり、あざなえる麻縄の如しである。福と思ったことも喜ぶには足りず、逆に災いだと思っても悲しむに足りないという意味だろう。翻弄され続けてきた岡田監督らしい言葉だ。結果を見て、後からは何とでも言えるが、そのときそのときを判断しなければならない監督の苦しみから、そして怒りから生まれた別れの言葉であり、二度と代表監督なんかになりたくないという気持ちがにじんでいる。

 具体的に言えば、W杯直前の「守備の崩壊」が、本番で守備重視に切り替えさせた。そして、それが大方の予想を覆して決勝Tに勝ち上がることにつながった。災いが福となった。しかし、それは結果論である。また、その福が果たして、これからの日本サッカー界で災いにもなりかねないということもあり得る。これではとても代表監督などやってられない。

 岡田監督の「怒り」と苦しみ

が静かに、そして強力に伝わってくる。

 選手の本田佳佑のパラグアイ敗戦後の言葉も

 「応援してくれた人にも、批判した人にも、感謝したい」

とバッシングしてきたファンに強烈な〝フリーキック〟をけり込んだ。しかし、そのバッシングに耐え、本番直前に「戦術変更」したからこそ、たぶん、格上のカメルーン戦、デンマーク戦に勝てたのだと思うと、なにがなんだかわからなくなる。

 守備の崩壊を立て直すため、MF、阿部選手の守備陣の安定感、FWの本田選手の攻撃の決定力、そして、ゴールキーパー川島の防御力が決勝トーナメントへの道を開いたのだと思う。

 とはいえ、課題もある。冷静にみると、日本のサッカーはとても、ベスト8入りするようなレベルではないことも、素人の小生でも感じた。

 ベスト8入りするような、ブラジル、スペイン、ドイツ、アルゼンチンなどは、いずれも、

 トップスピードを維持したまま、ゴールにけりこむなど、ボールを扱える

 日本の選手にはないスピード感だ。

 岡田監督は、パラグアイ敗戦直後のインタビューで

 「私の力、努力が足りなかった。まだまだ日本は力が足りないと感じた」

と冷静に、謙虚に話していたが、このことではないか。日本のサッカーがベスト8入りするには、

 トップスピードのままボールを扱えるようになる

ことではないか。

 テレビでは、

 世界で存在感ベスト16

とその各国の反響の大きさを、無邪気に伝えていたが、こうした課題をおろそかにしていると

 次のW杯には、出場すらできない

という事態も起こり得る。人生万事塞翁が馬とは、よく言ったものだ。2010.06.30

  退職のあいさつの帰りの新幹線の中で、岡田辞任意向の車内電光ニュースを眺めながら、この言葉をかみ締めた。

 つまり、人生万事塞翁が馬なのだ。だったら、先が見えなくても、自分のやりたいことをやろうではないか。それだったら、その結果が禍福どちらになっても、耐えられる。禍と感じても、それがいつしか福となることもある。しかし、たいていの人は、人生の晩年になっても自分のやりたいこととはなんだったのか、気づくこともなく、そしていつの間にか人生を終えている。

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