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続「地球温暖化スキャンダル」 なぜ消えた中世温暖期

 大量メール流出事件を暴いた

 「温暖化スキャンダル」(日本評論社、2010年6月)

を読んでいて、いろいろ調べた。その中で、1990年代後半の急激な温暖化現象、いわゆる「ホッケースティック」を示したMBH99論文の著者の一人で、温暖化警告派のK.ブリッファCRU副所長が

 「どうやら最近の高温は、1000年前といい勝負らしい」(1999年9月22日)

というメールを出していた(同著p6)。

 「ホッケースティック」の急上昇と同じような高温期がかつてもあったらしいことを認めているのだ。つまり、中世温暖期(西暦800年-1200年)の存在を認めているのだ。

 しかし、彼の論文を採用した2001年、2007年のIPCC報告書には、そうした温暖期間はなく(1991年の第一次報告書には概略を示す図があった !)、1990年代の急上昇は、これまでの歴史にはない劇的な変化として、これは大変だ、と人々の注目を集めた。ホッケースティックのマジックだ。

 さらに、いろいろ調べると

 確かに、日本でも、中世温暖期はあった。

 「科学朝日」1994年11月号

 特集 寒冷化と大化の改新

の中で、安田喜憲国際日本文化研究センター教授(環境考古学)が、同センターの北川浩之助手(同位体地球化学)による屋久杉の年輪の炭素同位体比を使った最新の詳細分析から分かった気候変動グラフ(この2000年間)が詳しく紹介されている。

それによると、過去2000年間の年間平均気温からの偏差は、+-約2度で、

 中世温暖期(800年-1200年、平安初期から鎌倉初期)には、全体の平均から+1度前後高い(この値は、ブリッファーの言うとおり、1990年代の数値とほぼ一致 !)

 これに対し、小氷期(1600年-1850年、江戸時代)には、全体平均から-1度前後低い

 こうした結果は、IPCC1991年報告書の概略図とほぼ一致する。

 つまり、今のような高温期は、なにも今回が初めてではなく、過去にもあった。このことは、警告派にも分かっていたが、これでは、1990年代の温暖化のすさまじさを如実にアピールするにはものたりないというわけで、たとえば、気温の代替指標と実際の温度計気温とをつなぐ際に、代替指標気温の「気温低下を隠す作業」などで「細工」をしたのではないか、と想像されるのだ。

 ともかく、IPCC報告書の信用はがた落ちであり、事実上、信用できない

ところまで来ているよな印象だ。こうなると、

 都市化に伴うヒートアイランド現象が温暖化にほとんど影響しないとの(CRU所長の)結論もあやしい

とならないか。すくなくとも、こうした事実の検証を急ぎ、こうしたことがまかり通ったIPCC査読制度を根本から見直すべきだろう。査読制度そのものが、きちんと機能していないことをうかがわせるのに十分な疑問が多すぎる。

 なお、日本だけでなく、世界中で中世温暖化があったとする著作には

 「千年前の人類を襲った 大温暖化 文明を崩壊させた気候変動」(河出書房新社)

がある。世界各地を訪れて、そうした現象について史料を検証している。人類社会と気候変動に詳しい米人類学者の著作であり、気候学者ではないため、まだまだあいまいだが、一読の価値はあるとの印象だ。原題は

 THE GREAT WARMING Climate Change and The Rise and Fall of Civilizations 2008年

 温暖化の程度として、あるいは証拠として、大干ばつや降水量などに注目している。

  ともかく、温暖化スキャンダルは、これからも目が離せない。

 日本の科学ジャーナリストは何をしている !

  日本科学技術ジャーナリスト会議は何をしている ! 2010.06.17

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