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プロパブリカ 苦境の米ジャーナリズムに非営利ネットメディアの新風

 5月21日付朝日新聞「ひと」欄に

 米ピュリッツアー賞を受賞した医学博士のネット記者、シェリ・フィンクさん

が紹介されていた。ニューヨークタイムズの日曜版別冊雑誌に載った極限状態の病院を舞台とした安楽死調査報道が受賞作。20ページ近いものだ。

 苦境の米ジャーナリズムに非営利ネットメディアの新風が登場した象徴

だろう。伝統的なメディアに代わってオリジナルな報道、オリジナルな調査報道が担える力を備えてきたことを象徴的に受賞は証明した。

広告を掲載しない、このメディア「プロパブリカ」(NPO法人)について、NHKが5月22日土曜日夕方の「海外ネットワーク」の中の「ワールド・トレンド」コーナーで紹介していた。記者は元大手新聞社の記者を含めて35人で、うち8人がピュリッツアー受賞者というから、エリート集団だ。運営は篤志家(慈善事業家)の寄付でまかなわれており、記事は、記事内容にふさわしい媒体に無償で提供されているとのことに驚いた。苦境で大手が手間と時間と資金が必要な調査報道の質の低下に歯止めをかけたいというわけだ。

 テキサス・トリビューン

でも寄付による新しいジャーナリズム、つまり広告掲載のない

公共ジャーナリズム

を模索している様子も紹介されていた。寄付を受け続けるには、質の高い調査報道を続けていかなければならないと同社の幹部はインタビュー答えていた。

 かつて、「選択」2006年4月号に

 「回復不能」に至る米ジャーナリズム 右傾化と商業主義の中で歪む使命感

という記事が掲載され、盗用、捏造、国威発揚ニュースが氾濫している実態の背景が紹介されていた。最近でも、「Newsweek」日本版(2009年9月16日号)で、ネットの波で

 新聞絶滅へのカウントダウン

と題して、150年近い伝統を持つロッキー・マウンテン・ニュース紙など、名門紙の廃刊ラッシュが紹介されていた。オーバーだが、「すべての地方紙がなくなる恐れもある」と書いていた。この号では、米国だけでなく、イギリスでもメディア革命が起きている様子を紹介してい.る。

 こうした事態は、おそかれ早かれ、いや、もう日本でも始まっている。日経では

 本格的な有料電子新聞

への移行がこの4月からスタートした。かつての杉山隆男の

「メディアの興亡」(活字から、新聞製作のコンピューター化)

を思い出す。まだ、数万部だが、その行方が注目される。

 しかし、どんなに新聞製作の方法は変わっても、

 ジャーナリズムの批判精神、権力批判

が変質することはないだろうし、変質させてはならないだろう。また、

 ネットにジャーナリズムが望めるか

という長年の問いかけに、

 「イエス、アイ、キャン」

とこたえたのが、今回の受賞だ。

 そのことを専門知識を持ったネット記者のフィンクさんは教えてくれたように思う。2010.05.22

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