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本と本屋が消える日 電子書籍の衝撃

 ゴールデンウイークが始まり、お出かけ日和で、本など読んでいる場合ではないかも知れない。しかし、「週刊現代」5月1日号を読んでいたら、

 本と本屋が消える日 そんなバカな!?

という取材ルポ特集が出ていた。グーテンベルグの活字印刷術の発明(1453年)以来の衝撃だと書いている。当時も、活字で紙に印刷するなんてバカげている。わざわざ印発したものを手書きで、羊皮紙に書き写していたという。雨に濡れれば紙はダメになる、羊皮紙なら安心だというわけだ。

 それはともかく、特集は

 出版界の〝黒船〟

とも書いていた。昨年以来、電子書籍用の端末

 アマゾンの「キンドル」 アップルの「iPad」

が、米国に次いで、日本でも普及してきたというのだ。

 冗談だが、このままでは、 

 書店で万引ができなくなる、ブックオフが倒産する

という(笑い)。電子書籍になると、紙書籍に比べて返品もなく、コストが極端に削減され、その分、著者印税がグンとアップし、50%以上にもなるという。これは著作者には魅力だが、一冊ダウンロードしていくらの出来高制だと、売れなければ印税はないし、電子書籍側は出版のリスクはゼロ。宣伝にも力が入らない。知名度だけで売れる著者はそれでいいだろうが、無名の新人が育たないのではないか。出版文化が危ない、ような気がする。

 もっとも、電子書籍は雨に濡れても破れないから、確かにいい。

 こうなると、これからの出版は情報産業、とりわけ通信産業が主流になるのかと思われがちだが、何が文化で、何が売れるか、世の中、何を求めているのか、という目利き役、つまり編集者の役割はやはりなくならないだろう。

 それにしても、紙がなくなる、紙の本がなくなる日が来るのだろうか。活版印刷術の発明で羊皮紙がなくなったように。

 小生は、少し古いのか、紙はなくならないと思うが、ふと、

 レイ・ブラッドベリーの「華氏四五一度」(元々社、昭和31年発行。最新科学小説全集7)

を手に取ってみた。書棚の隅に埃をかぶっていたのだが、ざっと

 「進歩主義者達はテレビ、フィルムの時代になっては書物など読む必要もなく、返って過去に執着し進歩を妨げると考え、あらゆる書物を没収焼却し所有者を厳罰に処した。しかしふと老婦人が火焔の中で蔵書から立ち去りかね遂に焼け死ぬのを見た一官憲は、この職務に疑問を持ち火事場から一冊の聖書をコッソリ盗む」(全集の広告から)

という筋書きらしい。華氏451度とは、紙が自然と燃え出す温度だ(セ氏では233度に対応する)。小説には挿絵もあり、古風だが、文明批評でもある。

 電子書籍にしろ、紙書籍にしろ、いずれも文化を築くための手段にすぎない。それに振り回されてはなるまい。そして、進歩主義にも。

 ただ、印刷業界は大打撃だろう。2010.04.29

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