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長崎の被爆マリア像 もう一つの「原爆ドーム」

 朝日新聞(4月22日付)の1面を見ていたら、高速新料金見直しへ、のトップ記事の下に

 被爆マリア 法王と対面

という大きな写真付きの記事が出ていた。

 「長崎原爆で傷ついた「被爆マリア像」を携えた高見三明・カトリック長崎大司教ら平和を祈る巡礼団が21日、バチカンのサンピエトロ広場で行われた定例の一般謁見に参列。ローマ法王ベネディクト16世と面会」

と報じている。写真には、被爆したマリア像に法王が祝福する様子が写っている。大変に珍しい光景である。記事には出ていないが、このマリア像は、このブログ(2009年8月10日付)でも書いたように、

 「もう一つの原爆ドーム」と言われている旧浦上天主堂の瓦礫の中

にあったものだ。法王はどんな思いで、被爆マリア像に対して祝福、つまり、神の恵みを祈り求めたのだろう。この写真を見て、

 爆心地で、被爆した旧浦上天主堂は瓦礫のまま残すべきだった

と強く感じた。なにしろ、取り壊された1950年代というのは、まさに第五福竜丸被爆事件(1954年3月)など、反核運動が盛り上がりを見せていたのだから。いや、だからこそ、痕跡を残さないよう、完全に取り壊して、その地に新たに天主堂を再建したのだろう。政治が働いた、それが歴史の真実ではないか。

 大司教ら巡礼団は、5月3日からニューヨークで開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議に出席するという。

 もう一人、この再検討会議に参加する日本人がいる。太平洋ビギニ環礁で米国の水爆実験に遭遇、被爆し母港、焼津港に戻ってきたマグロ漁船「第五福竜丸」の元乗組員、大石又七さん、76歳だ。今は東京都大田区に暮らしているという(中日新聞4月25日付社会面)。大石さんによると、被爆した元乗組員23人のうち、今も存命なのは9人。

 「オバマ大統領のプラハ演説などで核廃絶の機運は盛り上がっているようにみえる。しかし、パフォーマンスに一喜一憂しているよでは、まだまだ(核のない)平和は遠い」

との大石さんの思いは鋭い。記事によると、ニューヨークではデモ行進にも参加するというから

 喜寿の気骨

を感じた。これを引き継ぐのは、戦後ずっと、平和を享受した小生たち団塊世代であると気づいた。今日は、元「天皇誕生日」。それにしても、昭和は、また一つ遠くになった。

 そんな思いで、今度、焼津市が創設した

 焼津平和賞 選考委員長、佐藤博明さん(元静岡大学学長、専門は会計学)

の話を聞く、小さな会合の機会があったのは大変に有益だった。佐藤さんによると、賞の性格を、政治的にも、宗教的にも中立であることを目指しているという内容であった。だからこそ、選考委員長は政治的にも、宗教的にも無縁の会計学の専門家に依頼したのだろう(佐藤さん自身の話によると、自ら直接、平和運動にタッチしたことはない「中立」の学者らしい)。裏を返せば、それだけ、核廃絶問題は政治的、宗教的にならざるを得ないということだろう。また、政治的にも、宗教的にも中立な核廃絶運動というのも、背反二律でおかしいという見方もあろう。意味がないとも言えそうだ。その辺がむずかしい。

 要は、一般市民が素直に運動に入っていける態勢をいかに整えるか、ということだ。平和賞がその一つの方策となるかどうか、それは、焼津平和賞第一回の受賞者の顔ぶれでおおよそ決まるような気がする。その意味で、発表の6月30日に注目したい。2010.04.29

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