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「一石仙人」  物理学者をシテにした「能」

 世界的な免疫学者の多田富雄さんが亡くなった。4月22日付静岡新聞朝刊にその死亡記事が顔写真付きで載っている。免疫細胞の中には、異物を攻撃するだけでなく、過剰な反応を抑える細胞もあることを発見し、その驚くべき巧妙な仕組みも解明したことで知られる。

 小生にとって、印象深いのは、こうした免疫の話ではなく、多田さんが能に造詣が深いことだった。金沢で仕事をしていころ、2004年10月、ある医学会を取材した折、多田さんの新作能

 「一石仙人」

を拝見した。相対性理論で知られるアインシュタイン博士が主人公、シテで、時空を超えて私たちに世界平和について語りかけるというテーマだったように思う。一石とは、アインシュタインの日本語直訳。2005年が、博士の特殊相対性理論発表など「奇跡の年」からちょうど100年であり、それを記念して、創作されたのだろう。なんとも

 物理学者と能楽師

という組み合わせがユニークだった。多田さんは、この金沢公演の数年前から脳梗塞となり、半身不随になった。それでも、後進の指導や能創作、研究などを続けていた。

 いかにも能の盛んな金沢らしい趣向だった。ただ、そのメッセージ、科学の役割やその世界平和への寄与について、どの程度学界参加者の医学者に伝わっただろうかと考えると、どうも心もとないと今でも感じている。

 多田さんの医学に対する深い洞察力、さらに踏み込んで科学が果たすべき役割を組み込んだ能だったのではないか。

 多田さんの冥福を祈りたい。2010.04.22

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