« 東大合格女子大生の「私の1冊」  私も理系名著2冊 | トップページ | ああ、ポスドク 〝持参金〟480万円付きでも要らない現実 »

栽培漁業って何 ? クロマグロが教えてくれたこと

 大西洋や地中海で捕獲した、あるいは畜養されたクロマグロの日本への輸入ができなくなるのではないか、というので、このところ大騒ぎになっている。しかし、どうやら今しばらくはそうしたことはないようだ。ただ、近い将来、大幅に規制されることは避けられないと、一連の動きを見ていて感じた。当面は資源管理とともに、規制するかどうかという駆け引きというか、情報戦に怠りがないようにすべきだろう。

 問題は、では取り尽くさないため、具体的に日本は国内でどんな対策を今後強化していくか、ということだ。

 そんな思いで、テレビを見ていたら、民放テレビが東京海洋大学の研究者が行っている研究成果を紹介していた。なんと、

 サバのメスの子どもに、同じサバ科であるクロマグロの生殖細胞を移植し、クロマグロの受精卵を産ませる方法

というのだ。サバの子どもを〝借り腹〟として利用するというのだから、驚いた。その卵を大きく育てようというのだが、自然の海ではほとんどの卵がほかの魚に食べられてしまう。サバの借り腹でつくったクロマグロの卵なら、自然の海と違って効率的にクロマグロを育てられるというわけだ。

 もっとも、この場合でも、卵からかえったクロマグロの稚魚は、何を食べて成魚になるのか、ということが分かっている必要がある。プランクトンであろうか。それが問題だ。

 クロマグロではないが、稚魚は何を食べるのかという点について、土曜日のNHK夜のニュース番組で、ウナギの稚魚がシラスウナギにまで成長する間に食べているのは、これまで不明だったが、ごくごく小さい

 ホヤのふん

であることを突き止めたと、九州大学の研究者の成果が紹介されていた。水産庁の水産総合研究センターとの共同研究でもあるらしい。

 このように稚魚を成魚に育てる「栽培漁業」では、稚魚が入手できたとして、稚魚が何を食べて大きくなるのか、ということを突き止める研究に苦労がある。

 事実、小浜栽培漁業センターでは、この問題を解決し、

 幼生期の稚魚、ゾエアから、成魚のズワイガニを栽培することに成功

していると件の民放番組は伝えていた。ここまで来るのに10年の試験研究が必要だったという。

 さらに、稚魚が何を食べて大きくなるのか、ということとともに、その稚魚をどのようにして入手したり、確保するかという問題もある。

 入手先が栽培漁業で育てた成魚の受精卵であれば、完全養殖であり、マグロでは近畿大学で実用化に成功。成魚は大阪中央市場に出荷されているという。味は天然ものとたいして違わないという。

 今回のクロマグロ騒動は、日本人のクロマグロの食い過ぎ(誰があんな高級魚食べているの?)への反省と、栽培漁業や、さらに進んで完全養殖への技術開発の強化を加速する必要があることを教えてくれたように思う。む2010.03.29

|

« 東大合格女子大生の「私の1冊」  私も理系名著2冊 | トップページ | ああ、ポスドク 〝持参金〟480万円付きでも要らない現実 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533942/47939825

この記事へのトラックバック一覧です: 栽培漁業って何 ? クロマグロが教えてくれたこと:

« 東大合格女子大生の「私の1冊」  私も理系名著2冊 | トップページ | ああ、ポスドク 〝持参金〟480万円付きでも要らない現実 »