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天空のガラパゴス島 南米ギアナ高地のテーブルマウンテン

 毎週土曜日に楽しみに見ているNHK番組「ワンダー×ワンダー 」で、3月27日放送分は

「天空のロストワールド 南米ベネズエラ東部のギアナ高地」

を取り上げていた。番組は、奇怪な頂上が真平らなテーブルマウンテンの大きな滝を紹介していた。しかし、小生は、外界から何億年も隔絶したマウンテンにある大滝に行き着くまでの道すがらに生息している生物、たとえばカエルなどが、外界には見られない独自の進化をとげていたらしいという事実に感心した。

 紹介されたカエルには、通常はある水かきが後ろ足にはない、カエル飛びのようなことはできず這って移動する、卵を産卵するのではなく、つまり卵生ではなく親の姿のまま生まれてくる胎生であることなどを紹介していた。オタマジャクシからカエルになるのではなく、いきなりカエルの姿で生まれてくるというのだ。そういう両生類がいるとは知らなかったが、これも、回りから断崖で隔絶した頂で生息する生き物の独自の進化を想像するとうなずける。テーブルマウンテンの頂には、こうした独自に進化した動植物が多く生息しているらしい。

 つまり、種の起源、言い換えると新種が形成される主要な過程は地理的な隔離である

ことを強く示唆する。

 まさに、テーブルマウンテンは、「進化論の山」

というような印象を受けた。というか、感動を受けた。ギアナ高地には、こうした隔絶したテーブルマウンテンが100以上あるというから、それぞれの頂上に生息する動植物をこうした進化論的な観点から比較調査すると、それらがほぼ同じ時期に形成されたとして、また、当初はつながっていて同じような動植物相だったとして、その後、

 種は変化する。その遺伝的な変化のメカニズムは地理的な隔絶という自然淘汰

ということが、まず裏付けられるのではないかと思う。

 さらに面白いと思ったのは、その比較から、さらに突っ込んで

 決定論的なダーウィン進化論あるいはそこから集団遺伝学を取り込んで発展したネオ-ダーウイニズが正しいのか、それとも、進化に寄与する突然変異には、生存に有利な突然変異ばかりではなく、むしろ生存に有利でも不利でもない突然遺伝子もあり、中立な突然遺伝子の偶然による種内拡散という確率論的な中立説が正しいのか、が判定できるのではないか。つまり、さらなる確証となるのではないか。

 決定論のダーウィン説が正しければ、どのテーブルマウンテンの頂も、過去も現在も環境がおおむね同じであることから、どの山の頂も、外界から隔絶されているとはいえ、ほぼ似たような動植物相になっているはずだ。山によって動物相に統計的な意味で有意な差はないはずだ。

 しかし、これに対し、突然変異が種内に広がっていくのには偶然が大きく左右するとする中立論では、圧倒的に多い中立突然変異によって、生存可能な体制の範囲内で、それぞれの山の頂の動植物相は大きく異なっているはずだ。累積淘汰という必然論のダーウィン説よりもバラエティの幅が大きいはずだ。標本数(山の数)100として、動植物相に有意な差がある。中立説は淘汰論を否定するものではなく、決定論的な累積淘汰を否定するだけである。こう考えると、十分統計的に意味のある成果が期待できるのではないか。

 同じ、進化の島、マダガスカル島(アフリカ東岸)では、島は1つしかなく、こうした比較はできないので、ギアナ高地は進化論の検証の場になるだろう。2010.03.28 

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