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それでも火星を目指す 米国の心意気いまだ衰えず

 小さなベタ記事だが、かえって米国の火星に対する根強い憧れ、はっきり言えば

 米国人には火星人のDNAが組み込まれている

というがわかる報道を見つけた。2月2日付静岡新聞夕刊だ。

 有人月探査を中止 ステーション運用は延長

という記事だ。短いので、「ワシントン共同」電には悪いが、後半の14行を全文引用したい。

「月探査中止は、計画の遅れと予算不足が理由。次世代の有人宇宙船「オリオン」と、打ち上げ用のアレス1、アレス5という2種類のロケットを開発する計画で、これまでに90億ドルが投入された。今後は、より革新的な技術を開発し、(月以外の)新たな目的地を検討する。ロイター通信によると、目的地は火星などが対象という」

となっている。月に基地を建設し、重力の弱い月を足場に火星に有人飛行をするのが、これまでの計画。火星に行くのは、月に行くよりはるかに難しいのだから、月有人飛行を中止するということは、有人火星飛行計画をあきらめるのかと思いきや、むしろ、月よりも火星を目指すというのだから、米国人の火星好きは、百年前に火星人説を唱えたP.ローエル以来、少しとも変わっていない。米国人の宇宙開拓者精神には、火星人のDNAが組み込まれていると言いたくなる。

 リーマンショックで経済的に苦境に陥っても、米国は火星有人飛行という国民の夢を捨ててはいない。アメリカの強さの秘密を見たように思う。

 夢を高く掲げ、現実にめげないで着実に実現しようというその姿は、かつての開拓者精神の伝統を今も持ち続けていることを示していないか。

 日本で、月は資金不足でダメだが、その代わり火星にしようと提案したら、政治家はなんと言うだろう。想像するだにおぞましい。アメリカ国民には、有人火星飛行の実現という壮大なる夢がある。それが国益にもかなうというのだから、うらやましい。

 火星は、アメリカ政府にとっても、国民にとっても「めげない活力」なのだ。

 そんなことを強く印象づけたベタ記事だった。「ワシントン共同」さん、ありがとう。2010.02.02

  追記 2010.02.03

 と言ったのはいいのだが、この月有人飛行計画の中止を、もう少し広い視野で見ると

 宇宙版QDR

 と言えるだろう。理由はこうだ。

 米国防省は、つい先ごろ「4年ごとの国防計画見直し(QDR)」で、従来のような国家間の冷戦型兵器に大なたを振るい、アフガン、イラクなど「非対称で非正規」な脅威への対応にシフトした報告書をまとめた。報告書には、明示的には宇宙戦略について論じられたわけではないが、最先端の軍事技術開発の任務もあるNASAとしては、月有人飛行計画も冷戦型思考に基づいたものとみなされかねないとして、中止に方針転換したのであろう。つまり、発想の転換で予算改革に取り組もうとしているとも考えられる。

 そこで、NASAは新思考で、月といういかにも1960年代冷戦型のプロジェクトをやめて、いきなり火星を目指すという大胆ではあるが、21世紀型とも言うべき念願の構想に着手しようというわけだ。この転換は、ある意味、戦略的だ。こうした戦略転換も、国民の宇宙にに対する、とりわけ火星に対する強い支持があったればこそだろう。

追記の追記 2010.02.04

それでは、どのくらい、米国民は、月や火星へ有人飛行を望んでいるか、支持しているかということになる。2月4日付毎日新聞「科学」欄によると

 米有人月探査計画中止

について、特集している。このなかで、1月中旬に行われた米大手調査会社の世論調査で、

 「米国民の5割は、月にも火星にも人を送ることを望んでいない」

という結果が出たそうだ。このことが、オバマ大統領が計画(コンステレーション計画)の打ち切りとなったようだ。

 ただ、NASA長官は「有人宇宙飛行はわれわれのDNAだ。新しいアイデアと技術に投資するのであって、宇宙飛行からの撤退ではない」として、民間活用など宇宙への挑戦を続けると訴えたらしい。冷戦型のプロジェクトではなく、民間活用型というポスト冷戦型にシフトさせるというわけだ。

 問題は、今回の月への有人計画の打ち切りが、日本の宇宙開発計画にどう影響するか、である。月への有人計画には、大きな影響が出るだろう。

 日本には、昨年決定された「有人を視野に入れたロボットによる月探査」という宇宙基本計画がある。しかし、数千億円とも言われている巨費を投じて、月にロボットを送り込んでどんな意味があるのだろう。有人飛行については、日本は米国との国際協力を前提にしている。それが崩れ、ロボットだけでは、日本人に思想的な影響を与えるインパクトはないのではないか。また、無人に比べて1けたも2けたも高いハードルとなる有人計画に展望が開けないとなれば、技術的なブレイクスルーも望めないのではないか。

 今回の米政府の中止決断は、日本の宇宙政策に大きな影響を与える。

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