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常識を疑うには尺度を変えてみる CO2排出国、断然世界一はどこか

 上の質問に対し、大抵の人は、二酸化炭素排出国世界一は

 そりあ、決まっているよ、米国だよ。いや、最近は中国が追い抜いたかな

と答えるだろう。とりわけ中国は最近経済成長が著しいせいで、ものすごい勢いで排出が増えている。これに歯止めをかけないと、とんでもないことになる。そう考えがちだ。

 しかし、これは、その国が排出している総量を尺度にしたものである。1月5日付静岡新聞の連載、

 日本の実力 第一回 環境・エネルギー

によると、米国も中国も総量で年間約60億トンもの二酸化炭素を排出していて、ともに第一位である。ところが、これを国民一人当たりに換算したデータが出ている。それによると、

 米国  19.3トン

 ロシア 11.0トン

 ドイツ  9.9トン

 日本   9.7トン

 英国   9.6トン

 中国  4.3トン

 インド  1.1トン

で、米国は断然世界一の排出国であり、それに比べれば中国は、その4分の1にも満たない、むしろ低排出国と言えるだろう。中国政府がこのことを事あるごとに言い募っているのも、あながち間違いではないのだ。意図あって尺度を変えているのだけなのだ。

 また、年間総排出量は最近では米国も中国もほぼ同じだが、中国のGDPは米国の半分だがら、GDP当たりの排出量では、中国の排出量は米国の2倍であり、断然多い。米国としては、中国経済は二酸化炭素排出の多い非効率な経済を強調したいところだろう。国民一人当たりのGDPで比較すれば、その倍率はさらに広がり、中国の排出量は米国の約8倍にもなり、

 中国は断然世界一の排出国

となる。

 このように、データ解析で尺度を変えることで物事のもうひとつの側面がみえてくることがある。逆に言えば

 尺度を変えることで、もうひとつの側面を隠す

ことができるのだ。

 常識を疑う良い方法は、尺度を変えてみることだ。座標軸を変えてみると言ってもいいだろう。伸縮、あるいは原点をシフトさせる。そうすると、物事のもうひとつの側面をあらわにしたり、覆い隠したりできる。

 世の中には、統計でウソをつく方法という類の有名な本があるが、実は、これなのだ。

 数字にごまかされてはならない。

 おまけで、言えば、

 わが県は全国1位がこんなにある、というお国自慢リストがときどき各県で出ているが、実は、ランキングしている項目が恣意的で、その県に都合よく選ばれているのだ。これも一種の尺度を変えて、その県の評価をフレームアップしているのだ。ランキングそのものはウソではないが、ランキングする尺度、つまり項目が都合よく選ばれている点で実像をゆがめることなく正しく現しているとは言えないのだ。統計でウソをつく典型例だ。

 気をつけよう、甘い言葉と尺度。010.01.05

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