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 芸術は爆発にあらず、プライドだ 第7回浜松国際ピアノコンクールの本選鑑賞記

 土曜日、アクトシティ浜松で開かれていた浜松国際ピアノコンサートの本選を鑑賞しに出かけた。コンクールを聴きにいくのは久しぶりであった。6人の出場者のうち、3人のピアノを聴いて、もし、私が審査委員長だったら、優勝者に誰が入るか、考えた。その結果、ベートーベンのピアノ協奏曲「皇帝」を、東京交響楽団と共演して、弾いた

 チョ・ソンジン(韓国)

だと思った。若いのにどこか、才能がある。しかし、まだ未熟な感じもした。

 ところが、23日付静岡新聞1面を見て、びっくりした。そのとおりになったからだ。若いとは思ったが、正直に言えば、幼い感じがしたが、なんと15歳だという。日本で言えば、中学3年生である。それにしては、堂々としていた。このほか3人もが本選に登場した韓国勢は恐るべしとの印象を持った。豊かな日本では、もともと天性の若い才能がたとえあったとしても、花開くことは難しいであろう。

 芸術は爆発などではなく、やはり天性の才能が生み出すものだ。努力や練習による技術の向上だけではとてもじゃないが、限界があることを素直に認めたい。問題は持って生まれた才能を開花させる環境がその国にあるかどうかだ。才能を見出し、指導する人材がいるかどうかだ。本選出場者に一人も日本人がいなかったのは寂しい。国が豊かでありすぎることは芸術にとって不幸だということを、このコンクールでつくづく感じた。

 そんな思いだったが、日曜日夜、NHK教育テレビで

 ETV特集「ピアニストの贈り物 全盲の辻井伸行、バン・クライバーン国際ピアノコンクールへの挑戦」

というのを放送していて、びっくり。今年6月、東京生まれで、21歳の辻井さんが、米テキサス州フォートワースで開かれたこのコンクールで優勝するまでの20日間の全記録である。

 こちらの選考基準は、ある審査員の言葉によると「技術的には未熟であっても、将来伸びる可能性のある人」だそうである。

 しかし、かつて全盲のバイオリニストを取材したことがあるが、全盲のピアニストというのは、どのようにしてオーケストラとコミュニケーションして共演するのだろう。指揮者とピアニストの意思疎通はどうなっているのか、不思議だ。

 普通は目でコンタクトとしているが、辻井さんの場合は指揮者の息使いでコミュニケーションというか、タイミングを計っているのだという。

 それにしても、第一、楽譜が読めないではないか(点字楽譜がある)。演奏してもらい、それを楽譜に落とすこともできるという。しかし、それをすべて記憶するというのは並大抵のことではあるまい。しかも、英語がしゃべれないので、通訳を介して指揮者と打ち合わせをする様子が映し出されていた。母親の献身的な介添えはあるにしても、これはすごい。

 お涙頂戴では済まない。才能とはこういうものなのだろう。辻井さんが、あえて不利な海外のコンクールに出場したのも、わかるような気がする。全盲者のプライドなのだ。

 こうなると、ますます、豊かな国の、不自由のない豊かな環境は芸術には不向きなのだということを思い知らされる。

  不自由の中から、優れた芸術は生まれる。恵まれた環境はむしろ不幸だ。2009.11.23

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